2022/02/28

健康講座459 食生活と地球温暖化

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 食生活を変えることによって、地球温暖化を抑制できるかもしれないです――。その可能性を示す、英リーズ大学の研究結果が発表されました。肉類や菓子などの食べ物や、コーヒー、アルコールなどの飲み物の摂取を抑制することが、温室効果ガス排出量削減につながるということでございます。


 私たちが食生活を変えることは地球の環境を守るためにできることの一つであり、自分の体にも良いことです。つまり、地球に良い食品は一般的に、われわれの健康増進にも役立ちそうです。

 食料生産によって排出される温室効果ガスは、排出量全体の30%を占めているとされているようです。特に、エネルギー密度が高い割に栄養価の低い超加工食品の生産工程では、多くの温室効果ガスが発生するのです。研究は、3,287種類のさまざまな食品について、文献検索で得られた情報を基に、それぞれの食品の生産工程で発生する温室効果ガスの排出量を推定。加えて、成人212人の24時間の食事摂取状況を3回にわたってモニタリングし、平均的な温室効果ガスの排出量を推算したようです。

 検討の結果、調査した食品の98%に当たる3,233種類の食品は、温室効果ガスの発生源であることが明らかになったのです。特に肉類が、食品関連温室効果ガス排出量の32%を占めていました。

 肉類の生産や消費に関連する温室効果ガスの排出量が多い理由は、飼料や肥料の栽培に農薬や化石燃料が使用されるからであり、さらに家畜が発するガスや糞尿も無視できないということでございます。牛や羊などの家畜は、非常に強力な温室効果ガスであるメタンを大量に排出します。仮に全米国人がハンバーガーの摂取を1日に1個減らしたとしたら、それに伴う家畜の減少による温室効果ガス削減効果は、車を1千万台減らすのに匹敵するようです。

 ただし、肉類だけを問題にするわけにはいかないです。アルコールやコーヒーなどの飲み物も、食品関連温室効果ガス排出量の15%を占め、乳製品は14%、ケーキやクッキーなどの菓子類も9%を占めているそうです。

 さらに、全体的な傾向として、菜食主義者の食事に比べて非菜食主義者(雑食者)の食事は、温室効果ガスを59%多く排出することが分かったのです。また、性別で比較すると、男性は女性よりも41%多く温室効果ガスを排出していた。これには、男性が女性よりも肉類を好む傾向があることが関係しているとのことです。また、飽和脂肪酸や炭水化物、ナトリウムの摂取量を推奨量以下に抑え、健康的な食習慣を送っている人の温室効果ガス排出量は、摂取量が推奨量を上回る非健康的な食習慣の人よりも、有意に少ないことも明らかになりました。

 私たちが肉類の摂取を減らすことは、将来の気候に大きな違いを生む可能性があるようです。また、菓子類の摂取を減らすなどの小さな変更であっても、大きな変化につながるかもしれません。

 コーヒーやチョコレートなどの生産は森林破壊とリンクしており、それによって地球の二酸化炭素処理能力を低下させていると、別の問題も指摘されています。農作物の一部には栽培に大量の水を必要とするものがあり、土壌を劣化させる。また、種類によっては冷蔵が必要であり、それもまた環境負荷となるとのことです。食品の生産工程で発生する温室効果ガスだけでなく、流通面なども含めてトータルで環境問題を考える必要があるようです。

原著

2022/02/25

健康講座458 体重減少 セマグルチドVSリラグルチド

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 非糖尿病の過体重または肥満の成人において食事および運動療法のカウンセリングを行ったうえで、週1回投与のセマグルチド皮下注は1日1回投与のリラグルチド皮下注よりも、68週時点の体重減少が有意に大きかったことが示されたようです。米国・Washington Center for Weight Management and Researchの検討です。

 研究グループは、過体重または肥満者における、週1回投与のセマグルチド皮下注(2.4mg)と1日1回投与のリラグルチド皮下注(3.0mg)の有効性と有害事象プロファイルを比較する68週にわたる第IIIb相非盲検無作為化試験を実施しました。

 被験者は、BMI値30以上または27以上で1つ以上の体重関連の併存疾患を有する、糖尿病は有していない成人338例としました。

 被験者は3対1対3対1の割合で、週1回セマグルチド2.4mg皮下注投与群(16週間で漸増、126例)またはマッチングプラセボ群、1日1回リラグルチド3.0mg皮下注投与群(4週間で漸増、127例)またはマッチングプラセボ群に割り付けられ、それぞれ投与を受けました。加えて全員に食事療法と運動療法が行われた。また、セマグルチド2.4mg投与に不耐の場合は同1.7mgへの変更が認められたようです。リラグルチドに不耐の場合は、試験を中断するが、再開後に4週間の漸増が可能でありました。

 主要エンドポイントは体重変化率で、確証的副次エンドポイントは、セマグルチド群vs.リラグルチド群について68週時点で評価した10%以上、15%以上、20%以上体重減少それぞれの達成割合としたようです。

