2023/05/31

健康講座678 "高尿酸血症を克服:あなたの生活を変える5つの方法"

 みなさん、こんにちは。小川糖尿病内科クリニックです。今日は、尿酸値を下げるための5つの方法についてお話しします。これらの方法を実践することで、痛風を予防し、健康な生活を送ることが可能になります。

まず、尿酸値が高いと何が起こるのか、その理由から説明します。尿酸は、体内の細胞が壊れるときに生成される物質で、通常は腎臓を通じて尿として排出されます。しかし、尿酸が過剰に生成されたり、腎臓が尿酸を十分に排出できないと、血液中の尿酸値が上昇します。これが高尿酸血症です。高尿酸血症の8割は腎排泄低下が主要因とされています。

さて、尿酸値を下げるためには、以下の5つの方法があります。

①アルコールの摂取を減らす アルコールは尿酸の生成を促進し、また腎臓の尿酸排出を阻害します。したがって、アルコールの摂取を減らすことは、尿酸値を下げるための重要なステップです。

②プリン体の摂取を減らす プリン体は、尿酸の元となる物質です。肉や魚、ビールなどに多く含まれています。これらの食品の摂取を控えめにすることで、尿酸の生成を抑えることができます。

③体重を減らす 肥満は、尿酸値を上昇させるリスク因子です。適切な体重を維持することで、尿酸値を下げることができます。

④水分を増やす 水分を多く摂取することで、尿酸を尿として排出することが容易になります。特に、尿の量を増やすためには、1日に100mlの水を7-8回以上飲むことが推奨されています。

⑤運動を増やす 適度な運動は、体重管理に役立ち、また腎臓の機能を改善します。これにより、尿酸の排出が促進され、尿酸値が下がります。

これらの方法を実践することで、尿酸値を下げることが可能です。しかし、これらの方法は一時的なものではなく、生活習慣として継続することが重要です。健康な体を維持するためには、日々の生活習慣が大切なのです。

それでは、具体的にどのようにこれらの方法を実践するのか、詳しく見ていきましょう。

まず、アルコールの摂取を減らすためには、飲酒の機会を減らすことが一つの方法です。また、飲む量を減らすために、一杯をゆっくりと飲む、水分を多く含む飲み物を選ぶ、などの工夫も有効です。

次に、プリン体の摂取を減らすためには、食事の選択が重要です。肉や魚はプリン体を多く含むため、これらの食品を摂取する際には量を控えめにすることが大切です。また、野菜や豆類など、プリン体を少なく含む食品を多く摂ることも有効です。

体重を減らすためには、適度な運動とバランスの良い食事が必要です。特に、運動は体重管理だけでなく、腎臓の機能を改善し、尿酸の排出を促進する効果もあります。運動としては、ウォーキングやジョギング、水泳などがおすすめです。

水分を増やすためには、日常生活の中で意識的に水分を摂ることが大切です。特に、朝起きたとき、食事の前、運動の前後など、一日の中で水分を摂るタイミングを設けると良いでしょう。

以上が、尿酸値を下げるための5つの方法です。これらの方法を実践することで、痛風を予防し、健康な生活を送ることが可能になります。しかし、これらの方法は一時的なものではなく、生活習慣として継続することが重要です。健康な体を維持するためには、日々の生活習慣が大切なのです。

それでは、今日はこれで終わりにさせていただきます。皆さんの健康を心から願っています。尿酸値を下げるためのこれらの方法を実践し、健康的な生活を送ることができるように、ぜひ努力してみてください。そして、何か問題があれば、遠慮なく医療専門家に相談してください。それでは、ありがとうございました。

健康講座677 "ビールを飲むと体から水分が失われる?その驚きの科学と対策"

 みなさん、こんにちは。小川糖尿病内科クリニックです。今日は、ビールを飲むと体からどれだけの水分が失われるのか、そしてその対策についてお話しします。

まず、ビールを1L飲むと、なんと1.1Lの水が体から失われるという事実から始めましょう。これは驚きの事実かもしれませんが、その背後には2つの主要な原因があります。

①アルコールによる利尿作用 ビールに含まれるアルコールは、体内で利尿ホルモンの働きを抑制します。これにより、腎臓が尿を生成し、体から排出する速度が速まります。結果として、飲んだ量以上の水分が体から失われるのです。

②アルコールを分解するのに水が必要 さらに、アルコールを分解する過程でも水分が必要となります。アルコールは主に肝臓で分解され、その過程で水と酸素が必要となります。したがって、アルコールを分解するためには、体内の水分を消費することになります。

