2020/01/31

健康講座183~1日10分の運動と認知機能

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニックです。


 1日わずか10分の運動で認知機能を良好に維持できる可能性が、フラミンガム研究から報告された。


 フラミンガム研究は、米マサチューセッツ州で1948年から行われている大規模疫学研究。当初からの参加者に加えその子孫も対象とし、健康状態や生活習慣について現在も追跡が続けられている。参加者2,770人を対象に、中年および高齢のグループ別に身体活動量や強度と認知機能の関係を検討した。

 
 その結果、いずれのグループも1日約10~20分の中等度~高強度の身体活動を行っている人で、良好な認知機能との関連が認められた。また、中年グループでは、わずか10分の中等度~高強度の身体活動を行っている人でも言語記憶が良好だった。高齢グループでは、身体活動の強度ではなく、総活動量が認知機能の高さとより強く関係していた。



 今回の研究結果は運動によってアルツハイマー病などの認知症を抑制できるかどうかを示すものではないが、身体活動が早期の認知機能低下の予防に役立つことを示唆する。


 少しでも良いのでお散歩できると良いですね。

 

 




2020/01/29

健康講座182~怖い脂肪肝と酸化コレステロール

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニックです。


 メタボリックシンドロームにしばしば合併する脂肪肝だが、実は動脈硬化リスクも伴う。自覚症状に乏しいことから、一般メディアでは“隠れ脂肪肝”などと呼ばれる。しかし、脂肪肝だからと言って、ただ“脂モノ”を控えるという対処は正しくない。

 

脂肪肝/脂肪肝炎は、肝硬変・肝がんだけでなく心血管疾患リスクにも
 アルコールの影響を受けていない脂肪肝は、脂肪が肝臓に蓄積した「非アルコール性脂肪肝(NAFL)」と、さらに炎症や線維化を伴った「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」に分類される。しかし、区別が難しいため、NAFLとNASHの総称として「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」とも呼ばれる。

 NASHは、炎症を繰り返すうちに線維化が進み(肝硬変)、肝がんに至るケースもあるとわかってきた。20年ほど前は、「脂肪肝は、がんにならない」と言われていたが、ウイルス性肝炎由来の肝細胞がんが治療法の進歩により減り、相対的に、脂肪肝炎由来のがん症例の増加が浮き彫りになっているという。

 NASHがウイルス性肝炎と決定的に違うのは、虚血性心疾患のリスクを伴う点。米国において、NAFLD患者は肝がんより心血管疾患で死亡する例のほうが多いという報告もある。


NAFLDは、肥満や糖尿病をはじめとする生活習慣病と高率に合併し、国内の有病率は、男性では40~59歳の40%以上、女性では60~69歳の30%以上との報告がある。また、NAFLD患者の生存率は、肝線維化と強く関連することがわかっている。

 脂肪肝は、腹部エコーで腎皮質よりも白く映る(肝腎コントラスト陽性)所見により、健診などで発覚し、その後は『NAFLD/NASH診療ガイドライン2014』のチャートに従って診断される。線維化の段階を評価するためには、FIB-4 index(肝線維化の進行度を非侵襲的に推測するためのスコアリングシステム/日本肝臓学会)や、MR Elastographyを用いた画像化による方法があり、NASHが疑われる場合は、専門医の受診が勧められる。動脈硬化性疾患のリスクに潜む“隠れ脂肪肝”を、今後見過ごすわけにはいかない。



次に、、酸化コレステロールと動脈硬化の関連性について説明します。動脈硬化は、高血圧、脂質異常症、糖尿病などによってダメージを受けた血管壁に、LDLが入り込むことで進行します。

 通常、LDLはコレステロールを肝臓から末梢に運んでいるが、生活習慣病の人には、血管壁に入り込みやすい、小型で密度の高いLDL(small dense LDL)が存在するという。これは、“超悪玉コレステロール”とも呼ばれ、近年注目を集めている。このsmall dense LDLが、動脈硬化を強力に誘発すると考えられ、血清脂質値が正常にもかかわらず、動脈硬化を引き起こした例も報告されている。

