小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。
普段の生活の中で、座って過ごす時間が1日当たり6時間以上の人では、3時間未満の人と比べて早期死亡リスクが19%高いことを示した研究結果が「American Journal of Epidemiology」6月26日オンライン版に発表されました。米国がん協会(ACS)のAlpa Patel氏らが実施した今回の研究では、このような死亡リスクの上昇をもたらす14の疾患も明らかに。
近年、座って過ごす時間が長いと死亡リスクが高まるとする報告が相次いでいる。しかし、死因別では、がんや心血管疾患以外の死因を幅広く検討した研究はほとんど行われていなかった。そこで、Patel氏らは今回、がん予防研究-Ⅱ(Cancer Prevention Study-II)栄養コホートのデータを用いて、余暇を座って過ごす時間の長さと全死亡リスク、さらにさまざまな死因別の死亡リスクとの関連について検討した。
年齢や性、学歴、喫煙の有無、食生活、運動習慣などを考慮して解析した結果、余暇を座って過ごす時間が1日に6時間以上の人では、3時間未満の人と比べて全死亡リスクが19%高いことが分かった。
この研究結果のメッセージは“もっと動くべき”といういたってシンプルなものだ。座位時間は短いほど身体に良い。1時間座って過ごしたら2分間立つだけでも脂質や血糖、血圧の値は改善する。
座位時間が長いと健康に悪影響を与える原因は明らかではないが、ソファで長時間過ごす人は間食が多いといった他の不健康な習慣がある可能性が考えられるという。また、以前の研究では座位時間が長いと中性脂肪や血糖、血圧、インスリンの値が上昇することが示されている。これらによって座っている時間の長さと心疾患や肝疾患、腎疾患、がん、糖尿病、COPDなどによる死亡との関連を説明できるかもしれない。
この研究から、長時間座り続けることによる早期死亡リスクの上昇には、心疾患から自殺までさまざまな要因が関与している可能性が示された。これらの関連はさらに研究を進める必要があるが、その対処法は明確で、今すぐにでも取り組める簡単なことだ。つまり、1日に何度も立ち上がって歩き回ることだ。
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