2023/09/29

健康講座741 健康的な生活習慣で記憶力低下を予防

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 健康的な生活習慣(喫煙をしない、飲酒をしない、健康的な食事、定期的な運動、活発な認知活動と社会的接触を組み合わせた)は、記憶力低下の進行を遅らせることを、中国・首都医科大学が地域住民を対象とした10年間の前向きコホート研究「China Cognition and Ageing Study(COAST)」の結果報告しました。健康的な生活習慣が認知機能に及ぼす影響に関する研究は増えているが、記憶力への影響に目を向けた研究は少なく、長期にわたる健康的な生活習慣と記憶力低下との関係を評価するには不十分なものであり、また遺伝的リスクとの相互作用は考慮されていなかった。


10年間追跡、6つの健康的な生活習慣と記憶力低下の関連を検討

 研究グループは、中国・北部、南部および西部の代表的な12省の計96地域(都市部48地域、農村部48地域)において、2009年5月8日より認知機能が正常でAPOE遺伝子型の検査を受けた60歳以上の個人を登録し、2019年12月26日まで追跡した。ベースラインおよび各追跡調査時(2012、2014、2016および2019年)に、記憶力(WHO/UCLA聴覚性言語学習検査[AVLT])、認知機能(ミニメンタルステート検査[MMSE])、生活習慣(健康行動質問票による)を評価しました。

 主要アウトカムは、健康的な生活習慣6項目の記憶力への影響で、生活習慣について好ましい(健康的な生活習慣の該当項目が4~6項目)、平均的(2~3項目)、好ましくない(0~1項目)に分類し、線形混合モデルを用いて解析しました。

 健康的な生活習慣とは、健康的な食事(12品目[果物、野菜、魚、肉、乳製品、塩、油、卵、穀類、豆類、ナッツ、茶]中7品目以上を毎日推奨された量を摂取)、定期的な運動(中強度150分/週以上、または強強度75分/週以上)、活発な社会的接触(週2回以上)、活発な認知活動(週2回以上)、喫煙なし(喫煙未経験または少なくとも3年前に禁煙)、飲酒なし(まったく飲まない、または時々飲む)とした。

APOEε4遺伝子型有無にかかわらず、健康的な生活習慣で記憶力低下が遅延

 5万6,894例がスクリーニングされ、ベースラインでAPOE遺伝子型検査を受けた認知機能が正常な2万9,072例が登録された(平均年齢72.23歳、女性48.54%、APOEε4保有者20.43%)。

 10年の追跡期間において、全体集団では生活習慣が好ましくない群と比較して好ましい群で記憶力の低下が遅かったことがわかりました。
 参考までに。
原著

2023/09/22

健康講座740 "筋肉と糖: 身体のエネルギー貯蔵庫の不思議"

 みなさん、こんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。今日は、ガソリンと糖に関する興味深い比較についてお話ししたいと思います。それでは早速、お話を始めさせていただきます。

まず、私たちが車を運転するとき、ガソリンタンクが空になることは少ないでしょう。使い切らなくても、次の日も問題なくそのガソリンを使用することができます。しかし、私たちの体のエネルギーとなる糖は、このガソリンとは少し違った性質を持っています。

私たちが食事から摂取する糖は、消化されて血液中に放出され、私たちの細胞のエネルギーとして使用されます。しかし、すぐに使われない糖は、体が別の形に変えて保存します。その「別の形」とは、グリコーゲンという物質です。このグリコーゲンは、私たちの肝臓や筋肉に保存されます。

肝臓と筋肉のこれらの「貯蔵庫」がいっぱいになると、さらなる余剰の糖は中性脂肪として変換されて体内に貯蔵されます。ここで注目すべき点は、筋肉の量によって、この「貯蔵庫」の容量が異なるということです。筋肉量の多い人は、より多くの糖をグリコーゲンとして保存できます。一方、筋肉量の少ない人は、同じ量の糖を摂取しても、すぐに貯蔵庫がいっぱいになり、余剰の糖が中性脂肪として貯蔵されやすくなります。

つまり、筋肉量の少ない人は、食事からの糖の摂取量により注意が必要です。筋肉量が少ないと、体内で糖を効率的にエネルギーとして使用することが難しく、結果的に太りやすくなるのです。

