2022/09/30

健康講座547 睡眠ストレス軽減

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 世界的にみてもわが国の睡眠時間、睡眠の質は低いといわれています。「睡眠が快適な人とそうでない人は何が違うのか」また「昼間の眠気は、睡眠事情が関係しているものなのか」を知る目的で、株式会社アイスタットは睡眠に関するアンケートの調査を行ったようです。

アンケート結果の概要
・最近1ヵ月間の睡眠状況が快適な人は34%。若い世代ほど快適が多い
・平日の平均睡眠時間は5~6時間未満(35%)が最多。対象が有職者のため短い傾向
・睡眠時間数が満足の割合は約30%で、睡眠時間が長い人ほど満足の人が多くなる傾向
・睡眠が快適・そうでない人の違いは、睡眠時間が6時間以上で満足、6時間未満で満足ではない
・日中の睡魔、居眠り、昼寝は、「たまにある(50%)」が最多。睡眠時間数が長い人ほど「ほとんどない」が多く、短い人ほど「頻繁にある」傾向
・日中の睡魔・居眠り・昼寝が頻繁・たまにある人とほとんどない人の違いは、睡眠時間が6時間以上か未満
・調査結果から、健康推進のためにいかに快適な睡眠をとることが大切か示唆された

健康のために確保したい7時間の睡眠時間

 「最近1ヵ月間の睡眠状況は、快適(ぐっすり眠れている、睡眠で身体の休養がとれるなど)かどうか」を聞いたところ、「非常に」「やや」を足し合わせた「快適」は34.0%、「あまり」「まったく」を足し合わせた「快適でない」は37.0%で「快適」が下回る結果となった。年代別では、「快適」と回答した人は「20・30代」(38.9%)で最も多く、年代が高くなるにつれ、快適の割合が低くなる傾向だった。また、睡眠時間別では、「快適」と回答した人は「7時間以上」(54.2%)が最も多く、睡眠時間が短くなるほど、快適の割合が低くなる傾向だった。

 「最近1ヵ月間の平日の平均睡眠時間」について聞いたところ、最近1ヵ月間の平日の平均睡眠時間では、「5~6時間未満」(35.0%)が最も多く、次に「6~7時間未満」(29.0%)と続いた。回答者が有職者対象のため、睡眠時間数が短い傾向がうかがえた。年代別では、「5時間未満」と回答した人は「50代」(24.1%)で最も多く、「5~6時間未満」では「40代」(38.1%)、「6~7時間未満」では「20・30代」(33.3%)、「7時間以上」では「20・30代」(20.4%)で最も多かった。

 先の質問と関連し、「睡眠時間数の満足度について」聞いたところ、「非常に満足」「やや満足」を足し合わせた「満足」は29.3%、「やや睡眠不足」「非常に睡眠不足」を足し合わせた「睡眠不足」は43.3%で、「睡眠不足」と回答した人の方が多かった。年代別では、「満足」と回答した人は「20・30代」(35.2%)で最も多く、「睡眠不足」と回答した人は「50代」(47.5%)で最も多い結果だった。また、睡眠時間別でみると、「満足」と回答した人は「7時間以上」(58.3%)だった。

 「休日以外の日中で、睡魔に襲われる、居眠り、昼寝をすることがあるか」と聞いたところ、「たまにある」(50%)が最も多く、次に「ほとんどない」(35%)、「頻繁にある」(15%)と続いた。年代別では、「頻繁にある」と回答した人は「50代」(17.0%)で最も多く、「たまにある」と回答した人は「20・30代」(57.4%)で、「ほとんどない」と回答した人は「40代」(37.1%)で最も多い結果となった。睡眠時間別では「頻繁にある」と回答した人の睡眠は「5時間未満」(35%)で最も多く、「ほとんどない」と回答した人の睡眠は「7時間以上」(56.3%)で最も多い結果だった。睡眠時間の長短だけでなく、中年期以降では睡眠時無呼吸症候群などの慢性疾患も併存している可能もあり、必要によっては治療の必要性も示唆される結果となった。

 「最近1ヵ月間の起床の仕方について(平均して最も多い起床の仕方なども含む)」を聞いたところ、「自然に目が覚める(体内時計)」が35.7%で最も多く、次に「携帯電話や目覚まし時計などのアラーム1回で起きる」の33.3%が続いた。年代別では「自然に目が覚める」は「50代」(39.7%)で最も多く、「携帯電話アラーム1回」は「20・30代」(35.2%)で最も多い結果だった。