 セマグルチドvs.リラグルチドの比較は非盲検で行い、実薬治療群はプラセボ群について二重盲検化されました。


 被験者338例の平均年齢は49歳、78.4%(265例)が女性、平均体重は104.5(SD 23.8)kg、平均BMI値は37.5(SD 6.8)でした。試験を完了したのは319例(94.4%)で、治療を完了したのは271例(80.2%)だったようです。

 ベースラインからの平均体重変化率は、セマグルチド群-15.8%、リラグルチド群-6.4%だったとのことです。統合プラセボ群の平均体重変化率は、-1.9%だったとのことでございます。

 10%以上、15%以上、20%以上の体重減少の達成割合は、いずれもセマグルチド群がリラグルチド群より大きく、それぞれ、70.9% vs.25.6%(オッズ比[OR]:6.3、95%CI:3.5~11.2)、55.6% vs.12.0%(7.9、4.1~15.4)、38.5% vs.6.0%(8.2、3.5~19.1)だったようです(いずれもp<0.001)。
参考までに。
原著

2022/02/23

健康講座457 運動と肺炎リスク

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

習慣的な身体活動には健康上の多くのメリットがあることが知られていますが、肺炎のリスクを抑制する可能性もあることが明らかになったようでございます。英ブリストル大学の研究によるものでございます。


 身体活動のメリットはこれまでのところ、肥満や糖尿病、心血管疾患などの非感染性慢性疾患を中心に研究されてきており、確固たるエビデンスが確立しております。それに対して、感染性疾患に対する身体活動のメリットについては、それを証明する研究報告が不十分だそうです。そこで、主要な感染性疾患である肺炎に着目し、システマティックレビューとプール解析により、身体活動と肺炎リスクとの関連を検討したようです。なお、2016年の統計では、肺炎は全世界の死因の第4位にランクされているようです。

 MEDLINE、Embase、Web of Scienceという文献データベースに2021年9月15日までに公開された論文を対象として、観察期間が少なくても1年以上の研究を検索しました。抽出された研究報告数は10件(欧州と北米から各4件、日本から2件)で、研究参加者数は合計104万4,492人(年齢の加重平均55.8歳)だったようです。大半の研究で有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせて実施することの効果が検討され、交絡因子は研究により異なるものの1件を除いた全てで、年齢、性別、BMI、飲酒・喫煙習慣、併存疾患、社会経済的状況が調整されていたようです。

 加重平均9.7年の観察期間中に、計7,681件のイベント(肺炎の発症または肺炎関連死)が報告されていました。プール解析の結果、身体活動量の多い群は少ない群に比較し、相対リスク(RR)0.69(95%信頼区間0.64~0.74)であり、有意なリスク低下が確認されたようでございます。

 習慣的な身体活動により、肺炎の発症と肺炎に関連した死亡のリスクが低下するという、説得力のあるエビデンスが得られました。一方、肺炎を予防するために必要とされる身体活動の量や強度を特定することができなかったようです。ただしこの点について、解析対象としたいくつかの研究は、週に1回30分間ウォーキングをしている人では肺炎関連死が少ないことを示しているようでございます。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がまだ収束していない状況で冬を迎え、COVID-19に限らず、その他の呼吸器感染症のリスクが高まっております。それらの感染症への罹患を契機に重症肺炎を発症することがしばしばあります。高齢や基礎疾患などの肺炎重症化リスク因子のある人でも、身体活動を習慣にすることで、そのリスクを抑制できるかもしれません。

 原著

2022/02/21

健康講座456 オミクロン株に対する新型コロナワクチン予防接種

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 現在、日本でも世界でもオミクロン株の猛威により急激な新型コロナウイルス感染症の感染者が増加しているような状況であります。米国や欧州の一部では感染拡大のピークを越え、収束傾向になっている地域もあるようですが、2022年1月中旬においてWHO(世界保健機関)でも各国の警戒を呼び掛けている状況です。


 本邦のコロナワクチン接種は2022年1月20日の時点で2回目接種終了者が全国民の約79%にあたる9,963万人を超えている状況だそうです。ただし2021年末から始まったコロナワクチンの3回目接種、いわゆるブースター接種は194万人(日本全国民の約1.5%)にとどまっており、2回目接種終了後から時間が経過した高齢者や基礎疾患を持つ者、新型コロナウイルスやCOVID-19症例と接触する機会の多い医療従事者はブースター接種を進めている最中です。