では、このような脱水状態を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。その答えは、利尿作用の少ないノンカフェイン飲料を摂取することです。そして、その中でも特に推奨されるのが「麦茶」です。

麦茶は、カフェインを含まないため、利尿作用が少ないとされています。また、麦茶には体を冷やす効果もあり、暑い夏の季節には特に適しています。さらに、麦茶にはポリフェノールという抗酸化物質も含まれており、健康にも良いとされています。

しかし、ただ麦茶を飲むだけではなく、適度な水分補給と共に、適度な休息も重要です。アルコールを飲むと、体は水分を必要としますが、それだけでなく、アルコールが体に与える負担を軽減するためにも休息が必要となります。

また、アルコールを飲む際には、食事をしっかりと摂ることも重要です。食事により、アルコールの吸収が遅くなり、体への影響を緩和することができます。特に、ビタミンB1を豊富に含む食品を摂ると良いでしょう。ビタミンB1は、アルコールを分解する過程で消費されるため、ビタミンB1を補給することで、アルコールの分解を助けることができます。

さて、ここまでビールを飲むと体からどれだけの水分が失われるのか、そしてその対策についてお話ししましたが、最後に一つだけ覚えておいていただきたいポイントがあります。

それは、「適度な飲酒」です。ビールを飲むこと自体は問題ではありませんが、過度な飲酒は体に様々な負担をかけます。アルコールは適度に楽しむものであり、健康を害するものではありません。適度な飲酒とは、自分自身の体調や状態を考慮に入れ、自分自身がコントロールできる範囲で飲むことを意味します。

以上が、ビールを飲むと体からどれだけの水分が失われるのか、そしてその対策についてのお話でした。ビールを楽しむことは素晴らしいことですが、その一方で、体への影響も理解し、適切な対策を講じることが大切です。

最後に、麦茶の力を借りて、健康的な飲酒生活を送ることができるように、皆さんの健康を心から願っています。それでは、今日はこれで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

健康講座676 "「糖尿病は治らない」は過去の話?日本人でも寛解可能との新事実!"

 みなさん、こんにちは!小川糖尿病内科クリニックのです。今日は、新潟大学が発表した驚きの研究結果についてお話ししたいと思います。その内容は、なんと「2型糖尿病の寛解(つまり、病状が改善して薬が不要になる状態)が日本人でも可能である」というものです。

糖尿病と言えば、「一度なると一生治らない」というイメージが強いですよね。しかし、この研究結果はその常識を覆すもので、2型糖尿病患者の約1%が病状が改善し、薬が不要になる「寛解」状態になっていることを明らかにしました。

この驚きの結果は、全国の糖尿病専門施設に通院している約4万8,000人の患者データを分析した結果です。その中で、特に体重減少が大きい患者や、糖尿病と診断されてからの期間が短い患者、HbA1c値(血糖値の平均値を示す指標)が高くない患者、肥満度(BMI)が高い患者、薬物治療を受けていない患者が寛解しやすい傾向にあることがわかりました。

さらに、1年間の体重減少が5%以上の人は、寛解後に再発する傾向が低く、逆に体重が増加した人は再発しやすいという結果も出ています。

この研究結果は、糖尿病患者にとって大きな希望となるものです。糖尿病は「治らない病気」と言われてきましたが、実は適切な食事や運動、薬物療法により、血糖値が正常に戻り、薬が不要になる「寛解」状態になる可能性があるということです。

しかし、一度寛解したからといって油断は禁物。体重を適切に管理し、定期的に診察を受けることが、寛解後の再発を防ぐためには重要です。

今後は、この研究結果をもとに、どのような患者が寛解しやすいのか、また、寛解した状態をどのように維持できるのか、さらに深く研究を進めていく予定です。そして、その結果を現場の診療に活かし、より多くの患者さんが寛解を達成できるような治療法の開発につなげていきたいと考えています。

この研究結果は、糖尿病患者にとって大きな希望となるものです。糖尿病は「治らない病気」と言われてきましたが、適切な食事や運動、薬物療法により、血糖値が正常に戻り、薬が不要になる「寛解」状態になる可能性があるということです。

しかし、一度寛解したからといって油断は禁物。体重を適切に管理し、定期的に診察を受けることが、寛解後の再発を防ぐためには重要です。

今後は、この研究結果をもとに、どのような患者が寛解しやすいのか、また、寛解した状態をどのように維持できるのか、さらに深く研究を進めていく予定です。そして、その結果を現場の診療に活かし、より多くの患者さんが寛解を達成できるような治療法の開発につなげていきたいと考えています。

このような研究結果が出たことは、糖尿病患者にとって大きな希望となるでしょう。そして、私たち医療者にとっても、新たな治療法の可能性を示してくれるものです。これからも、最新の研究結果をもとに、患者さん一人一人に最適な治療を提供していきたいと思います。

それでは、今日はこの辺で。次回も、最新の糖尿病情報をお届けしますので、お楽しみに!

