2022/06/29

健康講座511 チョコレート(カカオ)の力

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 近年、チョコレートが健康に良いことを裏付ける研究結果が発表されているようです。チョコレートのカカオに多く含まれるフラバノールによる抗酸化、抗凝固、抗炎症作用などが心血管疾患に良い効果をもたらしているのではないかと考えられているようです。


1. 毎日少量のダークチョコレート摂取で血圧が低下
 ダークチョコレートによる降圧効果が小規模な無作為化比較試験により示されました(2007年JAMA誌掲載)。この試験では高血圧前症または高血圧症(第I度)44例に、ダークチョコレートを毎日6.3g(30kcal)、もしくはホワイトチョコレートを摂取させた。その結果、18週間で、ダークチョコレート摂取群の収縮期血圧が平均2.9mmHg、拡張期血圧も1.9mmHg下がったのです(p<0.001)。体重、血漿中の脂質、ブドウ糖、のレベルに変化はなかったようです。高血圧有病率は86%から68%まで減少しました。一方、ホワイトチョコレート摂取群では血圧、血漿中マーカーとも変化は見られなかったです。

2. チョコレートの消費量が多い人ほど心血管疾患リスクが低い
 チョコレート消費量と心血管疾患リスクに関するメタアナリシスの結果が2011年のBMJ誌に発表されています。この研究では2010年10月までに発表された文献のデータベースを検索し、選択基準を満たした7試験(11万4,009人)をメタアナリシスの対象としています。
この解析の結果、チョコレートの消費量が最も多い群は最も少ない群に比べて、全心血管疾患リスクが37%低下し、脳卒中リスクが29%低下したようです。

3. チョコレートを多く食べる男性で脳卒中リスクが17%低下
 スウェーデンのコホート研究によると、チョコレートの消費量が多い男性では脳卒中のリスクが17%低かったということでございます(2012年Neurology誌掲載)。この研究では男性のチョコレート消費量と脳卒中リスクについて49~75歳のスウェーデン人男性3万7,103人を約10年間追跡しました。その結果、チョコレートの消費量が最も多いグループ(中央値62.9g/週)は、最も少ないグループ(中央値0g/週)と比べて脳卒中のリスクが17%低下していたとのことです。

 上記のスウェーデンのコホート研究を含む、5件の研究より脳卒中既往例に絞り込んだメタ解析を実施したところ、チョコレートの摂取量が最も多い被験者の脳卒中リスクはまったく食べない被験者より19%低かったようです。この解析結果より、チョコレート摂取量50g/週につき脳卒中リスクが約14%低下したと試算されております。

4. チョコレート摂取頻度高いほどBMI低い
 チョコレートを頻繁に摂取する人ほどBMIが低い傾向にあることが2012年のArch Intern Med誌に発表されています。研究者らは心血管疾患、糖尿病、高LDL-C血症の既往のない男女(20-85歳)を対象に、チョコレートの摂取頻度とBMIとの関連を検討。週当たりのチョコレート摂取回数とBMIなどのデータが得られた972例を解析対象としました。その結果、年齢・性調整後、チョコレート摂取頻度が高い者ほどBMIが低い傾向にあったようです。

5. チョコレートを多く食べる男性で糖尿病リスクが35%低下
 岐阜県高山市におけるコホート研究によると、チョコレートの摂取頻度が1週間に1回以上の男性は糖尿病発症リスクが35%低下していたようです。女性では糖尿病発症リスクの有意な低下は認められなかったようです。

原著

2022/06/27

健康講座510 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)におけるlong COVID(罹患後症状、いわゆる後遺症)に対するワクチン効果

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)におけるlong COVID(罹患後症状、いわゆる後遺症)の発現は、COVID-19ワクチンの登場以降に減少し、2回目の接種後は少なくとも約2ヵ月にわたり持続的な改善が得られることが、英国・国家統計局のの調査で示されました。

英国の地域住民ベースの観察研究

 研究グループは、COVID-19ワクチン接種前に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染した成人において、ワクチン接種とlong COVIDの症状の関連を評価する目的で、地域住民ベースの観察研究を実施したものです。

 対象は、英国・国家統計局が行ったCOVID-19 Infection Survey(CIS)の参加者のうち、2021年2月3日の時点で年齢が18~69歳であり、SARS-CoV-2感染陽性と判定されたのち、アデノウイルスベクターワクチンまたはmRNAワクチンの接種を少なくとも1回受けた集団であったものです。