 コロナワクチンの3回目の接種、いわゆるブースター接種が日本でも粛々と進められています。一般的にワクチンの有効性、コロナの発症予防効果はデルタ株に比べてオミクロン株は低いとされているようです。さらにワクチン2回接種後の期間が長くなるとさらに効果が低下することがいわれており、接種直後はオミクロン株に対して約60%程度の発症予防効果を認めていたところ、5~6ヵ月が経過すると約10%に低下してしまうことが示されているとのことです。イスラエルの医療従事者に対するBNT162b2によるブースター接種の効果を検討した報告では、約1ヵ月の短い追跡期間ではあるものの、ブースター接種群はブースター非接種群に比べ90%以上もコロナ感染リスクを低下させる結果が示されました。この報告では症例の観察期間が2021年8~9月で行われており、オミクロン株が感染拡大する前の状況であることは注意が必要です。また先に示した英国からの報告では、ファイザー製コロナワクチンBNT162b2やモデルナ製コロナワクチンmRNA-1273のブースター接種後のオミクロン株に対する効果についても検討されており、BNT162b2では約70%、mRNA-1273では約80%まで発症予防効果が回復するとされました。

 米国からの中和抗体価を測定した研究ではコロナワクチン2回接種後3ヵ月以内では高い中和抗体価を示したが、6~12ヵ月経過すると大幅に低下してしまうことが示されているようです。またオミクロン株に対しては2回接種後3ヵ月以内でも50%以上の方で中和抗体が消失するような結果であり、野生株に対する中和抗体価と比較するとBNT162b2接種群で122倍低く、mRNA-1273接種群では43倍低い結果となったのです。この報告ではブースター接種での中和抗体価の上昇も検討されており、野生株やデルタ株のブースター接種による中和抗体価の上昇は1~9倍にとどまっていたのに対し、オミクロン株はBNT162b2接種群で27倍、mRNA-1273接種群で19倍中和抗体価が上昇することが示され、オミクロン株に対抗するためにブースター接種が極めて重要であることが示唆されたのです。

 イスラエルの論文は、BNT162b2を2回接種した約84万人を対象にブースター接種の効果を検証した報告があります。この研究の調査対象者は2021年8月調査開始時に年齢が50歳以上で、5ヵ月以上前に2回目接種を完了した方で、約2ヵ月間に3回目接種を受けたブースター接種群75万8,118例と非ブースター接種群8万5,090例で比較検討されました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡が主要評価項目とされ、ブースター接種群で65例(10万人あたり0.16人/日)、非ブースター接種群で137例(10万人あたり2.98人/日)という結果が示されました。背景因子や併存症による調整を行った後の両群のCOVID-19による死亡ハザード比は0.10であり、ブースター接種群では死亡率が90%低かったのです。65歳で区切った年齢や男女別でもブースター接種群がCOVID-19による死亡率が低かったです。また副次評価項目として規定された新型コロナ感染者もブースター接種群で2,888例、非ブースター接種群で1万1,108例であり、ブースター接種群で83%低かったのでございます。

 要するにですよ、過去にはブースター接種の有効性として発症予防効果や感染予防効果、そして中和抗体価を評価した報告が主であったが、本研究からはブースター接種が死亡率の低下を示すという心強い結果が出たということでありますよ。

 ただし本研究は50歳以上に限定した報告であり、50歳未満の若年者に当てはめることはできないことは注意は必要です。また解析期間は2021年8~9月の約2ヵ月間という短い時間での検討であることや、その時期には現在世界でも日本でも猛威を振るっているオミクロン株ではなく、B.1.617.2系統、いわゆるデルタ株がメインであったことは差し引いて解釈する必要があります。そして多くの方が懸念しているコロナワクチンの有害事象についての検討はなされておらず、今後のデータの集積は必要です。

 本邦でも全国民の約8割が2回目を接種完了している状況においては、今後の新型コロナウイルスとの戦いに打ち勝つためには変異ウイルスの違いはあれど、ブースター接種をいかに早く推し進めるかどうかにかかっているのではないでしょうか。オミクロン株の感染拡大で多くの医療機関で厳しい状況ですが、そのような大変な状況下でもできる限りワクチン接種体制を整備していくことが望まれる気がします。

(United Kingdom Health Security Agency, UKHSA 2021.12.31)
(United Kingdom Health Security Agency, UKHSA 2021.12.31)

2022/02/18

健康講座455 余暇と幸福感

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 余暇は時間の無駄で非生産的だと思っている人は、幸福感が低く、ストレスレベルが高く、メンタルヘルスが悪化しやすいとする研究結果が報告されました。米オハイオ州立大学マーケティング分野による研究でございます。


 この研究では、「ただ楽しむだけの余暇は時間の無駄であり、生産性こそが究極の目的」とみなす、現代社会では一般的な考え方がもたらす影響について、4つの試験を実施して検討した。

 1つ目の試験では、199人の大学生がさまざまな余暇活動をどの程度楽しんでいるかを評価するとともに、幸福度、抑うつ、不安、ストレスを測定する質問票へ回答しました。また、余暇をどの程度無駄とみなしているかを測定するための5つのステートメント(例:「余暇活動に割く時間は多くの場合、無駄だ」)に対して、どの程度同意するかについても回答しmした。その結果、余暇を時間の無駄とみなす傾向が強い人ほど、余暇活動を楽しんでいないことが明らかになったようです。この結果は、余暇活動が能動的か(例:運動)、受動的か(例:テレビ観賞)、社会的か(例:友人との外出)、一人で行うものか(例:瞑想)にかかわらず同じだったようです。また、余暇を時間の無駄とみなす傾向が強い人ほど、抑うつ、不安、およびストレスのレベルが高いことも判明しました。