健康講座675 "筋肉は肝臓のベストパートナー: 基礎代謝と糖質蓄積の科学"

みなさん、こんにちは。小川糖尿病内科クリニックの院長です。今日は、筋肉が肝臓の健康にどのように寄与するかについてお話ししたいと思います。

筋肉と肝臓は、私たちの体の中で非常に重要な役割を果たしています。基礎代謝量、つまり私たちが安静時に消費するエネルギーの大部分を占めるのは肝臓と筋肉です。そして、体内で蓄積可能な糖質量も、筋肉と肝臓がトップを争います。

筋肉は、糖質を蓄え、エネルギーを消費します。これにより、肝臓での糖質から脂肪への変換を防いでくれます。つまり、筋肉は肝臓の負担を軽減し、脂肪の蓄積を防ぐ役割を果たしているのです。

さらに、筋肉は鍛えるほどに大きく強くなります。これは、筋肉の量が増えると、エネルギー消費が増え、糖質の蓄積能力も向上するためです。つまり、筋肉を鍛えることは、肝臓の健康を維持するための重要な手段となります。

以上、筋肉と肝臓の関係についてお話ししました。筋肉は肝臓の大切なパートナーであり、健康を維持するためには筋肉を鍛えることが重要です。適度な運動とバランスの良い食事を心掛け、筋肉と肝臓の健康を守りましょう。

健康講座674 "握力で見る筋肉量: サルコペニアと脂肪肝の関連性"

 みなさん、こんにちは。小川糖尿病内科クリニックです。今日は、筋肉量が健康に与える影響、特に脂肪肝に対するその効果についてお話ししたいと思います。

筋肉量は、私たちの健康にとって非常に重要な要素です。しかし、筋肉量が足りているかどうかを簡単に知る方法があります。それは「握力」です。握力は筋肉量に比例するとされています。つまり、握力が弱いと筋肉量が不足している可能性が高いのです。

特に女性の場合、握力が18㎏以下だと筋肉不足とされます。これは、サルコペニア(病的筋肉量減少)の基準値と一致します。男性の場合、基準値は28㎏です。ちなみに、40代女性の平均握力は30kgとされています。

では、筋肉量が少ないと何が問題なのでしょうか。筋肉量が少ないと、体のエネルギー消費が低下し、やせにくくなります。つまり、体内に脂肪が溜まりやすくなるのです。これは、脂肪肝のリスクを高めます。脂肪肝は、肝臓に脂肪が溜まる状態で、長期的には肝硬変や肝臓がんのリスクを高めます。

したがって、筋肉量を増やすことは、脂肪肝を改善するための重要な手段となります。筋肉量を増やすためには、適度な運動と、タンパク質を含むバランスの良い食事が必要です。

以上、筋肉量と握力、そして脂肪肝との関連についてお話ししました。筋肉量が足りているかどうか、握力をチェックしてみてください。

健康講座673 "断酒の科学: 脂肪肝改善への一歩"

 みなさん、こんにちは。小川糖尿病内科クリニックです。今日は、アルコールが体に与える影響と、特に脂肪肝に対するその効果についてお話ししたいと思います。

まず、アルコールには1gあたり約7kcalという、脂肪と同等のカロリーが含まれています。これは、アルコールがエネルギー源として体内で利用されるためです。しかし、アルコールの摂取が増えると、体のエネルギー代謝に影響を及ぼすことが知られています。

具体的には、アルコールの摂取により、体内で脂肪から糖を作る機能(グルコネオジェネシス)と、脂肪をエネルギーに変換する機能(脂肪酸酸化)が低下します。これらの機能が低下すると、体内に脂肪が溜まりやすくなります。

さらに、アルコールは中性脂肪の合成を促進します。中性脂肪は、エネルギーの貯蔵形態であり、過剰になると肥満や動脈硬化のリスクを高めます。アルコールが中性脂肪の合成を促進すると、体内の脂肪が増え、特に肝臓に脂肪が溜まりやすくなります。