 主要アウトカムは、2021年2月3日~9月5日の期間に、感染から12週以上が経過した時点におけるlong COVIDの症状の発現とされました。アウトカムの軌道解析では、各ワクチン接種前の受診時を0と設定して追跡が行われました。

long COVID症状発現率は23.7%

 2万8,356例(mRNAワクチン1万2,859例、アデノウイルスベクターワクチン1万5,497例)が登録された。平均(±SD)年齢は45.9(±13.6)歳で、1万5,760例(55.6%)が女性であり、2万5,141例(88.7%)が白人だったようです。

 追跡期間中央値は、1回目接種(全参加者)から141日で、2回目接種(参加者の83.8%)からは67日であった。追跡期間中に、6,729例(23.7%)から、重症度を問わず少なくとも1回のlong COVIDの症状が報告されました。

 ワクチンの1回目接種により、long COVIDの症状発現のオッズが当初12.8%減少し、その後、2回目接種までの週当たりの軌道には増減が認められました。

 2回目接種では、long COVIDのオッズが当初8.8%減少し、その後は週当たり0.8%減少しました。

 一方、アデノウイルスベクターワクチン接種者とmRNAワクチン接種者で、接種後のlong COVIDの軌道に差はなかったようです。また、社会人口学的特性(年齢、性別、人種、5段階の地理的剥奪)、健康関連因子(自己報告による健康状態、急性期COVID-19による入院の有無)、SARS-CoV-2感染からワクチン接種までの期間の違いで、ワクチン接種とlong COVID症状発現に関連はみられなかったようです。

 1回目接種後に発現率が数値上で最も低下したlong COVID症状は嗅覚障害で、次いで味覚障害、睡眠障害の順であったようです。2回目接種後は、疲労、頭痛、睡眠障害の順で低下の幅が大きかったようです。

 この観察研究のエビデンスから因果関係を導き出すことはできないですが、ワクチン接種はlong COVIDによる住民の健康負担の軽減に寄与する可能性があと思われます。

原著

2022/06/24

健康講座509 4回目コロナワクチン効果の持続期間

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)の4回接種は、3回接種と比較して新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染予防とCOVID-19重症化予防の両方の有効性が認められましたが、感染予防効果は比較的早期に減弱することが示唆されました。イスラエルの後ろ向き診断陰性デザインによる症例対照研究の結果を報告されました。


約9万7,500例の10週間のデータを解析、4回目接種者vs.マッチング3回接種者

 研究グループは、イスラエルの健康保険組織Maccabi Healthcare Services(MHS、250万人が加入)のデータベースを用い、同国でオミクロン株が優勢であった2022年1月10日(初めて4回目接種が行われた日の7日後)から2022年3月13日までのデータを解析しました。

 解析対象は、SARS-CoV-2感染歴がなく2022年1月3日から4回目接種を受ける資格を有していた(すなわち、3回目接種から4ヵ月以上経過)60歳以上のMHS会員で、追跡期間中に少なくとも1回のPCR検査を受けた9万7,499例であった。

 主要評価項目は、SARS-CoV-2感染(BNT162b2ワクチン4回目接種後7日以上経過した時点でのPCR検査陽性)、および重症COVID-19(COVID-19関連の入院または死亡)としました。

感染予防効果は3週目が65%でピーク、重症化予防効果は72%以上を維持

 解析対象の9万7,499例のうち、追跡期間中に4回目接種を受けたのは2万7,876例、3回接種が6万9,623例であった。

 4回目接種後最初の3週間は、3回接種と比較してSARS-CoV-2感染およびCOVID-19重症化の両方に対して有効性が認められたが、感染予防効果は時間とともに低下しました。すなわち、SARS-CoV-2感染に対する4回接種の相対的な有効率は、接種後3週目(14~20日)に65.1%(95%信頼区間[CI]:63.0~67.1)でピークに達した後、以降は急速に低下し、接種後10週目(63~69日)には22.0%(95%CI:4.9~36.1)となったのです。

 一方、重症COVID-19に対する4回接種の相対的な有効率は、追跡期間を通じて高率に維持された(接種後7~27日で77.5%、28~48日で72.8%、49~69日で86.5%)。ただし、重症化は比較的まれな事象で、追跡期間中のCOVID-19関連入院・死亡の発生は全体でもわずか572例(0.25%)であったようです。COVID-19による死亡は106例で、このうち77例は3回接種のみ、23例は3回接種後の最初の3週間に4回目接種を受けていました。


原著

2022/06/22

健康講座508 セマグルチドの体重減少効果

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 わが国では2010年からGLP-1受容体作動薬を糖尿病治療薬として使用しており、血糖降下作用以外の、食欲抑制効果、胃内容物排出遅延効果により、体重の減少効果も期待できる薬剤であります。2020年からわが国でも使用できるようになった週1回注射製剤のセマグルチド(Sema)(商品名:オゼンピック)は、26位アミノ酸のリジンに脂肪酸を結合させることでアルブミンへの結合が増強されて分解が遅延するため、血中半減期が約1週間のGLP-1アナログです。