 2つ目の試験では、302人の試験参加者が2019年のハロウィンの祝い方とそれをどの程度楽しんだかに関するオンライン調査に回答しました。この調査でも、余暇は時間の無駄とみなしている人は、パーティーなどの余暇時間をあまり楽しんでいなかったことが明らかになったのです。その一方で、子どもたちと一緒に「トリック・オア・トリート」をするなどの活動で自分の責務を果たした人では、ハロウィンを楽しんだ程度が減じていなかったということでございます。

 3つ目の試験では、余暇に対するネガティブな見方を抱く人々とメンタルヘルスの関係について、米国、インド、フランスの間で比較しました。その結果、フランスでは米国やインドに比べて、余暇を無駄とみなす人々が少ないことが判明しました。しかし、フランスでも、余暇を無駄とする考え方の人の間には、1つ目の試験と同様のメンタルヘルスへの悪影響が確認されました。

 最後の試験では、大学生の試験参加者に、質問票への回答の途中で、面白おかしいネコの短い動画を見てもらったものです。参加者の一部は事前に、ストレスマネジメントと活力の増強の手段としての余暇の有用性を強調する記事を読んでいたようです。それでも、余暇は時間の無駄と考えている人は動画を楽しめないという、同様の結果が得られました。

 余暇はメンタルヘルスにベネフィットをもたらし、それが、生産性の向上やストレス軽減につながることは、多くの研究で示唆されています。しかし今回の研究から、人々が余暇を無駄だと考え始めると、最終的には抑うつ状態やストレス増加を招きかねないことが明らかになったのです。

 参考までに。

2022/02/16

健康講座454 高血圧と大腸直腸がんリスク

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 高血圧と大腸直腸がんリスクの関連を示唆するデータが報告されました。既知のリスク因子の影響を除外してもなお、有意性が維持されるということでございます。東京大学医学部附属病院循環器内科が、200万人以上の医療データを解析して明らかにしたものです。

 これまでの研究から、高血圧が大腸直腸がんのリスク上昇と関連する可能性が示されているようです。ただし、その関連を示した研究は、高血圧患者に肥満や糖尿病などの発がんリスク因子を有する人が多いことや、一部の降圧薬が発がんリスクに影響を与える可能性を考慮していないといった解釈上の限界があり、高血圧そのものと大腸直腸がんのリスクとの関連の有無は明らかになっていないとのことです。今回、対象を未治療の高血圧症例に絞り、肥満や糖尿病の影響を調整した上で大腸直腸がんリスクを検討したものとなります。

 研究の手法は、60以上の保険団体の健診および医療費請求データを解析するというものです。このデータベースでは、2005年1月~2018年8月に252万8,157人が、健診において血圧を測定されていました。20歳未満、降圧薬が処方されていた症例、大腸直腸がんや大腸直腸ポリープの既往症例、大腸直腸がんのリスク因子である炎症性腸疾患症例を除外した222万112例を解析対象としました。

 1,112±854日の追跡で6,899件の大腸直腸がん診断が記録され、検定により、ベースライン時の血圧が高い群ほど大腸直腸がんリスクが高いという有意な関連が認められたようです(P<0.001)。

 大腸直腸がん発症に関連する可能性のある因子〔年齢、性別、肥満、ウエスト周囲長、糖尿病、脂質異常症、心筋梗塞の既往、喫煙・飲酒・身体活動習慣、非健康的食習慣(朝食欠食、就寝前の摂食など)、アスピリンの処方〕を調整後、ベースライン時にステージ2高血圧だった群は大腸直腸がんリスクが有意に高いことが分かったのです〔ハザード比(HR)1.17(95%信頼区間1.08~1.28)〕。また、収縮期血圧が10mmHg高いごとに大腸直腸がんリスクは4%上昇し〔HR1.04(同1.02~1.06)〕、拡張期血圧が10mmHg高いごとに6%上昇する〔HR1.06(同1.03~1.09)〕という関係が認められたのでございます。

 なお、性別に検討すると、男性ではステージ2高血圧だけでなく、ステージ1高血圧でも有意なリスク上昇が認められた〔HR1.10(同1.00~1.20)〕。一方、女性は血圧カテゴリー別の検討では有意な関連が見られなかったが、拡張期血圧が10mmHg高いごとにリスクが4%上昇する〔HR1.04(同1.00~1.09)〕という関係が存在しました。

 血圧の上昇は既知の大腸直腸がんリスク因子を調整後にも、大腸直腸がんのリスク上昇と有意に関連しており、特に男性でその関連が強かったことがわかりました。血圧測定が大腸直腸がんハイリスク者の特定に役立つ可能性があります。

