小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。
パートナーが糖尿病と診断されると、自分は糖尿病と診断されていなくても健康的な生活習慣を送るようになる可能性のあることが、新たな研究で示された。パートナーが糖尿病と新たに診断された人は、そうでない人と比べて減量プログラムへの参加率が有意に向上したほか、禁煙を試みたり、血糖や血圧、コレステロールの検査を受けるようになるなど健康行動への関心が高まることが分かった。研究の詳細は「Annals of Family Medicine」7月/8月号に掲載された。
米国の糖尿病患者数は2900万人を超えると推定され、そのほとんどを2型糖尿病が占めている。2型糖尿病の発症には遺伝要因のほか、生活習慣が強く関与しており、その管理には食生活の改善や運動、禁煙などの生活習慣の是正が重要になる。2型糖尿病患者の家族は、患者と生活習慣が共通していることが多く、その発症リスクは高いとされている。
今回、家族の一人が新たに糖尿病と診断されると、他の家族の生活習慣にも影響が及ぶのかどうかを調べる研究を行った。
その結果、パートナーが新たに糖尿病と診断された人は、そうでない人と比べて減量の教育プログラムへの参加率が有意に50%向上した。その他にも、パートナーが糖尿病と診断された人では、禁煙補助薬を使う確率が25%高かったほか、血糖や血圧、コレステロールの検査を受ける確率は2~7%、臨床的に有意義な減量の成功率は6%、インフルエンザの予防接種を受ける確率も3%、それぞれわずかだが有意に高いことが分かった。
家族が糖尿病と診断されることは、その家庭にとって大きな問題ではあるが、患者だけでなく家族全員の生活習慣を見直すよい機会になると思われる。医療従事者は、糖尿病患者とその家族がともに長期にわたって生活習慣を改善できるように手助けすべきだ。
糖尿病患者が受ける教育や生活習慣の改善、体重管理の方法などの情報に直接触れることが、パートナーにもポジティブな効果をもたらしたのではないかと考えられる。
この研究で示されたパートナーが糖尿病と診断された人とそうでない人の差はわずかだったが、臨床的には意味のある数字か。この結果は、家族が糖尿病の教育や管理に参加する重要性を認識するきっかけになる。生活習慣の改善は、糖尿病患者だけでなく家族全体、特に子どもが糖尿病になるのを防ぐ予防策にもなる。
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