 これまでにSemaの2型糖尿病患者への臨床試験は「SUSTAINプログラム」として、多くの試験が実施され、Sema 0.5mgおよび1.0mgの血糖降下作用、および体重減少作用が報告されてきました。わが国でのSema 1.0mg単独療法での30週における体重減少効果は-3.87kgであったようです1)。さらにSUSTAIN-6では心血管イベントの有意な抑制効果が認められているのです2)

 今回Lancet誌で紹介された「STEP 2試験」は、BMI 27kg/m2以上の肥満または過体重である2型糖尿病患者に対して、高用量2.4mgのSemaの効果を、糖尿病治療薬として使用されている1.0mg Semaおよびプラセボと比較した第III相臨床試験であります。12ヵ国、149施設の患者、計1,210名が参加しており、アジア人種も26.2%含まれています。参加者の治療介入前平均体重は99.8kg、平均BMIは35.7kg/m2であり、わが国の2型糖尿病患者の平均BMIに比較するとかなり高値であるものです。

 68週の治療で、本試験の主要評価項目である体重の減少率は、Sema 2.4mgでは-9.6%であり、プラセボの-3.4%に比較して6.2%減少に差が認められました。Sema 1.0mgでは-7.0%であり、Semaの投与用量を多くすることでさらなる体重減少効果が認められたこととなりました。実際の体重減少で見るとSema 2.4mgでは-9.7kg、Sema 1.0mg で-6.9kg、プラセボ-3.5kgであり、これまでのSema治療用量に比較してその体重減少効果が大きいことが示されています。

 そのほか、HbA1c、収縮期血圧、脂質パラメーターなど、すべてプラセボに比較して改善効果が認められているが、とくに興味深かった結果は、HbA1cはSema 2.4mgと1.0mgでともに-1.6%、-1.5%と同等の低下作用であり、糖尿病薬としてのGLP-1の効果は1.0mgでほぼ十分であることがわかります。ちなみに低血糖の発現はSema 2.4mgで5.7%、Sema 1.0mgで5.5%と同等であり、高用量のSemaで低血糖が誘発されるわけではないことも理解できるのです。

 副作用に関しては、既存のGLP-1受容体作動薬同様に吐き気や嘔吐、下痢、便秘といった消化器症状が最も多く、Sema 2.4mgとSema 1.0mgでほぼ同程度でありました。そのほか、高用量Semaによる特異的な副作用は認められていないです。

 肥満によって患者のQOLが低下することが多いが、本試験ではSF-36v2とIWQOL-Lite-CTといった2つの方法で治療によるQOL変化の評価を行っています。その結果、Sema 2.4mgではプラセボに比較して身体的活動が改善していることが示されている。週に1回の注射で、これだけの体重減少効果と各種代謝パラメーターの改善が認められることは、これまでの抗肥満薬や肥満手術に比較してもQOLを向上させる効果が期待できると考えられます。

 今回のSTEP 2試験の結果から、高用量のSemaにより、長期的にどれくらいの心血管イベント抑制効果が認められるかどうかに今後注目したいところです。今後、肥満糖尿病患者の治療の主軸としてGLP-1受容体作動薬が位置付けられことが予想されます。現在、数々のSTEP試験によって糖尿病のない肥満者においてもその有効性が示されており、さらに幅広い患者での使用機会が期待されます。


 現在、日本では体重減少目的での保険適応はありませんのでご注意ください。

参考

2022/06/20

健康講座507 すい臓がんと肥満手術

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 肥満糖尿病患者に対する減量手術が、膵臓がんのリスクを大きく低下させる可能性があることが分かったよです。米国の医療施設グループAllegheny Health Networkの報告がありました。


 この研究は、肥満を有する糖尿病患者143万5,350人を約20年間にわたって追跡したデータから、減量手術の膵臓がんリスクに対する影響を検討したものです。この対象には、減量手術を受けた患者が1万620人含まれていました。減量手術を受けた患者の73%は女性だったようです。検討の結果、減量手術を受けた人は、手術を受けなかった人よりも、膵臓がんの発症リスクが低かったようです(0.19%対0.32%、P<0.05)。

 肥満と糖尿病は膵臓がんのよく知られた危険因子であり、その発症には慢性炎症、インスリンなどのホルモンの過剰分泌、脂肪細胞が放出する成長因子などの関与が考えられています。