原著

2022/02/14

健康講座453 妊娠中や授乳中の、新型コロナウイルスワクチン接種後における免疫応答

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に妊娠している女性や母乳育児をしている女性にとって、心強い研究結果が報告されました。妊娠中や授乳中の女性は、新型コロナウイルスワクチン接種後に強い免疫応答を示し、その免疫は子にも移行する可能性のあることが、米マサチューセッツ総合病院(MGH)の研究で明らかになったようです。

 この研究は、ファイザー社製またはモデルナ社製の新型コロナウイルスmRNAワクチンを接種した、妊娠と出産が可能な年齢の女性131人を対象としたものです。対象者のうち、84人が妊娠中(妊娠群)、31人が母乳育児中(母乳育児群)、16人がそのどちらでもなかった(非妊娠群)。新型コロナウイルスのスパイクタンパク質やその受容体結合ドメイン(RBD)に対するIgG、IgA、IgM抗体価を、試験開始時と2回目のワクチン接種時、2回目のワクチン接種後2〜6週間後、出産時に、血清(131人)と母乳(31人)で測定しました。また、出産時に臍帯血(10人)でも測定し、妊娠中に新型コロナウイルスに感染した女性(感染群)37人の感染後4〜12週間目の抗体価と比較しました。

 その結果、抗体価には、妊娠群(中央値で5.59)、母乳育児群(同5.74)、非妊娠群(5.62)の間で有意差は見られなかったようです(P=0.24)。また、これらの抗体価は、感染群の抗体価よりも有意に高かったです(P<0.0001)。さらに、ワクチン接種によって作られた抗体は、被験者から採取した臍帯血や母乳中にも検出され、抗体が母親から乳児に移行することが示されたのでございます。

 この研究により、新型コロナウイルスワクチンの接種により、乳児を保護する免疫を誘導できるという明確なエビデンスが得られたのです。そして、この研究がきっかけとなって、ワクチン開発者が妊娠中や母乳育児中の人も臨床試験の対象に含めることの重要性を認識し、対象を拡大した研究を実施するようになることを期待できそうです。

 この研究ではさらに、ファイザー社製ワクチンに比べて、モデルナ社製ワクチンでは、2回接種後には、主に粘膜で病原体への感染を防ぐIgA抗体価が高いことが判明したようです。新型コロナウイルスは鼻、口、目などの粘膜面を通して感染するため、この知見はあらゆる人にとって重要であります。とりわけ妊娠中および授乳中の女性にとっては、IgA抗体は母乳中に含まれる主要な抗体であるため特に重要でございます。

原著

2022/02/11

健康講座452 善玉コレステロール(HDL-C)と血圧の相関

みなさんどうもこんにちは。

小川DMCLです。

 善玉コレステロール(HDL-C)と血圧はU字型の関係にあるというデータが報告されました。この関係の背景として、HDL-Cが低くて血圧が高い場合はメタボリックシンドロームの影響、HDL-Cが高くて血圧が高い場合は飲酒習慣の影響が考えられるということです。神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科の研究によるものです。


 高比重リポタンパク(HDL)は心血管保護作用を有し、一般的にはHDL-Cが高い方が良いとされています。しかしHDL-Cが極端に高い場合(例えば100mg/dl以上)にも、心血管イベントリスクが高いことがあるようです。またHDL-CとBMIや中性脂肪(TG)が逆相関することはよく知られているようですが、HDL-Cと血圧との関連は十分に検討されていないそうです。そこで、特定健診のビックデータを用いてこの点の詳細な解析を行ったものです。

 解析対象は、2014年度の神奈川県内の特定健診受診者181万9,173人から、データ欠落のある人を除いた149万3,152人(男性55.6%)。HDL-C値に基づいて全体を9つの群に分け(最小値カテゴリーは39mg/dL以下、最大値カテゴリーは110mg/dL以上で、その間は10mg/dLごとに群分け)、その他の検査指標との関連を検討しました。

 まず全体的な傾向を見ると、年齢以外の全ての連続変数(血圧、BMI、TG、LDL-C、およびHbA1c)はHDL-Cの低い群で高く、また高血圧・糖尿病・脂質異常症の薬物療法中の患者の割合や、心血管疾患既往者や現喫煙者の割合もHDL-C低値群で高い傾向にあったようです。反対に身体活動習慣のある人と毎日飲酒する人の割合は、HDL-Cの高い群で高かったようです。

 HDL-Cと血圧との関連を詳細に検討すると、収縮期/拡張期血圧ともにHDL-C90~99mg/dLの群を底値とする左右が逆のJ字型の関係が認められました。高血圧(140/90mmHg以上または降圧薬の服用で定義)の有病率との関連を性別に検討すると、男性はHDL-C70~79mg/dL群を底値(高血圧有病率33.8%)、女性は90~99mg/dLの群を底値(同20.6%)とするU字型の関係が認められました。特に男性は女性に比べて、HDL-C最高値群(110mg/dl以上)での高血圧有病率(40.8%)の上昇が顕著だった。