 「最近1ヵ月間の睡眠について、11個の選択肢であてはまるもの」を聞いたところ、第1位は「トイレで起きることがある」(47.3%)、第2位は「眠りが浅い」(26.7%)、第3位は「朝起きても眠気を感じる、毎朝スッキリしない」(26.0%)だった。年代別では、睡眠にマイナスと思われる選択肢11個のうち、50代は「トイレで起きることがある」「眠りが浅い」「寝ているのに疲れが残っていてだるい」「寝付きが悪い」「朝早くに目覚めてしまう」「いびきをかいているとよく言われる」「睡眠導入剤や快眠サプリメントを服用している」「寝相が悪い」の8個が最も多かった。

 「就寝する部屋の状況」について7個の選択肢からあてはまるものを聞いたところ、「部屋は一人で寝ている」が44.7%で最も多く、次に「ベッドや布団の周りには物があまりなく、整理整頓されている」が33.7%と続いた。年代別では、睡眠にプラス的と思われる選択肢7個のうち、50代は「部屋は一人で寝ている」「外部の騒音など気にならない・静かである」「日当たりが良い部屋である」「部屋は日々、掃除機をかけたり、換気をしてキレイである」「就寝前、就寝中の部屋の温度、湿度は常に快適である」の5個が最も多く、快眠のための工夫がされている傾向がうかがえた。

 「最近1ヵ月間の日々の生活状況」について15個の選択肢からあてはまることを聞いたところ、「ストレスがある」(36.7%)が最も多かった。睡眠時間別では、「ストレスがある」「仕事が忙しい」「コロナ禍により、収入面・雇用面・生活面で大きなダメージを受けている」「肥満傾向である」「栄養バランスの良い食事を摂取していない」「規則正しい生活を送っていない」「持病がある」と回答した人の睡眠時間は、「5時間未満」が最も多かった。一方、「どれもあてはまらない」と回答した人は「7時間以上(35.4%)」が最も多い結果だった。睡眠時間の長さが、ストレスの軽減に役立つことが示唆された。
参考

2022/09/26

健康講座546 日本人の食事摂取基準(2020年版

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の報告書とりまとめ、2020年~2024年までの使用が予定されています。

 日本人の食事摂取基準(2020年版)の改定では、2015年版をベースとしつつ、『社会生活を営むために必要な機能の維持および向上』を策定方針とし、これまでの生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病)の重症化予防に加え、高齢者の低栄養・フレイル防止を視野に入れて検討がなされました。主な改定点として、

・高齢者を65~74歳、75歳以上の2つに区分
・生活習慣病における発症予防の観点からナトリウムの目標量引き下げ
・重症化予防を目的としてナトリウム量やコレステロール量を新たに記載
・フレイル予防の観点から高齢者のタンパク質の目標量を見直し

などが挙げられるようです。

 まず、総論から各論や数値を理解することが求められます。日本人の食事摂取基準(2020年版)の総論には、“同じ指標であっても、栄養素の間でその設定方法および活用方法が異なる場合があるので注意を要する”と記載し、総論以外にも各項目の目標量などがどのように概算されたのかがわかるように『各論』を設けてます。

 以下に日本人の食事摂取基準(2020年版)の各論で取り上げられる具体的な内容を抜粋します。

タンパク質:高齢者におけるフレイルの発症予防を目的とした量を算定することは難しいため、少なくとも推奨量以上とし、高齢者については摂取実態とタンパク質の栄養素としての重要性を鑑みて、ほかの年齢区分よりも引き上げた。また、耐容上限量は、最も関連が深いと考えられる腎機能への影響を考慮すべきではあるが、基準を設定し得る明確な根拠となる報告が十分ではないことから、設定しなかった。

脂質:コレステロールは、体内でも合成される。そのために目標量を設定することは難しいが、脂質異常症および循環器疾患予防の観点から過剰摂取とならないように算定が必要である。一方、脂質異常症の重症化予防の目的からは、200mg/日未満に留めることが望ましい。

炭水化物:炭水化物の目標量は、炭水化物(とくに糖質)がエネルギー源として重要な役割を担っていることから、アルコールを含む合計量として、タンパク質および脂質の残余として目標量(範囲)を設定した。ただし、食物繊維の摂取量が少なくならないように、炭水化物の質に留意が必要である。