 また、糖尿病や肥満、膵臓がんの罹患率が上昇してきており、そのような背景からも、今回の研究結果は興味深いです。酔眼は、診断時からの平均生存期間はわずか4.6カ月で、その時点で患者は健康寿命の大半を既に失っています。ほんの3%の患者しか5年以上生存できないもので、膵臓がんのこのように低い生存率は、過去40年間改善されておらず、発症の予防が極めて重要です。

 膵臓がんは、進行すると背中や上腹部の痛み、黄疸、体重減少などの症状が現れることがありますが、初期は症状に乏しく画像診断も難しいため、早期発見が困難ながんです。そのため、「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれる疾患の一つに挙げられています。このような膵臓がんの特徴と今回の研究結果から、膵臓がんのリスク抑制のために、肥満に伴う代謝性疾患の患者を診るときは、減量手術を検討するのもひとつかもしれません。

 

2022/06/17

健康講座506 糖尿病患者に効果のあるスタチン

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 英国・マンチェスター大学のはネットワークメタ解析の結果、中用量および高用量のロスバスタチン、ならびに高用量のシンバスタチンとアトルバスタチンが、糖尿病患者の非HDLコレステロール(非HDL-C)値を中等度低下させるのに最も有効であることを示しました。糖尿病患者における心血管疾患の1次予防および2次予防の基本はLDL-C値の低下であるが、非HDL-C値に対するスタチンの有効性を比較したエビデンスは不足していました。主要ターゲットとして非HDL-C値の低下を用いると心血管疾患の予測精度が向上する可能性があることから、今回の結果は、糖尿病患者において非HDL-C値の低下に最も有効なスタチンの種類と強度に関する指針に役立つと考えられます。


無作為化比較試験42件のベイジアンネットワークメタ解析

 研究グループは、Medline、Cochrane Central Register of Controlled TrialsおよびEmbaseを用いて2021年12月1日までに公表された研究を検索し、1型または2型糖尿病の成人患者を対象に、プラセボを含むさまざまな種類と用量のスタチンを比較した無作為化試験を適格研究としてシステマティックレビューとネットワークメタ解析を行ったようでうす。

 主要評価項目は、非HDL-C値の変化とし、総コレステロール値とHDL-C値から算出した。副次評価項目は、LDL-C値および総コレステロール値の変化、主要心血管イベント(非致死的脳卒中、非致死的心筋梗塞、心血管疾患死)、有害事象による中止などであるようです。

 ランダム効果モデルを用いたベイジアンネットワークメタ解析により、非HDL-Cに対するスタチン(低用量、中用量、高用量)の治療効果を平均差および95%信用区間(CrI)で評価した。また、サブグループ解析では、主要心血管イベントリスクが高い患者を低リスクまたは中等度リスクの患者と比較した。エビデンスの確実性は、CINeMA(Confidence in Network Meta-analysis)を用いて評価したものです。

 成人患者計2万193例が参加した無作為化比較試験42件から、1万1,698例がメタ解析に組み込まれたようです。

中・高用量ロスバスタチン、高用量のシンバスタチンとアトルバスタチンが有効

 プラセボと比較して非HDL-C値の低下が大きかったのは、ロスバスタチンの高用量(平均差:-2.31mmol/L、95%CrI:-3.39~-1.21)と中用量(-2.27、-3.00~-1.49)、高用量シンバスタチン(-2.26、-2.99~-1.51)、高用量アトルバスタチン(-2.20、-2.69~-1.70)であったようです。アトルバスタチンとシンバスタチンはいずれの用量においても、また、低用量のプラバスタチンも、同様に非HDL-C値の低下に有効でありました。

 主要心血管イベントの高リスク患者4,670例においては、高用量アトルバスタチンにより非HDL-C値が最も低下した(-1.98、95%CrI:-4.16~0.26、累積順位曲線下面積64%)。高用量シンバスタチン(-1.93、-2.63~-1.21)ならびに高用量ロスバスタチン(-1.76、-2.37~-1.15)は、LDL-C値の低下に最も有効な治療選択肢でありました。

原著

2022/06/15

健康講座505 植物性食品ベースの食事スタイルが糖尿病発症リスクを抑制

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 生体内の代謝産物を網羅的に解析する、メタボロミクスという手法による研究から、健康的な植物性食品ベースの食事スタイルが糖尿病発症リスクを抑制することが明らかになったのでございます。米ハーバードT. H.チャン公衆衛生大学院のであります。


 これまでの疫学研究から、健康的とされる植物性食品主体の食生活が、2型糖尿病発症リスクの低さと関連することが示されています。ただし、食習慣を反映すると考えられる血液中の代謝産物プロファイルから、その関係を解析した研究は今回目新しい部分です。