これらのメカニズムが組み合わさることで、アルコールの摂取は脂肪肝のリスクを高めます。脂肪肝は、肝臓に脂肪が溜まる状態で、長期的には肝硬変や肝臓がんのリスクを高めます。

したがって、脂肪肝を劇的に改善したいと考えている方は、断酒を検討することを強くお勧めします。

2023/05/30

健康講座672 "エネルギーの秘密: 糖と筋肉があなたの体重に与える影響"

 みなさん、こんにちは。小川糖尿病内科クリニックより、今日はある重要なトピックについてお話ししたいと思います。それは、私たちの体がエネルギーをどのように処理し、そしてそれがどのように私たちの体重と健康に影響を与えるかについてです。

まず、私たちの体がエネルギーをどのように処理するかを理解するために、ガソリンと糖の比較から始めましょう。ガソリンは、使い切らなくても、次の日もそのまま使えます。しかし、私たちの体が糖を処理する方法は、これとは全く異なります。

私たちが食事から糖を摂取すると、それはまず血液に吸収され、全身の細胞に運ばれます。細胞はこの糖をエネルギーとして使用します。しかし、すぐに使われない糖は、体が別の形で貯蔵します。それがグリコーゲンです。グリコーゲンは、肝臓と筋肉に貯蔵されます。これらの部位は、私たちの体の「エネルギー貯蔵庫」のようなものです。

しかし、この貯蔵庫がいっぱいになると、問題が発生します。体は余分な糖を中性脂肪として貯蔵し始めます。これは、体がエネルギーを貯蔵する別の方法ですが、この方法は体重増加と関連しています。

ここで、筋肉量の少ない人々がどうなるかを考えてみましょう。筋肉量が少ないということは、エネルギー貯蔵庫が小さいということです。つまり、グリコーゲンとして糖を貯蔵するスペースが少ないということです。その結果、余分な糖はより早く中性脂肪に変換され、体重増加につながります。

これが、筋肉量の少ない人々が太りやすい理由です。これは科学的な根拠に基づいています。私たちの体がエネルギーを処理する方法を理解することは、健康的な体重を維持するための重要な一歩です。

しかし、これは決して避けられない運命ではありません。筋肉量を増やすことで、体のエネルギー貯蔵庫を大きくすることができます。これにより、余分な糖が中性脂肪に変換されるのを遅らせ、体重増加を防ぐことができます。筋肉量を増やすための一つの方法は、定期的な運動です。運動は筋肉を強化し、体のエネルギー消費を高めます。これにより、食事から摂取した糖がエネルギーとして使用され、貯蔵される可能性が減少します。

また、食事の選択も重要です。糖質の高い食品を過剰に摂取すると、体のエネルギー貯蔵庫がすぐに満たされ、余分な糖が中性脂肪に変換されます。そのため、バランスの良い食事を摂ることが重要です。糖質だけでなく、タンパク質や健康的な脂肪も必要です。これらはエネルギーの供給源となり、筋肉の成長と修復を助けます。

さらに、定期的な健康診断も重要です。これにより、体のエネルギー処理がどのように進行しているかを把握し、必要な調整を行うことができます。特に、糖尿病や肥満のリスクがある人々にとっては、定期的な健康診断は必須です。

私たちの体がエネルギーを処理する方法を理解することは、健康的な体重を維持し、糖尿病や他の健康問題を予防するための重要な一歩です。私たちの体は複雑なマシンであり、それを理解し、適切にケアすることで、私たちは最高の健康状態を維持することができます。

この情報が皆さんの健康管理に役立つことを願っています。小川糖尿病内科クリニックでは、皆さんが健康的な生活を送るためのサポートを提供しています。私たちの体がどのようにエネルギーを処理し、それが私たちの体重と健康にどのように影響くかを理解することは、健康的な生活を送るための重要な一歩です。そして、その知識を活用して、自分自身の健康を最大限に高めるための戦略を立てることができます。

健康講座671 "新型コロナウイルス後遺症の新たな理解:新定義とその影響"

 みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。

新型コロナウイルス感染後の長期的な症状、通称「long-COVID」(PASC: PostAcute Sequelae of SARS-CoV-2 infection)について、新たな定義と診断基準が提案されました。これは、感染後30日以上続く、再発する、または新たに出現する症状を指し、公衆衛生上の大きな問題となっています。ロングコロナは、患者の生活の質(QOL)、就労、収入、医療費に大きな影響を与えています。

