2020/02/29

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の疫学的調査結果

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニックです。

 4万4,000例を超える新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の疫学的調査結果が報告された。2020年2月11日時点で、中国で診断された全症例の記述的、探索的分析の結果が示されている。

 2020年2月11日までに報告されたすべてのCOVID-19症例を、中国の感染症情報システムから抽出。以下の6つの観点で分析を実施した:
(1)患者特性の要約
(2)年齢分布と性比の分析
(3)致命率と死亡率の算出
(4)ウイルスの広がりの地理的時間的分析
(5)流行曲線の構築
(6)サブグループ解析。

 患者特性はベースライン時に収集され、併存疾患は自己申告による病歴に基づく。
確定(咽頭スワブでのウイルス核酸増幅検査陽性)
疑い(症状と暴露状況に基づき臨床的に診断された症例)
臨床診断(湖北省のみ、COVID-19と一致する肺造影像疑いの症例)
無症候(検査陽性だが、発熱やから咳などの症状がみられない症例)

に分類された。

 流行曲線における発症日は、本調査中に患者が発熱または咳の発症を自己申告した日付として定義。
重症度は、

軽度(非肺炎および軽度肺炎の症例が含まれる)

中等度
(呼吸困難[呼吸数≧30/分、血中酸素飽和度≦93%、PaO2/FiO2比<300、および/または24~48時間以内に>50%の肺浸潤])

重度(呼吸不全、敗血症性ショック、および/または多臓器障害)

に分類された。

 主な結果は以下のとおり。

・計7万2,314例の患者記録が分析された。
内訳は、確定が4万4,672例(61.8%)、疑いが1万6,186例(22.4%)、臨床診断が1万567例(14.6%)、無症候が889例(1.2%)。

以下のデータはすべて確定例での分析結果。
・年齢構成は、9歳以下が416例(0.9%)、10~19歳が549例(1.2%)、20~29歳が3,619例(8.1%)、30~39歳が7,600例(17.0%)、40~49歳が8,571例(19.2%)、50~59歳が1万8例(22.4%)、60~69歳が8,583例(19.2%)、70~79歳が3,918例(8.8%)、80歳以上が1,408例(3.2%)。
・男性が51.4%、湖北省で診断された症例が74.7%を占め、85.8%で武漢市と関連する暴露が報告された。
・重症度は、軽度が3万6,160例(80.9%)、中等度が6,168例(13.8%)、重度が2,087例(4.7%)、不明が257例(0.6%)。
・併存疾患は、高血圧が2,683例(12.8%)、 糖尿病1,102例(5.3%)、心血管疾患874例(4.2%)、慢性呼吸器疾患511例(2.4%)、がん107例(0.5%)であった。
・1,023例が死亡し、全体の致命率は2.3%。
・年齢層別の死亡数(致命率、死亡率[per 10 PD])は、9歳以下はなし、10~19歳が1例(0.2%、0.002)、20~29歳が7例(0.2%、0.001)、30~39歳が18例(0.2%、0.002)、40~49歳が38例(0.4%、0.003)、50~59歳が130例(1.3%、0.009)、60~69歳が309例(3.6%、0.024)、70~79歳が312例(8.0%、0.056)、80歳以上が208例(14.8%、0.111)。
・併存疾患別の死亡数は、致命率および死亡率が高い順に、心血管疾患92例(10.5%、0.068)>糖尿病80例(7.3%、0.045)>慢性呼吸器疾患32例(6.3%、0.040)>高血圧161例(6.0%、0.038)>がん6例(5.6%、0.036)。なお、併存疾患のない患者で死亡は133例発生し、致命率は0.9%、死亡率は0.005 per 10 PDであった。
・発症の流行曲線は1月23~26日頃および2月1日にピークに達し、その後減少傾向にある。
・COVID-19は、2019年12月以降に湖北省から外部に広がり、2020年2月11日までに、31省すべてに広がった。
・1,716例の医療従事者が確定例に含まれ、5例が死亡している。

 COVID-19は確定例の約81%で軽度であり、致命率は2.3%と非常に低い。1,023例の死亡のうち、過半数が60歳以上および/または併存疾患を有しており、軽度または中等度の患者では死亡は発生していない。しかし、COVID-19が急速に広がったことは明らかで、湖北省から中国本土の残りの地域に広がるまでたった30日しかかからなかったと指摘。多くの人が春節の長い休暇から戻った現在、流行のリバウンドに備える必要があるとしている。



2020/02/28

健康講座197~断酒と心房細動

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニックです。

習慣的に飲酒をしている心房細動患者が断酒をすることで、不整脈の再発が減少したことが、140例を対象とした多施設共同前向き非盲検無作為化比較試験の結果が示された。これまで、過剰な飲酒が心房細動の新規発症や有害な心房リモデリングと関連することは知られていたが、断酒による心房細動2次予防への効果は明らかにされていなかった。

週に10ドリンク(純アルコール量約12g/杯)以上のAF患者を対象に試験
 研究グループは、オーストラリアの6病院を通じて、週当たりの標準飲酒量が10ドリンク(純アルコール量約12g/杯)以上で、発作性または持続性心房細動があり、ベースラインで洞調律だった成人患者140例を対象に試験を行った。