 解析に用いた3件の研究とは、女性看護師対象の疫学調査「Nurses' Health Study(NHS)」、および「NHS II」と、男性医療従事者対象の疫学調査「Health Professionals Follow-up Study(HPFS)」という前向きコホート研究です。解析対象者数は合計1万684人で、大半が白人であり、平均年齢は54歳。平均BMIは25.6で過体重(日本の基準では肥満)に該当する値だったようです。

 追跡期間中に2型糖尿病を発症した群は非発症群に比べて、平均BMIが高く、身体活動量が少なく、糖尿病の家族歴のある割合が高かったようです。また、高血圧と高コレステロール血症の有病率が高く、それらに対する薬剤が処方されている割合も高く、健康的とされる植物性食品の摂取量の少ない食生活を送っていました。

 健康的な植物性食品とは、全粒穀物や野菜、果物、ナッツ、コーヒー/紅茶、植物油、豆類などです。対して不健康とされる植物性食品には、精製穀物、フルーツジュース、ジャガイモ、加糖飲料、デザートなどが該当します。糖尿病予防において、健康的な植物性食品ベースの食事が重要であることを支持する研究です。

 研究の参加者は、食事摂取頻度調査票に回答。また採血検査を受け、血液中の代謝産物が解析された。食習慣については、全般的な植物性食品ベースの食事指数(PDI)、健康的な植物性食品ベースの食事指数(hPDI)、および不健康な植物性食品ベースの食事指数(uPDI)という3つの指標で評価。PDIでは55種類、hPDIでは93種類、uPDIでは75種類の代謝産物からなるプロファイルが特定されました。

 これらの代謝産物に基づくプロファイルスコアは全て、PDI、hPDI、uPDIのスコアと有意に相関していたようです。また、PDIスコアについては、1標準偏差高いごとに2型糖尿病発症リスクが19%低下することが分かりました。同様にhPDIスコアは、1標準偏差高いごとに23%低リスクでした。PDIやhPDIに関連している代謝産物プロファイルによって、2型糖尿病発症リスクの8.5~37.2%を説明可能と計算されました。なお、uPDIは2型糖尿病発症リスクとの間に有意な関連がなかったようです。

 一連の結果から、本研究は食事パターンとしての分析であるため、個々の食品が2型糖尿病発症リスクに及ぼす影響を評価することは難しいかもしれません。大まかにいえば、果物、野菜、コーヒー、マメ科植物などのポリフェノールが豊富な植物性食品とその代謝産物は、2型糖尿病発症リスクの低下と関連していると言えます。

 世界の成人2型糖尿病患者数は、2000年時点では1億5000万人だったが2019年には4億5000万人以上となり、過去20年足らずで3倍に増加したようです。また、2045年までに7億人に増えると予測されています。2型糖尿病は、心臓病などの合併症を引き起こし、腎臓、眼、神経系にダメージを与えます。2型糖尿病の発症には、遺伝的背景のほかに食事・身体活動習慣が関与しています。

原著

2022/06/13

健康講座504 妊娠糖尿病の検査

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 妊娠糖尿病は妊娠中に初めて発見された糖代謝異常であり、妊娠中に高血糖があると流産、形態異常、巨大児などの合併症が起こる危険性があるため、妊娠中は厳密に血糖の管理を行う必要があります。なお、妊娠前からすでに糖尿病と診断されている場合や、妊娠中に「明らかな糖尿病」と診断された場合は妊娠糖尿病とは別に区別されるのですが、厳格な血糖コントロールは妊娠糖尿病と同様に必要であります。

 妊娠糖尿病のスクリーニングとして、妊娠24~28週時に妊娠糖尿病スクリーニング検査が推奨されています。1段階法と2段階法の2つのスクリーニング法があるのですが、どちらを使用すべきかに関してはコンセンサスは得られていないようです。従来からある2段階法(Carpenter-Coustan基準)に対し、1段階法(IADPSG基準)は一度のブドウ糖負荷試験で診断ができるというメリットがあります。しかし、母児の周産期合併症に関するアウトカムについては不明でありました。

 今回ScreenR2GDM試験では、2万3,792人の妊婦を対象に妊娠糖尿病スクリーニング検査を無作為に1段階法と2段階法の2群に1対1で割り付け、周産期合併症や母体合併症について検討されました1)。5つの主要アウトカムのうち、妊娠糖尿病の診断は1段階法のほうが多かったが(1段階法 16.5%、2段階法 8.5%)、その他の巨大児、死産などの周産期合併症や妊娠高血圧症、帝王切開などの母体合併症に関連する主要アウトカムには有意差を認めなかったようです。また副次アウトカムや安全性アウトカムにも有意な差がないことが示されました。