脂溶性ビタミン:ビタミンDは、多くの日本人で欠乏または不足している可能性があるが、摂取量の日間変動が非常に大きく、摂取量の約8割が魚介類に由来し、日照でも産生されるという点で、必要量を算出するのが難しい。このため、ビタミンDの必要量として、アメリカ・カナダの食事摂取基準で示されている推奨量から日照による産生量を差し引いた上で、摂取実態を踏まえた目安量を設定した。ビタミンDは日照により産生されるため、フレイル予防を図る者を含めて全年齢区分を通じて可能な範囲内での適度な日照を心がけるとともに、ビタミンDの摂取については、日照時間を考慮に入れることが重要である。
参考

2022/09/23

健康講座545 キュウイフルーツのチカラ

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 さて、突然ですが、日本人の果物摂取量は、世界174カ国中129位だそうです。

世界平均よりも、アジア平均よりもさらに低い状況です。

家計調査によると、デザートの中でも果物は特に低い支出になっています。

これは食の多様化や個食化の影響が、強く表れていそうです。

しかし、果物の摂取が健康維持増進に対してさまざまな良い影響を与えているというのも事実。だからこそ、国では健康日本21、食生活指針、食事バランスガイドを通じて、果物を積極的に食べることを推奨しています。

ところが「野菜は350gそのうち緑黄色野菜は120g」と野菜の摂取は具体的に提示しているのに対し、果物は「1日200g」だけです。果物の質は問われていません。超高齢社会の我が国では、「新型栄養失調」と呼ばれる低栄養の問題があります。食事量が減る高齢者の場合は「何を食べるか」という、食事の質が問われている時代。果物の摂取にも、質が重要です。


栄養素充足率スコアとは、果物の重量100g(可食部)に含まれる17種類の栄養素※1の、「日本人の食事摂取基準 2015年度版」における1日当たりの摂取基準(30~49歳女性での推奨量、目標量、目安量)に対する割合を算出し、その平均値をとったものです。

※1 17種類の栄養素:たんぱく質、食物繊維、カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウム、亜鉛、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、ビタミンA、ビタミンE


これによると、日本人がよく食べているといわれる、バナナやミカンよりもキウイの充足率が優れていることがわかります。

これが、キウイが「高栄養密度フルーツ」と言われる理由です。

緑色の果肉のキウイフルーツ(緑肉種)には日本人に不足しがちな食物繊維が豊富に(可食部100gあたり3g)含まれています。野菜からだけではなく、果物や穀類からも食物繊維を摂取することで、目標摂取量に近づけることができます。

またゴールドキウイ(黄肉種)1個にはレモン(果汁換算)8個分のビタミンCが含まれており、果物の中ではトップクラスです。

さらにビタミンEも同時に摂取できるなど、キウイはバランスよくさまざまな栄養素を含んでいます。食が細くなり、効率よく栄養素を摂取する必要がある高齢者にも適した果物と言えそうです。

◆キウイは、低GI食品

キウイのGI値は、グリーンキウイ(緑肉種)が39、ゴールドキウイ(黄肉種)が38※2と一般的に低GIといわれる分類に属しています。

※2 Rush & Drummond, 2009 and Chen, Wu, Weng and Liu, 2011 より約15の臨床研究データの平均より算出。

ウェイトコントロールが必要な糖尿病患者さんの場合は、カロリーだけを制限すると、食事量の不足から空腹感が強くなりストレスの原因になってしまいます。また、世間で流行している極度の糖質制限では、穀類を減らすことで、ただでさえ不足気味の食物繊維がさらに不足する傾向もあります。

そのような時は穀類の適量摂取とあわせてGI値の低い果物がオススメ。果物は水分や食物繊維が多く、お腹の中で満足感を得られる上に、天然の甘味が楽しめます。栄養バランスのとれた果物を食事指導の現場でも活用していきましょう。


注記:
キウイにはアクチニジンというたんぱく質分解酵素が含まれています。アクチニジンはお肉などのたんぱく質の消化を助ける働きがある一方で食物アレルギーのアレルゲンでもあります。アレルギーが心配な人は、医療機関へご相談ください。






2022/09/19

健康講座544 新型コロナウイルス潜伏期の変遷

皆さんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

  新型コロナウイルスの変異株の進化に伴い、アルファ株からオミクロン株へ、その潜伏期間が徐々に短縮していることが示唆されました。また、小児および高齢患者で潜伏期間が長い傾向がみられているようでございます。中国・北京大学は、それぞれの変異株によって引き起こされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の潜伏期間を体系的に評価することを目的にシステマティックレビューとメタ解析を実施しました。