 被験者を1対1の割合で無作為に2群に分け、一方の群は断酒を行い(断酒群、70例)、もう一方の群は通常どおり飲酒を続けた(対照群、70例)。

 主要エンドポイントは、追跡期間6ヵ月間での心房細動の無再発期間(当初2週間はブランキング期間とし、その間の発作は再発と見なさない)と、心房細動の総負荷(心房細動発作状態の時間の割合)の2点だった。

心房細動再発リスク、断酒群で約45%減
 被験者140例は、85%が男性、平均(±SD)年齢は62±9歳だった。

 断酒群の飲酒量は、試験前の週平均16.8±7.7ドリンクから、週平均2.1±3.7ドリンクへと87.5%減少したのに対し、対照群では試験前の週平均16.4±6.9ドリンクから週平均13.2±6.5ドリンクへと、19.5%の減少だった。

 お酒と心房細動も関連があるようです。
 不整脈のある方は、お酒にも注意しましょうね。





2020/02/26

健康講座196~腹部肥満と心筋梗塞

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニックです。

 一度心筋梗塞を発症した患者は、腹部の脂肪が多いと、再度心筋梗塞を起こしやすいとする研究結果がでたようです。

 腹部肥満により初回の心筋梗塞リスクが上昇することはこれまでの研究で明らかにされていたが、今回の研究では、2度目のリスクも高まることが示された。予防薬をきちんと飲んでいても、あるいは血液検査の結果が正常値でも、心筋梗塞や脳卒中の予防のためには標準的な腹囲を維持することが重要と述べている。

 この研究は、初回の心筋梗塞を起こしたスウェーデンの患者2万2,882人(男性1万6,950人、女性5,932人)を対象に、腹部肥満と心血管イベント再発との関連を追跡調査したもの。追跡期間の中央値は3.8年だった。なお、心血管イベントとは、致死的・非致死的な心筋梗塞や脳卒中など動脈血栓により引き起こされたものとし、また、腹部肥満は、腹囲が男性では94cm以上、女性では80cm以上と定義した。対象者の大半(男性の78%、女性の88%)は、腹部肥満であった。

 その結果、腹部肥満は、喫煙、糖尿病、高血圧、コレステロール、BMIといった他のリスク因子とかかわりなく、致死的・非致死的な心筋梗塞や脳卒中と独立して関連することが明らかになった。

 
 腹部脂肪が危険であるのは、高血圧、高血糖、糖尿病、コレステロール値の上昇など、動脈血栓を促進させる症状に関連するためだと説明されている。しかし、今回の研究では、腹部肥満自体が独立したリスク因子であることが示された。つまり、腹部肥満にはまだ知られていない有害なメカニズムが存在する可能性がある。

 腹部肥満には、健康的でバランスの取れた食事と定期的な運動によって対処できる。また、再発リスクの高い心筋梗塞患者を特定するために、臨床現場で腹囲を測定することも推奨します。

 
 現在のところ、減量や食事と生活習慣の改善以外に腹部肥満を標的とする治療法はない。しかし、将来的に肥満解消に有効な治療法が開発されれば、心筋梗塞後の患者の転帰を改善できる可能性があります。


2020/02/25

PV39000

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニックです。

おかげさまでPV39000達成しました。


当院では

糖尿病をはじめ生活習慣病に力を入れておりますが

一般的な症状

風邪、腹痛、花粉症、皮膚のかゆみ、一般健診

なども窓口として対応しております。

判断が難しい場合は

専門家へ紹介もできますので

かかりつけとしてお気軽に受診頂ければ幸いです。


2020/02/24

健康講座195~PM2.5と脳卒中

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。

 大気中の相対的に高濃度の微小粒子状物質(PM2.5)への長期の曝露により、低濃度PM2.5への長期曝露に比べ、初発脳卒中とそのサブタイプの発生率が増加することが、中国・北京協和医学院のKeyong Huang氏らの調査で明らかとなった。

 北米や欧州では、大気中のPM2.5への長期曝露は、相対的に低濃度(典型的には、≦25μg/m3)であっても、脳卒中の発生と関連することが示されている。


PM2.5長期曝露と脳卒中の関連を評価するコホート研究

 主要アウトカムは、全脳卒中、虚血性脳卒中、出血性脳卒中の発生とした。

高曝露量はリスクが53%増加

 参加者の居住地住所における2000~15年の長期的なPM2.5曝露量の平均値は64.9μg/m3(範囲:31.2~97.0)であった。追跡期間90万214人年の間に、3,540例の初発脳卒中が発生し、そのうち63.0%(2,230例)が虚血性脳卒中、27.5%(973例)は出血性脳卒中であった。

 曝露量が最も低い群(<54.5μg/m3)と比較して、最も高い群(>78.2μg/m3)は初発脳卒中のリスクが増加しており、虚血性脳卒中および出血性脳卒中についても増加が認められた。