 これまでに妊娠糖尿病のスクリーニングで2段階法から1段階法にかえて初回帝王切開や新生児低血糖が増加したとの報告があったが2,3)、今回の大規模な実用的無作為化試験により周産期合併症と母体合併症に関連する主要アウトカムのリスクには、両スクリーニング法に有意な差はないことが明らかになったようです。いずれのスクリーニング検査法を用いるにせよ妊娠糖尿病と診断した後は、母児の周産期合併症を予防するために妊娠中の血糖管理を適切に行うことが重要であります。そして妊娠糖尿病の既往があると、将来糖尿病やメタボリック症候群を発症するリスクが高いため、定期的なフォローアップが必要であるのでご査収ください。

2022/06/10

健康講座503 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種率と公衆衛生

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックです。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種率が高いほど、集団レベルのCOVID-19による死亡率および発生率は低いことが、米国疾病予防管理センター(CDC)のによる観察研究の結果示されました。米国ではCOVID-19発症が約8,026万例、COVID-19関連死が98万3,237例報告されており、国内の死者数が1918年のスペイン風邪を上回る近年史上最悪のパンデミックとなりました。COVID-19のワクチン接種が個人レベルの発症および重症化予防に有効であることは認められているが、ワクチン接種の拡大が公衆衛生に与える影響はまだほとんど明らかにされていなかったようです。

米国48州2,558郡のデータを解析

 研究グループは、米国における集団レベルのCOVID-19による死亡率および発生率に対するワクチン接種拡大の影響を評価する目的で、2020年12月14日~2021年12月18日に報告された米国の郡レベルの症例サーベイランスデータおよびワクチン接種データを解析したようです。米国48州2,558郡のデータを解析対象としました。

 主要評価項目は各郡の週ごとのCOVID-19死亡率(死亡数/人口10万人/郡週)、副次評価項目はCOVID-19発生率(症例数/人口10万人/郡週)であります。ワクチン接種率別の比較には発生率比を用い、郡のワクチン接種率(18歳以上の成人がCOVID-19ワクチンを1回以上接種と定義)が10%改善した場合の影響を推定しました。

 また、新型コロナウイルスのアルファ株およびデルタ株が優勢な時期におけるワクチン接種率の影響を、接種率が「非常に低い」(0~9%)、「低い」(10~39%)、「中程度」(40~69%)および「高い」(70%以上)に分け比較検討しました。

ワクチン接種率が10%上昇するごとに、死亡率が8%、発生率が7%低下

 合計13万2,791郡週において、COVID-19発症が3,064万3,878例、COVID-19関連死が43万9,682例観察された。ワクチン接種率が10%上昇するごとに、死亡率が8%、発生率が7%低下することが認められました。

 アルファ株が優勢な時期では、7万189郡週においてCOVID-19発症が1,549万3,299例、COVID-19関連死が26万3,873例観察されました。

 また、デルタ株が優勢な時期では、6万2,602郡週においてCOVID-19発症が1,515万579例、COVID-19関連死が17万5,809例観察されました。いずれの時期も、ワクチン接種率の高さが、死亡率および発生率の低下と関連していたようです。

原著

2022/06/08

健康講座502 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の知見

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 飲酒が肝臓に良くないことは、広く知られていると思います。しかし、世界中の成人の4人に1人は、飲酒と関係のない肝臓病を患っているということでございます。そして、そのような肝臓病を持つ人は、心臓病のハイリスク状態でもあるのです。


 飲酒とは関係のない肝臓病とは、「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれるものであります。NAFLDは、肝臓に脂肪が大量に沈着することで発症し、肝臓の繊維化や炎症を引き起こすことがあります。ただし、大半のNAFLDは診断されずにいるのです。

 NAFLDは患者数の多いよく見られる疾患であり、かつ、慢性肝障害や心血管疾患のリスク因子であるため、病状を把握して早期に治療することが重要でございます。それにもかかわらず、日常診療ではしばしば見逃されたり、診断されても治療されないことがあるのが現状でございます。

 NAFLD患者の主要な死因の一つが心臓病であり、NAFLDと心臓病は多くのリスク因子を共有しています。例えば、肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病または前糖尿病状態などです。また、同程度の心臓病リスク因子を持っているNAFLD患者とNAFLDでない人を比較すると、NAFLD患者の方が、実際に心臓病を発症してしまうリスクが高いとのことでございます。