 この関係は、年齢、現喫煙、糖尿病・脂質異常症の薬物療法、身体活動習慣、飲酒量で調整すると、HDL-C高値群での有病率がやや低下したが、男性では逆J字型の関係が維持されていました。女性ではHDL-C高値群での高血圧有病率の上昇は見られなくなったようです。さらに調整因子にBMIとTGを追加すると、HDL-C低値群での高血圧有病率は大きく低下して、男性、女性ともに正の線形の関係となったのです。


 次に、飲酒習慣との関連を見ると、習慣的飲酒〔オッズ比(OR)1.72(95%信頼区間1.71~1.74)〕だけでなく、機会飲酒〔OR1.59(同1.57~1.61)〕でも高血圧有病率の上昇が認められました。

 ややこしくてわかりにくいですが、要するにですよ、HDL-Cが低い場合と高い場合の双方が高血圧リスクに関連しているのでございます。この関係は複雑で、飲酒者と非飲酒者では異なるようです。また、臨床で遭遇することの多いHDL-C30~70mg/dL程度の範囲内でのHDL-Cと血圧の逆相関は、メタボリックシンドロームの影響によるものであり、HDL-Cがこれ以上高い場合に見られる高血圧は、飲酒の影響によるものではないかとのことです。

原著

2022/02/09

健康講座451 授乳と糖尿病

皆さまこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 母乳には、赤ちゃんの成長にさまざまなメリットのあることが知られています。しかし、母乳育児は赤ちゃんだけでなく、母親にも好影響をもたらす可能性のあることが報告されました。母乳育児を行った女性は出産後の糖尿病発症率が低く、その影響は3年後にも認められたということです。

 妊娠は、体重増加に加えて、インスリン(膵臓のβ細胞から分泌される血糖値を下げるホルモン)の作用が低下する「インスリン抵抗性」を引き起こすため、耐糖能が悪化する(血糖値が上がりやすくなる)と言われています。特に、妊娠糖尿病の既往、高齢、肥満などは、出産後の糖尿病発症リスクの上昇に関与するのです。

 韓国科学技術院(KAIST)は、出産後の女性174人(授乳婦85人と非授乳婦99人)を対象とし、出産後2カ月時点および、その後、少なくとも3年間にわたり毎年経過を追跡し、糖尿病発症リスクを比較検討しました。

 その結果、出産から2カ月時点では、授乳をしている女性と授乳していない女性の耐糖能は同等だったようです。しかしその後、授乳している女性では、インスリン分泌が改善して糖尿病リスクが低下することが分かったのです。さらにその状態は、出産後3年以上も維持されていました。

 研究グループによると、授乳により女性の糖尿病リスクが低下する機序には、母乳産生を促進する「プロラクチン」というホルモンが関与しているということです。マウスを用いた実験では、授乳により耐糖能が改善し、分娩3週後には膵臓のβ細胞量の増加が確認されました。またプロラクチンは、β細胞のインスリン分泌を刺激することも分かったのです。

 さらに、授乳中にはプロラクチンがβ細胞で「セロトニン」(幸福感に関わる神経伝達物質)の産生を促すことも発見しました。産生されたセロトニンは、その抗酸化作用によりβ細胞を保護するように働くのです。また、セロトニンがβ細胞の増殖を刺激して血糖値の安定化に寄与するという機序も見いだされました。

 授乳がβ細胞の量と機能、および血糖コントロールを改善することで、女性の健康に良い影響をもたらすことが示されました。将来的には、出産後の女性の糖代謝異常に対する新たな治療法につながるかもしれないですね。

原著

2022/02/07

健康講座450 心臓の健康と体脂肪を減らすメリット

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 若年者が心臓の健康を維持しようとするなら、筋肉をつけるより過剰な体脂肪を減らすことを優先すべきであるとする研究論文が掲載されたようでございます。

 この研究は、1991年4月1日~1992年12月31日に英国で生まれた子どもとその親を対象とする縦断研究のデータを用いて行われました。3,227人(男性39%)を対象として、10、13、18、25歳時点で体組成を評価。加えて25歳時点で血液検査を行い、コレステロール、トリグリセライド、アポリポ蛋白B、血糖値、インスリン、クレアチニン、C反応性蛋白、分岐鎖アミノ酸など228項目にわたる心血管代謝関連マーカーを測定。その測定結果と発育段階の体組成との関連を検討しました。

 解析の結果、思春期から若年成人期に体脂肪が減った人は、25歳時点で高血糖や炎症、高LDL(悪玉)-コレステロール血症などの心血管リスク因子を有している割合が、同じ期間に筋肉量が増えていた人よりも有意に少ないことが分かったようです。心臓病のリスク因子を減らす上で、体脂肪を減らすことは筋肉を増やすことよりもはるかに重要であるかもしれません。LDL-コレステロール値などについては、体脂肪減少が筋肉量増加より5倍も保護的に働くようです。