これまでのlong-COVIDに関する研究は主に後ろ向きの観察研究で、症状の頻度に焦点を当てていました。しかし、非感染者を対照群とした研究は少なく、その結果、病気の有病率が研究ごとに大きく異なっていました。また、臨床現場では、症状の頻度に基づく既知の知見と除外診断に頼っている状況で、明確な診断基準が定められていませんでした。

そこで今回、約1万人規模での前向きの大規模観察研究が行われ、その結果をもとに新たなlong-COVIDの定義が提案されました。この研究は、NIHのRECOVER(Researching COVID to Enhance Recovery)Initiativeの一環として行われ、long-COVIDを理解し、治療し、予防することを目的としています。

この研究で特定された12の症状は、肉体的または精神的負荷後の疲労感、倦怠感、ブレインフォグ(思考の混乱)、めまい、消化器症状、動悸、性欲または性機能の変化、嗅覚や味覚の喪失または変化、喉の渇き、慢性的な咳嗽、胸痛、異常運動などです。各症状には推定係数に基づいてスコアが割り当てられ、参加者は報告された各症状のスコアを合計して総合スコアが割り当てられました。その結果、ロングコロナの診断基準として最適なスコアの閾値は12点以上とされました。

また、この新たなlong-COVID(PASC)スコアをもとにした解析結果では、感染から30日以上経過した場合のロングコロナの割合は、オミクロン株流行期の方がそれ以前よりも低く(17% vs 35%)、COVID-19ワクチン接種完了者の方が非完了者より低く(16% vs 22%)、初回感染者よりも再感染者の方が高い(16% vs 21%)という結果が得られました。これは、オミクロン株が以前の株よりも症状が軽い傾向があること、ワクチン接種がlong-COVIDのリスクを低減する可能性があること、再感染者が初回感染者よりもlong-COVIDのリスクが高いことを示しています。

さらに、入院患者の方が非入院患者よりlong-COVIDの割合が多く(39% vs 22%)、性別では女性の方が男性より多く(25% vs 19%)、年齢では46~65歳の方が18~45歳より多かった(28% vs 20%)。これは、重症化した患者、女性、中高年がlong-COVIDのリスクが高いことを示しています。

この新たなロングコロナの定義と診断基準は、臨床現場での診断や治療、研究者による研究、政策立案者による政策策定に役立つと期待されています。特に、この定義により、long-COVIDの症状が明確になり、患者の診断と治療が容易になるとともに、long-COVIDの有病率やリスク要因の研究が進むことが期待されます。

しかし、この定義と診断基準はまだ提案段階であり、その妥当性や有用性はさらなる研究によって検討される必要があります。また、ロングコロナの症状は個々の患者で異なるため、この定義がすべての患者をカバーしているわけではないことに注意が必要です。

今後、この新たな定義をもとにした研究が行われ、その妥当性が検討されることになるでしょう。また、long-COVIDの理解が深まるにつれて、新たな治療法や予防策が開発されることが期待されます。さらに、この定義が広く受け入れられることで、long-COVIDの社会的認知度が向上し、患者の支援や社会的な理解が進むことも期待されます。

long-COVIDは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックがもたらした新たな公衆衛生上の課題であり、その理解と対策は急務です。この新たな定義と診断基準が、その理解と対策に一歩前進するきっかけとなることを期待します。

なお、この情報は2023年5月現在のものであり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やロングコロナに関する情報は日々更新されています。最新の情報を得るためには、信頼性の高い情報源を定期的にチェックすることが重要です。また、自身がロングコロナの症状を感じた場合は、医療機関に相談することをお勧めします。 

2023/05/29

健康講座670 "ワクチン接種が長期COVIDを防ぐ?最新研究からの重要なメッセージ"

 こんにちは、皆さん!小川糖尿病内科クリニックから最新の医療情報をお届けします。

COVID-19については、感染後数週間で生じる「longCOVID」が大きな問題となっています。これは、感染が治まった後も症状が続く状態を指します。この問題を解明するため、アメリカ国立衛生研究所はRECOVERイニシアチブを立ち上げました。

このイニシアチブの一環として、我々は電子健康記録を分析し、COVID-19ワクチン接種が長期COVIDの発症にどのように影響するかを調査しました。具体的には、2021年8月1日から2022年1月31日までにCOVID-19に感染した患者を対象に、長期COVIDの2つの定義に基づいて調査を行いました。

その結果、ワクチン接種を受けた人々は、未接種の人々と比べて、長期COVIDの発症率が明らかに低いことがわかりました。これは、性別、人種、医療歴を考慮に入れても変わりませんでした。

つまり、ワクチン接種はlongCOVIDのリスクを減らす可能性があるということです。これは、ワクチン接種の重要性を改めて示す結果と言えるでしょう。

皆さん、ワクチン接種の大切さを忘れずに、自身と周囲の健康を守るためにも、ワクチン接種をお願いします。それでは、また次回の情報更新でお会いしましょう。健康にお過ごしください!