 NAFLDは、健康的な体重を維持し、習慣的な運動を続け、心臓に良い食事を取り、2型糖尿病や高トリグリセライド(中性脂肪)血症などをコントロールすることで、その多くを予防できます。健康的な生活は多くの人のNAFLDの回避に役立つが、最善の努力にもかかわらずNAFLDを発症する人もいます。反対に、肥満や2型糖尿病、メタボリックシンドローム、不健康な食生活、運動不足であるにもかかわらず、NAFLDの発症を抑えられる遺伝的背景を持っている人もいるのも事実でございます。

 NAFLD患者の大半は症状がなく、一般的な血液検査では異常が発見されない可能性があります。健診における肝機能検査として行われているASTやALTは、感度と特異度が十分でなく、NAFLDのスクリーニングには十分ではないです。そのため、診断されていないケースが少なくないです。それに対して、超音波検査などで肝臓への脂肪蓄積、弾力性・硬さ(線維化の進行程度)を非侵襲的に評価する検査によりNAFLDを検出することが可能です。ただし、そのような検査が十分に活用されていないのは現状です。また、NAFLDの診断において最も信頼性の高い検査は肝生検ですが、侵襲を伴うことや医療コストの面からも、一般的に行うにはハードルが高いです。

 NAFLDを早期に診断できれば、生活習慣の改善などによって肝臓のダメージを修復することができるのです。2型糖尿病の治療、血清脂質の低下、減量のために薬物治療が必要なことがあり、また一部の患者には減量手術が適用されます。体重を5~10%減少させることによって多くの場合、病態の進行が抑制され、場合によっては寛解に至るといわれてます。ただし、この減量目標を達成することは容易ではないです。

 薬物治療の一例としては、グルカゴン様ペプチド1受容体アゴニスト(GLP-1RA)の使用は、血糖の改善、体重減少、および主要心血管イベントのリスク低下に関連しており、NAFLDを改善する可能性もあるとも言われいます。

原著

2022/06/06

健康講座501 週1回投与のGLP-1アナログ製剤「オゼンピック皮下注2mg」の販売

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 ノボ ノルディスク ファーマは、2022年5月25日、2型糖尿病を効能・効果とする週1回投与のGLP-1アナログ製剤「オゼンピック皮下注2mg」の販売を開始した。本剤は、従来からインスリン製剤等に使用されているペン型注入器「フレックスタッチ」と同様の構造であり、投与に際しては専用注射針(30~34G)を使用するものです。

 オゼンピック皮下注については、2020年6月29日に単回投与デバイスを用いた同0.25mg SD、同0.5mg SDおよび同1.0mg SDが発売されています。しかし、2022年3月中旬頃から日本において出荷停止となっていました。同製剤が出荷停止となったことに伴い、医療機関では代替薬への切り替えや新規処方の自粛が行われていました。このような中、用量調節が可能な複数回使用製剤であるオゼンピック皮下注2mgが発売されることとなったのです。

 なお、同社はオゼンピック皮下注 SDについて「当面は出荷停止が続く見込みだが、日本での供給再開を目指している」と述べています。

オゼンピック皮下注2mg製品概要

・製品名:オゼンピック皮下注2mg
・一般名:セマグルチド(遺伝子組換え)
・効能・効果:2型糖尿病
・用法・用量:通常、成人には、セマグルチド(遺伝子組換え)として週1回0.5mgを維持用量とし、皮下注射する。ただし、週1回0.25mgから開始し、4週間投与した後、週1回0.5mgに増量する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回0.5mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合には、週1回1.0mgまで増量することができる。
・包装 1筒1.5mL:1本
・承認年月日:2018年3月23日
・薬価基準収載日:2022年5月25日
・薬価:オゼンピック皮下注2mg:11,008円
・発売日:2022年5月25日
・製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社

2022/06/03

健康講座500 マスクの着用はそろそろ?

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは、5月19日に「日常生活における屋外と、小児のマスク着用について」の資料が説明されたようです。少し内容を覗いてみましょう。


 不織布製マスクの着用は呼吸器感染症対策として、咳・くしゃみなどの症状のある人や会話の際に飛沫やエアロゾルの発散を低減させることを目的に推奨され、ある程度の飛沫やエアロゾルを吸い込むことを予防する効果もある。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、発症前あるいは無症状の人からの感染対策が重要であり、さらに感染力が高いことや感染した場合の影響が大きかったことから、症状の有無に関わらず公共の場や職場などでのマスク着用が呼びかけられている。

 その後、ワクチン接種の進展や病原性がより低いオミクロン株が流行株の多くを占めるようになり、マスク着用対策を緩和すべきという社会的要請も高まってきたことに対し、今回検討を行ったものである。