 2019年12月1日~2022年2月10日に、PubMed、EMBASE、ScienceDirectが検索され、PRISMAガイドラインに基づきレビュー担当者が適格な研究からデータを個別に抽出しました。潜伏期間は感染から徴候や症状の発症までの時間と定義され、主要評価項目はSARS-CoV-2株ごとの潜伏期間の平均推定値とされました。

 主な結果は以下のとおりでございます。

・8,112例を対象とした合計142件の研究が含まれた。
・潜伏期間について、プールされた平均推定値は6.57日だった。
・アルファ、ベータ、デルタ、およびオミクロン株の潜伏期間について、それぞれ1研究(6,374例)、1研究(10例)、6研究(2,368例)、および 5研究(829 例)のデータが収集された。
・変異株ごとにみた平均潜伏期間は、アルファ株で5.00日、ベータ株で4.50日、デルタ株は4.41日、およびオミクロン株で3.42日だった。
・年齢および重症度ごとにみた平均潜伏期間は、高齢患者(60歳以上)で7.43日、小児患者(18 歳以下)で8.82日だった。また、重症でない患者では 6.99 日、重症の患者では6.69日だった。
 
 本結果は新型コロナウイルスがCOVID-19パンデミックを通して継続的に進化および変異し、さまざまな形の感染性および病原性を持つ変異株を生成したことを示唆しているとし、変異株の潜伏期間を特定することは、隔離期間を決定するうえで重要な要素となると思われます。

原著

2022/09/16

健康講座543 糖尿病患者さんの果物との付き合い

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 日本の糖尿病患者さんのBMIに着目した推移を調べると、1型も2型も体重が増加し、徐々に肥満傾向が強くなってきているそうです。こうした現状を考えると、エネルギー管理に加えて、炭水化物や糖質管理の必要性を、糖尿病患者にしっかりと伝える必要があると感じます。

食事療法は、糖尿病患者にとって治療の根幹となるものでございます。

血糖の状態を改善するためには、患者さんが長期間続けてきた食生活や嗜好を十分にヒアリングした上で、アドバイスをする必要があります。

食後の高血糖は、心血管疾患の進行に悪影響を及ぼします。

糖尿病による合併症を予防するためには、「食後血糖値」の管理がとても重要になり、「食後血糖値」を管理する事で、血糖値の急激な上昇を予防しながら、合併症を出さずに病状を維持できるのでございます。


食品交換表では、従来までのエネルギー管理のほかに、血糖管理を意識した説明が各所に追加さてきてます。また炭水化物のエネルギー比が50〜60%となっているように、さまざまな症例に合わせて柔軟に対応できるようになってます。

さらに低炭水化物食が話題になっていることから、極端な低炭水化物食への注意喚起も行われています。炭水化物を減らせば血糖値は下がるものの、極端な低炭水化物状態は、患者自身の食習慣に馴染まないため長続きしないなどの弊害もあるのでございます。

糖尿病治療においては、食事療法と運動療法を行い、血糖値の山と谷を平にし、必要に応じて薬物療法を追加することで、血糖管理が上手くいくように戦略を組みます。血糖値には、朝・昼・夜の3つの山があり、この山の高さをできるだけ小さくすることが、合併症の予防につながるのでございます。これからの食事指導は、エネルギー量をチェックするだけではなく、食後の血糖値に直結する糖質量もチェックする視点が重要です。

食品交換保表では、表1、表2、表4、調味料に炭水化物・糖質・食物繊維含有量の表が入ってきてます。これを使えば、もう患者さんに「お菓子はダメ」という指導ではなくなる。食品交換表を利用して「今食べているお菓子の糖質量は**だから、こちらのお菓子に変えると血糖値が僅かでも良くなる」と具体的に指導することができるのです。


※極端な低炭水化物食への注意喚起:

米国や欧州などのガイドラインにおいては、炭水化物の摂取量をエネルギー比で50~60%としており、RCTを解析したEBMに基づく勧告では55~65%が提案されています。また、米国糖尿病協会(ADA)は炭水化物を少なくとも1日130gは摂取するように勧めています。

「果物=フルクトース」というイメージで思われがちだが、果物により含まれる糖の量や種類もさまざま。糖質の種類という観点から、きちんとその組成を知って、患者さんにも紹介したいものであります。

果物を多く食べる人は、あまり食べない人と比べ、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが最大19%減少することが、厚生労働省研究班の調査でわかっています。