健康講座670 "心と腎臓の健康が交差する点:SGLT2阻害剤と心不全リスクの革新的な研究"

 こんにちは、皆さん。こちらは小川糖尿病内科クリニックです。

今日は、心不全(HF)のリスクを減少させる薬物、ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤についてお話しします。この薬物は、糖尿病の有無に関わらず、心不全のリスクを減少させることが知られています。しかし、その効果がどのような要素と関連しているのかは、まだ完全には解明されていません。そこで、この問いに答えるべく、研究を行いました。

2型糖尿病を持つ人々、そして持っていない人々の中で、SGLT2阻害剤が心不全の入院や心血管による死亡のリスクをどの程度減少させるのかを調査しました。その結果、13の試験から90,413人の参加者のデータを集め、分析を行いました。

その結果、SGLT2阻害剤は、心不全の入院や心血管による死亡のリスクを約23%も減少させることがわかりました。さらに興味深いことに、慢性的な腎機能(eGFR)の改善が、このリスク減少と有意に関連していることが明らかになりました。つまり、腎機能が安定するほど、心不全のリスクが減少するということです。

これは、心臓と腎臓の健康が密接に関連していることを示しています。そして、この慢性的な腎機能の改善は、SGLT2阻害剤が心不全のリスクをどの程度減少させるのかを予測する有力な指標となり得ることを示しています。

この発見は、SGLT2阻害剤の効果を理解し、それを最大限に活用するための新たな道筋を示してくれます。私たちは、これからも皆さんの健康をサポートするための最新の医療情報を提供し続けます。どうぞよろしくお願いいたします。

2023/05/28

健康講座669 "心から腸へ:ストレスが炎症性腸疾患に与える影響とその対策"

 皆さん、こんにちは。ここは小川糖尿病内科クリニックです。さて、今日はあるトピックについて語りたいと思います。

それは「精神的健康と体の炎症反応」についてです。これは、私たちの心の状態がどのように体の健康に影響を与えるかについての話です。特に、心理的ストレスが病気の悪化と関連している炎症性腸疾患(IBD)という病気について話します。

まず、私たちの体内には腸神経系(ENS)というシステムがあります。これは、腸の動きや働きをコントロールするための神経ネットワークです。しかし、最近の研究で、このENSが心理的ストレスと腸の炎症との間に重要な役割を果たしていることが分かりました。

具体的には、慢性的なストレスがENSに影響を与え、腸の炎症を悪化させることが分かりました。ストレスが高まると、体内のグルココルチコイドというホルモンのレベルが上昇します。このホルモンがENSに作用し、炎症を引き起こす腸グリアという細胞を活性化させるのです。

さらに、このグルココルチコイドは、腸神経細胞の成熟を妨げ、アセチルコリンという神経伝達物質の欠乏を引き起こします。これにより、腸の動きが乱れ、蠕動異常という状態になります。

このような現象は、IBD患者の3つのグループで確認されました。つまり、心理的な状態が腸の炎症と蠕動異常に直接影響を与えることが示されたのです。

これらの発見は、私たちの心の状態が体の健康にどのように影響を与えるかを理解するための重要な一歩です。また、ストレス管理がIBDの治療において重要な要素であることを示しています。

私たちは、このような知識を持つことで、自分の健康をよりよく管理し、病気の予防や治療に役立てることができます。心と体の健康は密接に関連しており、一方が他方に影響を与えることを理解することは、全体的な健康管理にとって非常に重要です。

皆さんがこの情報を有用で、興味深いと感じていただければ幸いです。健康に関する情報は、私たちの生活をより良くするための重要なツールです。私たちは、皆さんがこの情報を活用して、自分自身の健康を向上させることを願っています。

これからも、小川糖尿病内科クリニックは、皆さんの健康をサポートするために、最新の医学的知識と情報を提供し続けます。皆さんの健康と幸せを願っています。それでは、また次回お会いしましょう。

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...