私たちの体は非常に複雑なシステムで動いています。食事の選び方、運動量、生活習慣など、さまざまな要因が健康を維持するためのバランスを作り出しています。糖の摂取と筋肉量の関係を理解することで、より健康的な生活を送る手助けになることを願っています。

このような情報を提供することで、私たち小川糖尿病内科クリニックは、皆さんの健康をサポートしたいと思っています。どんな小さな疑問や悩みも、お気軽にご相談ください。健康のための一歩を、一緒に踏み出しましょう。

2023/09/15

健康講座739 『タンパク質の力:健康と活力を引き出す食と運動の秘密』

 タンパク質の摂取とその重要性に関する議論は、近年の医学や栄養学の研究において、ますます注目を集めている。私たちの体は、皮膚、髪の毛、骨、筋肉をはじめ、ホルモンや酵素といった生命活動を支えるさまざまな成分から成り立っており、これらの多くはタンパク質から構築されている。

たとえば、血糖値を下げる役割を持つホルモン、インスリンは、タンパク質から作られている。インスリンの働きが低下すると、糖尿病のリスクが高まることが知られている。これは、タンパク質が慢性的に不足することでホルモンの機能が低下し、結果として病気の発症リスクが増大する可能性があることを示唆している。このことは、『Molecular Endocrinology』に掲載された研究においても詳しく述べられている。

さらに、消化酵素もまた、タンパク質でできている。タンパク質が不足すると、消化や吸収のプロセスに悪影響を及ぼす可能性がある。食物が適切に消化されず、栄養が吸収されないと、体のエネルギー供給が途絶え、さまざまな健康問題が引き起こされる。この点については、『Journal of Nutrition』においても詳細な議論が行われている。

食事の中で糖質や脂質の摂取を意識的に減少させ、その代わりにタンパク質を中心に摂取することで、体の機能や健康状態の維持向上が期待できる。特に、炭水化物を摂取する際に、トッピングやおかずとしてタンパク質豊富な食材を採用することは、栄養バランスの観点からも非常に重要である。

そして、食事だけでなく運動も忘れてはならない。週に3〜5回の有酸素運動と週に2〜3回の無酸素運動、例えばスクワットやプッシュアップなどを組み合わせることで、健康や体の機能の維持、向上に大きく寄与する。運動の際には、心拍数を最大心拍数の60%〜70%の範囲に保つことが効果的であると、『Journal of Applied Physiology』の論文でも指摘されている。

私たちの体は、タンパク質から始まり、タンパク質によって支えられている。日常の食事や運動の習慣を見直すことで、更なる健康と活力を手に入れることができる。それぞれの人が自身のペースで、持続可能な方法でタンパク質を意識した生活を取り入れてみてはどうだろうか。そして、その結果としての健康や体調の変化を楽しみながら、日々の生活を豊かにしていくのが、理想的ではないだろうか。



2023/09/08

健康講座738  「基礎代謝を知り、タンパク質を活用!:究極のダイエット戦略」

 ダイエットと聞けば、真っ先に「運動」というキーワードが浮かび上がる方が多いのではないでしょうか。しかし、実はダイエットの効果を最大化するために知っておくべきキーワードがもうひとつあります。それが「基礎代謝量」です。

基礎代謝量とは?

基礎代謝量とは、私たちが生命活動を維持するために最低限必要なエネルギーのことを指します。これには、体温を一定に保つためのエネルギー、心臓や肺の動きなどの生命維持活動のエネルギーが含まれます。一日のエネルギー消費量の約60%を占めるこの基礎代謝量は、人それぞれ異なり、筋肉量に大きく影響されます。

筋肉と基礎代謝

アスリートと一般人、同じ体重68キロだとしても、基礎代謝量は異なります。その違いの理由は、筋肉量にあります。筋肉は、私たちの身体の中で最もエネルギーを消費する組織であり、筋肉量が多ければ多いほど基礎代謝量も増加します。

ダイエットを試みても、なかなか体重が減らないという人は、筋肉量が不足している可能性が高いのです。そして、筋肉を増やすには、適切な量のタンパク質の摂取が不可欠です。