また、米国の調査では、果物は糖尿病発症を減少させるという成績もあるようです。

※BazaanoLA, JoshipuraKJ, Tricia YLet al : Diabetes Care 31 : 1331-1317, 2008

ただし、糖尿病患者の中には、果物は太らないと思っている人もいて、過剰摂取につながることもケアする必要があります。特に果物に含まれている果糖は、ショ糖の1.1〜1.7倍ほど甘味度が高いので、果糖の甘味についてしっかり説明した上で、患者の状態にあった果物のアドバイスをしたいところです。


その際に、もう1つ参考にしたいのが、果物に含まれる食物繊維の含有量。

果物の食物繊維含有量を見ると、ブルーベリーやキウイは食物繊維が多く含まれているが、バナナやぶどうの食物繊維含有量は決して多くはないです。

また、例えば、りんごを丸かじりする欧米人と比べて、日本人は皮をむいて食べる習慣があります。果物の皮には食物繊維が豊富に含まれており、食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑制する効果もあります。咀嚼や栄養の面から考えれば、皮をむかずに食べることができる果物はできるだけ皮をむかずに食べる方が良いでしょう。

糖尿病患者の果物の摂取は、食品交換表にもあるように1日1単位が目安。

ただし、糖尿病患者の場合、空腹時に同じものを食べても、健常者よりも血糖値が変動しやすく、食後血糖値にも大きな個人差があることは考慮する必要があるのです。

果物をつい食べ過ぎてしまう場合は、

  • 果物を食直後のデザートとして提案する。
  • 一人分ずつ小皿に適量を盛り付ける。

このような工夫で、果物の摂取量を抑制することがポイントとなるのです。

果物は低GI食品であることに加え、果物そのものが持つ本来の甘味で、糖尿病患者の「甘さ」の欲求に応えることもできる優秀な食材ではあります。


果物の重要性及び適量摂取に加え、個人の嗜好に合わせた食の楽しみを栄養指導の中でも伝えていきたいです。


2022/09/12

発熱外来について

 ◇発熱外来について◇

患者様の安全・安心を最優先し、定期診察・一般診療・ワクチン接種の方と、風邪症状(咳・鼻水・倦怠感・発熱や味覚障害など)に、1つでも当てはまる方の診療場所を分けて診察いたします。

■発熱外来の流れ

①咳・鼻水・倦怠感・発熱や味覚障害などがあるかたは、
    発熱外来のご予約は原則WEB予約、LINE予約とさせていただいております。
 上記の予約方法が困難な方は、お電話(052-604-8080)にてご予約ください。


②ご予約時間に発熱外来の専用駐車場までお越しください。
 ※お会計は現金のみとなっております。お薬代込みで5000円程度ご準備ください。
 ※保険証は必ずご持参ください。保険証がない場合は、全額自費対応となります。
 ※発熱外来の受付はお電話にて原則完全予約制となっております。
 ※陽性証明書、陰性証明書は別途3,000円(税込)かかります。


③発熱外来用駐車場に到着いたしましたら、当院まで必ずお電話ください。
④検査後、医師から結果のお伝えのお電話をいたします。
⑤お会計で再度お電話いたします。


■注意事項

1. 当院は新型コロナ、インフルエンザ同時検査を原則として行っております。PCR検査は行っておりませんのでご了承ください。抗原検査とPCR検査の違いについての詳細はこちらをご参照ください。

2. 新型コロナ感染症を疑わせる症状(咳・鼻水・倦怠感・発熱や味覚障害など)がある方や濃厚接触者は、保険診療で抗原検査を行えます。当クリニックでは、自覚症状がなく、濃厚接触者にも該当しない方は、自由診療(自費)になりますのでご理解ください。抗原検査陰性/陽性証明書(診断書)をご希望の場合は、別途費用(3,000円)がかかりますのでご了承ください

3. 新型コロナウイルス(COVID-19)のPCR検査に関しての質問や実施等に関しましては、まず最寄りの保健所にお問い合わせください。東海市は知多保健所 (0562-32-6211)が最寄りの保健所になります。ご自身の最寄りの保健所はこちらのサイトをご参考ください。

4. 院内での受診がとても心配な方は、車内で受付から処方箋発行まで完結出来ます。
ご希望の方は、当院到着後にお電話(052-604-8080)ください。

健康講座542 新型コロナウイルス後遺症

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは、6月1日に第86回の会議を開催し、その中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の遷延症状に関する研究が報告されました。中等症以上の患者を対象とした研究では、退院後12ヵ月後でも13.6%の対象者に何らかの罹患後症状が存在していました。また、もう一方の長期合併症の実態把握と病態生理解明の研究では、12ヵ月後でも疲労感、呼吸困難、筋力低下、集中力低下などの症状が続いていたようです。