 筋肉量については、13~18歳までの青年期に増えた場合にのみ、心臓の健康面へのメリットがあるかもしれません。成長と発育の著しいこの時期には、ある程度、筋肉を増やす努力が必要かもしれないです。そして18歳以降に筋肉を増やしても、心臓の健康面のメリットは弱まるそうです。

 要するにですよ、筋肉は身体活動の維持には重要であり、そのほかにも多くの健康上のメリットがあります。また立派な筋肉を身にまとっていることは、それ自体称賛に値します。しかし、心臓病のリスクを抑えることに関しては、体脂肪を増やさないことの方が優先されるようでございます。

 体脂肪の減少を狙うのではなく、初めから過剰な体脂肪が蓄積しないようにすることを目指すことも重要です。健康的な食事と身体活動習慣を人生の早い段階で身に付け、小児期と青年期を通して健康的な体重を維持することで、心臓病のリスク因子をより遠ざけることが可能になります。さらに、より早い段階、つまりは乳児期や母親の子宮内にいる時期の環境が、成人後の心臓病リスク因子に影響を及ぼすことも考えられるのです。

 妊娠を考えている親に対して、健康な状態での妊娠と健康的な食事スタイルを教育することに焦点を当てるのは肝要でございます。また母乳での育児や、乳幼児期に年齢に適した量の健康的な食事を与えることも重要です。ただし、子どもの場合は大人とは異なる注意点もあります。具体的には、子どもは成長のためにエネルギーを必要としています。摂取量を制限することは、一般的には良い考えではないです。食事制限の代わりに運動やスポーツをし、活動的な子どもは、そのような体に良い習慣を成人期になっても維持している可能性が高いかもしれません。

原著

2022/02/04

健康講座449 ビタミンD欠乏症と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 ビタミンD欠乏症と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、入院時の血清ビタミンDレベルとCOVID-19の病期および肺炎の転帰との関連を調査したようです。その結果、COVID-19で入院した患者の59%がビタミンD欠乏症であり、COVID-19による死亡オッズ比は3.9であることが示されたようでございます。

 研究者らは、2020年3月1日~4月7日にAZ Delta General Hospitalに入院したSARS-CoV-2感染(PCR陽性)者186例を対象に、入院時の胸部コンピューター断層撮影(CT)と25(OH)D測定を組み合わせた後ろ向き観察試験を実施しました。また、ビタミンD欠乏症(25(OH)D<20ng/mL)が交絡する併存疾患に関係なく生存率と相関するかどうかを調べるために、多変量回帰分析が実施されたようです。

 なお、CT結果による病期は、すりガラス状陰影(初期、病期1)、すりガラス状陰影内部に網状影を伴うcrazy-paving pattern(進行期、病期2)、浸潤影を呈するconsolidation(ピーク期、病期3)としたようです。COVID-19による肺炎の影響を受けた肺組織の割合は、CT重症度スコア(0~25)として表されました。

 入院時の血清ビタミンDレベルとCOVID-19の病期および肺炎の転帰との関連を調査した主な結果は以下のとおりでございます。

・PCRで確認されたSARS-CoV-2感染者186例が入院し、そのうち男性が109例(58.6%)、女性が77例(41.4%)、年齢中央値はそれぞれ68歳(四分位範囲[IQR]:53~79歳)および71歳(IQR:65〜74歳)だった。
・入院時に測定された結果によると、186例中85例(46%)は病期3(ピーク期)、病期2(進行期)は30%、病期1(初期)は25%で、男女比に差は見られなかった。
・186例中109例(59%)は、入院時にビタミンD欠乏症(25(OH)D<20ng/mL)であり、男性では67%、女性では47%だった。
・男性患者では、CTによる病期が進むにつれて徐々に25(OH)Dの中央値が低くなり、ビタミンD欠乏率は、病期1の55%から病期2では67%、病期3では74%に増加した(p=0.0010)。一方、女性患者ではそのような病期依存の25(OH)D値変動は見られなかった。
・入院時の25(OH)D値と死亡率の関連を調べた結果、COVID-19患者186例のうち、27例(15%)が死亡し、そのうち67%が男性だった。
・死亡した患者は生存者と比べて、年齢(中央値:81歳vs.67歳、p<0.0001)、慢性肺疾患有病率(33% vs.12%、p=0.01)、冠動脈疾患有病率(82% vs.55%、p=0.02)、CT重症度スコア(15 vs.11、p=0.046)が高く、25(OH)D値(中央値:15.2 vs.18.9ng/mL、p=0.02)は低かった。
・二変量ロジスティック回帰分析によると、死亡率は年齢の上昇(オッズ比[OR]:1.09、95%信頼区間[CI]:1.03~1.14)、CT重症度スコアの上昇(OR:1.12、95%CI:1.01~1.25)、慢性肺疾患の存在(OR:3.61、95%CI:1.18~11.09)、およびビタミンD欠乏症の存在(OR:3.87、95%CI:1.30~11.55)とは独立して関連しており、性別、糖尿病および冠動脈疾患の有病率、CTによる病期とは関連していなかった。