屋外でのマスク着用について

【着用が必要ではない】
・屋外で周囲の人と距離が十分に確保できる場合(例:公園での散歩やランニング、自転車などの移動など)
・家族などの人たちだけで過ごす場合
・屋外で周囲との距離が十分に確保できない場面でも、周囲で会話が少ないかほとんどない場合(例:徒歩での移動など)

【着用が必要である】
・多数の人が利用する公共交通機関での通勤・通学の場合
・屋外であっても人混みや会話をするような場面がありえる場合
・屋内への訪問があればマスクを持参し、屋内で着用
・COVID-19で起り得る症状(鼻水、頭痛、喉の痛み、発熱、咳など)があり、日常生活の必要物品の買い物などやむを得ない外出をする場合、屋外でも着用(ただし、まずは外出を控えることが重要)

小児のマスク着用について

【原則的な考え方】
 保育所、認定こども園などでは、2歳以上の未就学児についても、発育状況などからマスクの着用が無理なく可能と判断される児童については、可能な範囲で一時的にマスク着用を奨める。

【着用考慮の理由と留意点】
 COVID-19への対応が長期化する中で、マスク着用により熱中症のリスクや 表情が見えにくくなることによる影響も懸念され、考慮する時期にある。

 一方で、当面は感染例が続き得ることから、施設内で感染者が出ている、または体調不良者が複数いる場合などには、一時的にマスク着用をすることは考えられるが、長期化しないように留意する必要がある。

【2歳以上の未就学児以外】
・熱中症リスクが高い場合には、登下校時にマスクを外すよう指導。ただし、十分な距離を確保し、会話を控えること、公共交通機関を利用する場合はマスクを着用することなどについて指導が必要。
・屋外の運動場やプールでの体育の授業や休憩時間における運動遊び(鬼ごっこなど密にならない外遊びなど)においてもマスクの着用は不要。その際、十分な身体的距離をとることや体調不良の者が参加しないように確認することは必要である。
参考サイト

2022/06/01

健康講座499  モデルナ・ファイザー社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの抗体

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。


 米モデルナ社製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンは、米ファイザー社製の同ワクチンよりもわずかに効果が高い可能性のあることが新たな研究で示されたようです。米食品医薬品局(FDA)により承認されている、モデルナ社製、ファイザー社製、および米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社製ワクチンについて、接種後の抗体価の推移を調べたところ、ファイザー社製ワクチンはモデルナ社製ワクチンに比べて、抗体価の低下スピードの速いことが明らかになったということです。米バージニア大学(UVA)医学部のが実施した研究です。

 この研究では、上記3種類のいずれかのワクチン接種を完了した234人を対象に、ワクチン接種完了後の抗体(IgG抗体)量の推移を10カ月間追跡しました。対象者の内訳は、2回接種型のファイザー社製、またはモデルナ社製mRNAワクチン接種者がそれぞれ114人ずつ、1回接種型のJ&J社製ウイルスベクターワクチン接種者が6人であったようです。


 その結果、2回目接種後7〜20日の間では、ファイザー社製ワクチン接種群とモデルナ社製ワクチン接種群の抗体価はほぼ同等であり(50〜100μg/mLかそれ以上)、J&J社製ワクチン接種群の抗体価(約2μg/mL未満)よりも約50倍高いことが明らかになりました。

 2回目接種から21日以降では、ファイザー社製ワクチン接種群とモデルナ社製ワクチン接種群の両群で抗体価が減少し始めたが、減少スピードはファイザー社製ワクチン接種群の方が速かったようです。また、ワクチン接種から6カ月経過した時点でのファイザー社製ワクチン接種群の抗体価は、モデルナ社製ワクチン接種群、および6カ月前にCOVID-19により入院した人の抗体価よりも低かったようです。

 さらに、ファイザー社製ワクチン接種群では抗体価に年齢差が認められ、50歳以上の人では50歳未満の人に比べて、どの時点でも一貫して抗体価が低かったのです。モデルナ社製ワクチン群では、このような年齢による抗体価の違いは認められなかったとのことです。

 同じmRNAワクチンであるにもかかわらず、なぜこのような違いが現れたのか。ファイザー社製ワクチンとモデルナ社製ワクチンは、仕組みは同じでも、ワクチンを構成する製剤とmRNAの量が違っているようです。

 ワクチン接種後に抗体価が下がるのは驚くべきことではないですが、mRNAワクチンでの抗体価低下の速さは予想以上だったかもしれません。この研究では、抗体反応はモデルナ社製ワクチン接種者の方が大きかったが、それが実際の防御効果の高さを意味するのかどうかはまた別の話です。とはいえ、徐々に明らかになりつつある、接種したワクチンによる感染率の違いを、今後の研究結果により説明できる可能性はありそうです。

原著

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皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...