退院後、12ヵ月後でも13.6%に何らかの罹患後症状

 「COVID-19後遺障害に関する実態調査(中等症以上対象)」は、わが国の中等症以上のCOVID-19の、特に呼吸器関連における他覚・自覚症状の遷延(いわゆる後遺症)の実態とバイオマーカーなどの予測因子を検討するとともに心疾患の影響(潜在性/顕性心筋炎)についても検討したものがあります。

【研究概要】
対象:2020年9月~2021年9月にCOVID-19で入院した中等症以上の患者(20歳以上で同意が得られた者)
調査施設:全国55施設(n=1,003例)
方法:退院後3ヵ月後に受診し、医師の問診(罹患後症状)、アンケート(睡眠、不安・抑鬱、QOL)、肺機能検査、胸部CTを施行。罹患後症状が残る場合はさらに3ヵ月後に受診し、最長12ヵ月間フォロー。

【研究の結果】
・肺CT画像所見
 3ヵ月の時点で画像所見は遷延することが多かったが、12ヵ月の時点で6.3%まで低下していた。胸部CT異常(主治医判定)がある群は無い群と比べて、呼吸困難や筋力低下の割合が多く、肺拡散能も低下していた。
・肺機能
 肺機能低下の遷延程度は重症度に依存、肺拡散能が障害されやすかった。
・自覚症状
 筋力低下、呼吸困難、倦怠感の順に多く、時間経過に伴って頻度は低下した。罹患後症状のうち、筋力低下と息苦しさは明確に重症度に依存していた。
・心臓への影響(対象31例)
 退院3ヵ月後に心臓MRIで評価したところ、42%で心障害を認め、26%で心筋炎の基準を満たした。また、左室心筋の短軸方向の収縮が有意に低下していた。
・リスク因子についての検討
 3ヵ月後の呼吸器系罹患後症状について、多変量解析で検討したところ、重症度と既存の呼吸器疾患が独立した因子であった。肺機能検査異常に関しては年齢、重症度、バイオマーカーであるセレクチンリガンドを有するKL-6(SLAK)が寄与していた。

まとめ
 退院後12ヵ月の時点で、何らかの罹患後症状は13.6%、肺機能検査異常は7.1%、胸部CT検査異常は6.3%で残存していた。

中年者(41~64歳)には罹患後症状が多い傾向が明らかに

 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究」では、わが国におけるCOVID-19の長期合併症の実態把握と病態生理の理解のために行われた。

【研究概要】
対象:2020年1月~2021年2月にCOVID-19 PCRもしくは抗原検査陽性で入院した18歳以上の患者
調査施設:全国27施設(n=1,200)
方法:関連する診療科の専門家の意見を統合した症状に対する問診項目を網羅的に作成し、研究対象から自覚症状について回答を得た。国際的に確立した各種質問票を用いた多面的かつ高精度の調査研究を実施。

【研究の結果】
・患者背景
 男性679例、女性387例と男性が多く、年代は50代以上が多く、わが国のCOVID-19臨床を反映した背景となっていた。
・重症度
 軽症(無症状含む)が247例、中等症Iが412例、中等症IIが226例、重症が100例であり、軽症および中等症Iの患者を多く含んでいた。
・遷延する症状の影響
 1つ遷延症状が存在すると健康に関連したQOLは低下し、不安や抑うつ、COVID-19に対する恐怖、睡眠障害を自覚する傾向は強まった。
・遷延症状の経時的経過
 代表的な24症状(例:倦怠感、呼吸困難、筋力低下など)の多くは経時的に低下傾向を認めた。
・遷延症状の12ヵ月後の経過
 12ヵ月後に5%以上残存していた遷延症状は次の通り。疲労感・倦怠感(13%)、呼吸困難(9%)、筋力低下(8%)、集中力低下(8%)、睡眠障害(7%)、記憶障害(7%)、関節痛(6%)、筋肉痛(6%)、咳(5%)、痰(5%)、脱毛(5%)、頭痛(5%)、味覚障害(5%)、嗅覚障害(5%)。
・年齢による特徴
 中年者(41~64歳)は他の世代と比較して罹患後症状が多い傾向を認めた。個別の症状として、12ヵ月時点で咳、痰、関節痛、筋肉痛、筋力低下、眼科症状は高齢者に多く、感覚過敏、味覚障害、嗅覚障害、脱毛、頭痛は若年者に多く、罹患後症状の分布に世代間での差異を認めた。
・性差による特徴
 3ヵ月時点では女性で男性と比べて咳、倦怠感、脱毛、頭痛、集中力低下、睡眠障害、味覚障害、嗅覚障害などさまざまな症状が高頻度で認められた。一方、12ヵ月時点で咳、痰、関節痛、筋肉痛、皮疹、手足のしびれが男性で高頻度となり、全体の頻度としては性差が減少した。
・重症度による特徴
 入院中に酸素需要のあった重症度の高い患者は酸素需要のなかった患者と比べて3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月といずれの時点でも罹患後症状を有する頻度が高かった。全体での罹患後症状の有症状率は酸素需要有りが45.7% (6ヵ月)、36.1% (12ヵ月) 、酸素需要無しが37.7% (6ヵ月)、31.8%(12ヵ月)であった。重症度による頻度の差は10%未満であった。