 本研究は、慢性肺疾患、冠動脈疾患、糖尿病など、ビタミンDの影響を受ける併存疾患とは無関係に、入院時のビタミンD欠乏症とCOVID-19起因肺炎による死亡率との関連を示されました。
原著

2022/02/02

健康講座448 母乳と新型コロナウイルス

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 出産時に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患していた母親が母乳育児をすることで、乳児の新型コロナウイルスに対する免疫応答が高まる可能性のあることが明らかになったようです。


 乳児は母親から、胎盤と母乳を介して抗体を受け取ります。母親から与えられたこの受動免疫のおかげで、乳児が生後6カ月頃までは感染症にかかりにくいことはよく知られていことでございます。母乳がもたらすこのような保護効果は新型コロナウイルスに対しても例外ではなく、COVID-19の罹患歴がある母親やCOVID-19のワクチンを接種した母親の母乳には、新型コロナウイルスに対する抗体が含まれていることが、過去の研究で明らかにされているようです。

 出産時にCOVID-19に罹患していた母親とその子ども28組を対象に、出産から48時間後と生後2カ月時の全身免疫と粘膜免疫を評価し、それらの特徴を明らかにすることを試みたようです。全身免疫については、母親と胎児の血清中の新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に特異的なIgG抗体とIgA抗体、スパイクタンパク質の受容体結合ドメインに特異的なIgM抗体の有無により評価しました。また粘膜免疫については、母乳中と乳児の唾液中のIgG抗体とIgA抗体、母乳中のスパイクタンパク質とIgA抗体が結合した抗原抗体複合体の有無により評価しました。

 28組中21組の母子が、出産から2カ月後の追跡調査を完了しました。誕生直後に新型コロナウイルス陽性が判明し、垂直感染が疑われた乳児は1人だけだったようです。生後2カ月での唾液中の抗体レベルを、母乳で育てられていた乳児と粉ミルクで育てられていた乳児とで比較したところ、前者で、スパイクタンパク質に特異的なIgA抗体のレベルが有意に高いことが明らかになったようでございます(0.99AU対0.16AU)。また、母乳中の抗原抗体複合体のレベルを、COVID-19の急性期に当たる出産の48時間後と出産の2カ月後で比較したところ、前者の方が有意に高かったようです(0.53AU対0.09AU)。

 この研究により、母乳を介して抗原抗体複合体が乳児に移行し、それが乳児での免疫応答を誘導している可能性のあることが示されたようです。ただし、乳児の唾液中に検出された抗体が、新型コロナウルスに曝露した際に乳児を発症から守る特別な効果を持つことが示されたわけではないようです。

 乳児の唾液中の抗体が、目や鼻から侵入したウイルスから身を守るのに役立つ可能性があります。新型コロナウイルスから身を守るための抗体を母親からその子どもへ移行させる最良の方法は、妊娠中に母親がワクチンを接種することになりそうです。ワクチン接種により作られた抗体は、胎盤を介して胎児の血液に入り込むとも言われております。

2022/02/01

健康講座447 備忘録 新型コロナ感染関連 隔離(健康観察期間)が解除される条件

 こんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

新型コロナ感染症にて、隔離(健康観察期間)が解除されるには以下の条件を満たす必要があります。

私も、変化に追いつくのに必死で、備忘録としてメモを書き記します。


発症者 症状ありの場合

発症日の翌日から10日間経過(発症日を0日目としてカウント)し、かつ症状軽快後3日間経過していること。

症状軽快とは : 解熱剤なしで解熱、呼吸器症状の改善傾向


陽性判明の無症状の場合

検体採取日の翌日から10 7日間経過して引き続き症状がなければ療養解除となります。

無症状者が途中症状が出た場合、当初無症状の人であっ ても、途中で症状が出現してしまったら、発症から10日間は感染性があるとされているため、発症日が起算日になります。 療養解除については、保健所の指導に従ってください。


濃厚接触者の場合


最終接触日を0日として10 7日間の外出自粛、健康観察が必要

2022年1月28日政府は、エッセンシャルワーカー(医療従事者や公共交通機関、生活必需品製造・販売など)は、感染者との最後の接触から4日目と5日目に簡易な抗原定性検査キットで検査し、いずれも陰性だった場合は5日目から隔離解除が認められると公表しました。

同居者が陽性の場合は、陽性者の療養期間が終了した後から日数カウントします

COVID-19感染者の方でも10日経てば他者への感染性は低いと判断されます(症状がないか改善した場合)。

参考までに。

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...