タンパク質の重要性

タンパク質は筋肉の材料となる栄養素であり、足りなければ筋肉の合成が滞り、筋肉量の増加や維持が難しくなります。さらに、タンパク質には満腹感を感じやすくする効果もあるため、適切な摂取はダイエットの成功の鍵となります。

実は、タンパク質は糖質と同じエネルギーを持っていますが、血糖値を急激に上げることなく、消化吸収されます。これが、タンパク質の摂取を増やすとダイエット効果がある理由の一つです。

タンパク質を摂る食材

タンパク質を効果的に摂取するためには、以下の食材がおすすめです。

  • 肉: 脂身の少ない部位、例えばヒレ肉や鶏のむね肉
  • 魚: マグロ、カツオ、タイなどの低脂肪の魚
  • 大豆製品: 豆腐や納豆
  • 卵: ゆで卵や目玉焼き
  • 乳製品: 牛乳やヨーグルト

まとめ

ダイエットの成功のためには、適切な運動だけでなく、基礎代謝量を意識した食事と、特にタンパク質の摂取が重要です。常に「どうやってタンパク質を摂取できるか?」を意識することで、より効果的なダイエットを実現できるでしょう。

2023/09/04

健康講座737 「筋トレとタンパク質:糖尿病予防とダイエットの新常識」

 こんにちは、小川糖尿病内科クリニックです。今日は、タンパク質摂取の重要性、特に筋トレやダイエットにおいて、糖尿病予防の観点から解説していきます。

はじめに

近年、健康志向が高まる中、筋トレやダイエットに関連する情報が氾濫しています。その中で、タンパク質摂取の重要性が注目されていますが、正しく理解している人は少ないのではないでしょうか? この記事では、糖尿病予防とダイエットの観点から、タンパク質摂取の意義や方法について詳しく解説していきます。


第一章: タンパク質の基本知識

タンパク質は、アミノ酸という小さな単位が結合してできた大きな分子で、私たちの体を作る基盤となるものです。筋肉だけでなく、骨や内臓、皮膚、髪、爪など、体のさまざまな部分に関与しています。また、体内でさまざまな機能を担う酵素やホルモンの成分としても重要です。


第二章: タンパク質の摂取量と健康

  1. タンパク質摂取量の現状: 日本人の多くは、推奨されるタンパク質摂取量に対して不足しています。特に高齢者は、筋肉量の減少リスクが高まります。

  2. 糖尿病予防との関係: 筋肉量が減少すると、インスリンの効果が低下し、糖尿病のリスクが上がる可能性があります。適切なタンパク質摂取は、糖尿病予防の鍵となります。


第三章: タンパク質の適切な摂取方法

  1. 摂取量の目安: 体重1kgあたり1.5グラムが理想的な摂取量とされています。しかし、これは運動習慣の有無や年齢、性別によって微調整が必要です。

  2. 摂取のタイミング: 筋トレや運動後は、筋肉の修復・再生が行われるため、このタイミングでのタンパク質摂取が効果的です。特に朝食にタンパク質を摂ることで、1日のエネルギー代謝が向上する可能性があります。

  3. タンパク質の摂取源: 動物性と植物性の両方からバランスよく摂取することが推奨されています。魚、肉、卵、大豆製品などが主な摂取源となります。


第四章: プロテインの種類とその特徴

  1. ホエイプロテイン: 速やかな吸収が特徴で、筋トレ後の補給に最適です。

  2. カゼインプロテイン: ゆっくりと消化・吸収される特性があり、睡眠前の補給や長時間の運動前におすすめです。

  3. ソイプロテイン: 大豆を原料とし、乳糖不耐症の人やヴィーガンにも適しています。また、ダイエットにも効果的です。


第五章: タンパク質とダイエット

タンパク質を適切に摂取することで、筋肉量を増やし基礎代謝を向上させることが期待できます。これにより、消費カロリーが増加し、ダイエット効果が向上します。また、食事制限を伴うダイエット時には、筋肉を失うリスクが高まるため、十分なタンパク質摂取が不可欠です。


まとめ

健康的な生活を維持するためには、適切な量と質のタンパク質を日常の食事から摂取することが重要です。これにより、筋トレやダイエット、糖尿病予防の効果が最大化されるでしょう。今後もタンパク質の摂取を意識し、健康的な生活を追求していきましょう。

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...