2022/09/09

健康講座541 運動後サウナの効能

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 運動するとき、心臓の健康へのメリットのために、運動後に15分間、サウナに入ると良いかもしれないとう報告がみつかりました。ユヴァスキュラ大学(フィンランド)の行った研究から、運動のみでも心血管系の健康上のメリットを得られるが、サウナに入るとさらに効果が上乗せされることが分かりました。

 この研究では、サウナが心血管系の健康をどのように高めるのかというメカニズムは調査されていないが、サウナに確かにメリットがあることはこれまでの研究で明らかになっているのです。サウナ入浴に伴う急性の心血管反応は、少なくとも中強度の運動に匹敵することが示されています。また、サウナはフィンランド文化の不可欠な要素であり、フィンランドでは車の台数よりもサウナの方が多いそうです。

 研究は、運動時間が週に30分未満で座業中心の生活を送っている、30〜64歳の成人ボランティア47人を対象に実施された。参加者の主な特徴は、平均年齢49±9歳、女性87%、BMI31.3±4.1、最大酸素摂取量(VO2max)28.3±5.6mL/kg/分で、全員が何らかの心血管疾患リスク因子(高コレステロール血症、高血圧、肥満、喫煙、冠動脈性心疾患の家族歴など)を有していた。

 全体を無作為に3群に分け、1群は運動(筋力トレーニングと有酸素運動を1回50分、週3回)を8週間続ける「運動群」、他の1群は同様の運動を行った後に15分間のサウナ入浴をする「サウナ群」とした。残りの1群は運動もサウナ入浴もしない「対照群」。なお、サウナの温度は摂氏65℃からスタートし、2週ごとに5℃ずつ上げていき、最後の2週間は80℃とした。また、入浴中に不快になった場合は自由に中止して良いことを事前に伝えた。ただし、サウナ群の全員が毎回15分の入浴を完了した。

 8週間の介入前後の変化を、まず運動群と対照群との比較で見ると、運動群ではVO2maxが有意に大きく上昇し、体脂肪量は有意に大きく減少しており、運動の効果が認められた。次に、サウナ群と運動群を比較すると、以下のように、サウナ群でより大きな改善効果が認められた。VO2maxは平均差2.7mL/kg/分、収縮期血圧は同-8.0mmHg、総コレステロールは同-19mg/dL。

 心血管の健康に対するサウナ入浴または温熱療法の効果は以前から研究されている。熱によって血管が拡張して体温の高い状態が維持され、血流と心拍数が上昇する。また、血管内皮細胞において、血管拡張作用があり心血管系の健康にとって大切な一酸化窒素(NO)の産生が増加する。運動もこれと同様の効果を生み出すが、運動とサウナ入浴や温熱療法を組み合わせると、相乗効果が発揮されるかもしれません。

 運動とサウナの併用によって、運動で得られる心血管危険因子の改善を上回るメリットを得られるようです。ただし、重度の心血管疾患があり、病状が不安定な患者はサウナを避けるべきです。

原著

2022/09/05

健康講座540 第7波における新型コロナウイルス感染症 重症化リスク因子について(速報)

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 8月13日に開催された厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで「第7波における新型コロナウイルス感染症 重症化リスク因子について(速報)」が報告されたようです。


 その結果、重症化のリスク因子として70代以上の高齢者、ワクチンの未接種、慢性呼吸器疾患、(非透析の)慢性腎臓病、男性、やせ体形につき、統計学的な有意差があったようです。