 PM2.5濃度が10μg/m3増加するごとに、初発脳卒中のリスクが13%増加し、虚血性脳卒中のリスクは20%、出血性脳卒中のリスクは12%増加した。

 長期的なPM2.5への曝露と初発脳卒中には、ほぼ直線的な曝露-反応関係が認められ、これは全脳卒中および2つのサブタイプのいずれにおいてもみられた。

 これらの知見は、中国だけでなく他の低~中所得国でも、大気汚染や脳卒中予防に関連する環境および保健双方の施策の開発において、示唆に富む内容です。



2020/02/22

健康講座194~風疹対策

こんにちは。

小川糖尿病内科です。


 
 風疹の流行は、ワクチン接種と密接に関わりあっています。風疹の定期接種が始まったのは1977年のことで、対象は女子中学生でした。妊娠中の胎児への影響、いわゆる先天性風疹症候群(CRS)予防を最大の目的としたためです。

 しかし、女性限定の接種では流行をコントロールできず、定期接種の開始後も数年ごとに大きな流行を繰り返しました。このため、1995年4月からは1~7歳半の男女を対象にワクチン接種が行われるようになり、接種歴のない中学生男女への経過措置もとられました。こうした施策によって、長く風疹患者の多数を占めていた小児の感染は激減したのです。
ここ最近、小児に代わって風疹患者の大半を占めているのは成人です。中でも、ワクチン接種制度の狭間となり、1回もワクチンを接種したことのない「1962年(昭和37年)4月2日~1979年(昭和54年)4月1日生まれの男性」が新規罹患者の大きな割合を占めています。この世代の男性は、自身がワクチンを受ける機会がなかったうえ、同世代の女性はワクチンを受けているために、上の世代に比べ風疹の罹患を免れた人が多く、十分な抗体価を有しないままの人がほかの年代よりも多いのです。具体的には、この世代の男性の約20%、5人に1人が十分な抗体価を持ちません。女性の6%と比べるとその比率の高さがわかります
 抗体価の低い成人が中心となった風疹の流行は繰り返し起こっています。とくに2012~2013年は計1万6,730人の患者を出す大流行となり、45人のCRSが報告される事態になりました。厚労省と感染研は「次の流行はなんとしても食い止めたい」と対策を講じ、2014年以降の患者数は減少を続けました。しかし、2018年に再び増加に転じ、2019年も約3,000人と再び増加の傾向にあります。患者の内訳を見ると95%が成人、男性が女性の4倍近くと2013年の大流行時から状況は変わっていないです。
 こうした状況を受け、2019年に厚労省は「風しんの追加的対策」を発表しました。これまで「抗体検査のみ無料」としていたターゲット世代に対し、ワクチン接種まで公費で賄う、という内容です。
 以下、今回の対策の具体的な内容です。
・対象:1962年(昭和37年)4月2日~1979年(昭和54年)4月1日生まれの男性
・期間:2019年~2022年3月末
・方法:居住自治体から、抗体検査とワクチン接種が無料で受けられるクーポン券を郵送。医療機関の混雑を避けるため、クーポン発送は年齢別に2回に分けて実施。但し、クーポンが届かなくても自治体に請求することで入手可。
2019年度/1972年(昭和47年)4月2日~1979年(昭和54年)4月1日生まれ
2020年度/1962年(昭和37年)4月2日~1972年(昭和47年)4月1日生まれ
数千円の抗体検査と1万円程度のMRワクチンを全額無料になります。
 2019 年度内にクーポン券を発送予定の約 646 万人のうち、2019年4~11月に抗体検査を受けた人は 97万8,422 人(対象者の約 15.1%)、ワクチン接種を受けた人は 19万7,572 人(同約 3.1%)でした。厚労省は東京オリンピック・パラリンピックが行われる2020年7月までに現状79%程度のターゲット世代の抗体保有率を85%に、2022年3月までに90%程度に引き上げることを目標としていますが、このままの受診ペースでは難しいのが現状です。

成人男性の風疹について誤解があります。
誤解1)風疹は子供のときにかかったから大丈夫
 すでに風疹にかかったとの記憶のある人達に血液検査を行ったところ、約半分は抗体陰性で、風疹は記憶違い、または風疹に似た他の病気にかかっていたという調査結果があります。風疹はよく似た症状の病気が非常に多いです。「かかったから」と言う方にこそ、過去の記憶に頼らず、しっかり抗体検査を受けててください。
誤解2)風疹って死ぬような病気じゃない?
 風疹は通常あまり重くない病気ですが、まれに脳炎、血小板減少性紫斑病などの軽視できない合併症を起こすことがあり、実際、毎年入院する人も出ています。そして、もっとも怖いのがCRSです。感染者が免疫の不十分な妊娠初期の女性と飛沫が飛ぶ範囲(1~2m以内)で接触することで感染が生じ、高確率でお腹の赤ちゃんに障害を負わせてしまいます。自分が加害者になる怖さを知って頂きたいです。

誤解3)風疹になったら家にいるから他人には伝染させないよ
 風疹は発症する1週間前から他人に感染します。自覚症状のないまま職場や公共の場に出ることが危険なことなのです。
 みなさん、積極的に風疹対策をしましょう。

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...