【調査概要】
対象など: 2022年7月1日〜31日までに新潟県内でCOVID-19と診断届出された3万6,937件(重症度などの最終確認日は8月10日)。
調査方法:陽性判明時点で収集可能な患者背景から、年齢・性別・ワクチン接種の有無などの患者基礎情報と高血圧・糖尿病・慢性腎臓病などの基礎疾患情報の項目を同時に投入し、多重ロジスティック回帰分析を実施。重症化リスク因子のオッズ比を算出。

【結果】
(1)年代別
・3万6,937例中、103例が中等症II以上だった(中等症・重症化率 0.3%)。
・中等症II以上103例のうち、施設入所者は41例(約40%)で、80代以上は41例中35例。
・年代が高くなるほど、重症化のオッズ比は高い傾向にあり、30代と比較して、70代以上のオッズ比が63〜283と高い値。
(2)性別・ワクチン接種
・女性よりも男性が重症化リスクが高い(オッズ比2.67)。
・ワクチン接種(2回以上)をしていると、重症化リスクが低くなる(オッズ比:2回で0.27、3回で0.2、4回で0.25)。
(3)肥満
・肥満(BMI 25以上)は有意差があるとはいえなかった(オッズ比:BMI 25~30未満で1.6、30以上で1.55)。
・やせ型(BMI 18.5未満)のオッズ比は2.05と高い値だった。これは、やせの高齢者(いわゆるフレイル)が中等症IIとなる割合が大きいためと考えられる。
(4)基礎疾患(オッズ比2以上のみ記載)
・慢性呼吸器疾患(COPD、間質性肺炎、治療中の喘息などを含む)のオッズ比は2.84
・慢性腎臓病の非透析のオッズ比は3.42、透析のオッズ比は2.67
・持続陽圧呼吸療法(CPAP)使用のオッズ比は2.47
・悪性腫瘍のオッズ比は2.24

高齢者では肥満よりもやせ型の感染者に注意

【追加解析】
 2022年1~6月(第6波:6万4,000件)と2022年7月(第7波:3万6,937件)を追加解析(合計:10万937件)。
・第6波と第7波での中等症II以上の割合の比較では、第6波の中等症I以下は99.5%、中等症II以上は0.5%だったのに対し、第7波での中等症I以下は99.7%、中等症II以上は0.3%と減少した。
・第7波では少数だが10歳未満でも中等症II以上の患者が発生している(第6波ではみられていない)。

【解析のまとめ】
・中等症II以上のリスクは第6波と比べて第7波で低下。
・80代以上でも、中等症II以上は2.3〜5.8%程度。
・第7波の中等症II以上は、年齢中央値は83歳、4割が施設入所者。
・ワクチン未接種は重症化リスクを上昇させる。中等症II以上の患者のうち、ワクチン未接種は約20%(ワクチン未接種者割合は5〜11歳67.9%、65歳以上4.4%)。
・中等症IIのリスク上昇には、基礎疾患のほとんどは明確な寄与がなく、有意な差があったのは、
(1)高齢(70、80代以上で高い)
(2)ワクチン未接種
(3)慢性呼吸器疾患(COPD、間質性肺炎、治療中の喘息を含む)
(4)非透析の慢性腎臓病
(5)男性
(6)やせ(BMI<18.5:高齢者のフレイルなど)
であった。

 また、第7波では小児の中等症II以上もみられており、注視が必要(小児へのワクチン接種が重要)と同時にワクチン未接種者へのワクチン接種が重要であるとの記載がありました。

参考

2022/09/02

健康講座539 オミクロンとデルタの致死率

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡のリスクは、オミクロン変異株(BA.1)のほうがデルタ変異株(B.1.617.2)より低いようです。英国・Office for National Statisticsの後ろ向きコホート研究結果報告です。これまでに、オミクロン株のすべての系統(BA.1、BA.2、BA.3、BA.4、BA.5)はデルタ株より感染しやすいが、SARS-CoV-2検査陽性後28日以内の入院および死亡リスクは、オミクロン株のほうがデルタ株より低いことが示唆されていました。


 PCR検査が陽性で、分析にてオミクロンBA.1またはデルタ株の感染が確定し、国家統計局公衆衛生データの18~100歳の103万5,149例を解析対象とした。

 主要評価項目は、死亡診断書で特定されたCOVID-19関連死で解析した。

オミクロンBA.1によるCOVID-19関連死のリスクは、デルタ株より66%低下でした



 デルタ株と比較してオミクロンBA.1では、入院に関して重症化リスクが低いことを示唆するものです。
原著

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...