 血管壁に入り込んだLDLは、「酸化」されることで白血球のターゲットとなり、プラークの形成をもたらす。LDLの酸化反応は、身近な食品中にも含まれる「酸化コレステロール」によって促進され、とくに、small dense LDLは酸化しやすい。

 つまり、動脈硬化を防ぐためには、酸化コレステロールが多く含まれる食品を避けたほうがよい。例えとして、焼き鳥の皮の部分、インスタントラーメンの麺、マーガリンやマヨネーズの変色した部分、二度揚げされた揚げ物、漬け込み保存された魚卵、加工肉食品、するめやビーフジャーキーなどUV照射を受けた食品などが挙げられる。

酸化コレステロールを特異的に下げる薬はまだない。まずは酸化コレステロールの摂取を避け、食事療法と運動療法を組み合せた生活習慣の改善が重要ですね。



2020/01/28

個人健康診断 WEB予約受付開始!!

こんにちは。
小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。

当院では以前より健康診断を行っておりますが、
スムーズに健康診断のご予約を行っていただけるように
WEB予約を開始いたしました!

さまざまな健康診断内容に合うように、全8種類のコースを用意しております。
検査内容と注意事項をよくご確認の上、ご予約をお願いいたします。



2020/01/27

健康講座181~減量と糖尿病の寛解

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。


 健康を取り戻すために大幅に減量する必要はなく、5年間で体重の10%を減らすだけで、2型糖尿病が寛解し得るというお話。


 2型糖尿病のスクリーニングによる死亡リスク抑制効果を検証したADDITION-Cambridge研究の登録者のうち、新たに糖尿病と診断された867人(40~69歳)を対象に前向きコホート研究を実施。体重の変化と糖尿病の寛解の関係を調べた。糖尿病の寛解は、糖尿病用薬または減量手術によらずHbA1c6.5%未満を達成した者と定義した。対象者の平均年齢は61歳、男性が61%だった。

 
 追跡期間5年で257人(30%)に糖尿病の寛解がみられた。糖尿病の診断から1年後に体重が変化していなかった人の糖尿病寛解率を基準として、ベースラインの体重、年齢、性別、経済状態などで調整し、減量達成レベル別に寛解率を比較すると、10%以上の減量を達成していた人は寛解に至る頻度が77%有意に高いことがわかった。また、診断から1~5年かけて10%以上減量した人や、5~10%減量した人の寛解率も有意に高かった。

 
 多少の減量でも寛解につながり得る。極端なダイエットは必要ではない。


 寛解導入に関するこれまでのエビデンスは、極端な運動や規制の多い食事療法の必要性を示唆しているが、多くの患者にとってそのような方法は現実的でない。今回の研究では実臨床で継続可能な中等度の減量の長期的な効果を調べた。参加者はそれぞれ異なる方法で減量を達成し糖尿病を寛解させることができた。

 これは糖尿病患者にとって励みになる知見だ。減量の程度によらず、身体のインスリン感受性は高まり、糖尿病管理に好影響をもたらすでしょう。




2020/01/25

健康講座180~高線維食とカウンセリングのすすめ

こんにちは。


小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。


 2型糖尿病患者が食物繊維の摂取量を増やすと、血糖や血圧、血清脂質という心血管疾患の複数のリスク因子を同時に改善できることを示した研究結果が報告された。ケアウェルハート&スーパースペシャリティ病院(インド)のRohit Kapoor氏らによる研究で、米国心臓病学会(ACC)中東カンファレンス2019・第10回首長国連邦心臓学会合同学会(10月3~5日、アラブ首長国連邦、ドバイ)において発表された。

 
 200人の2型糖尿病患者を対象に食物繊維の摂取量を増やすように介入し、心血管疾患のリスク因子に与える影響を検討した。インド医学研究評議会のガイドラインでは食物繊維の推奨摂取量を1日当たり40g/2,000kcalとしている。今回の研究被験者の摂取エネルギー量は1,200~1,500kcalのため推奨摂取量は24~30gとなり、これを20~25%増やすように指導して6カ月にわたって追跡した。




 一般に果物や野菜、豆類、全粒穀物、ナッツ類などは食物繊維が多い。今回の研究では食物繊維の摂取量を増やすために、被験者には各地の言語で書かれた食品リストを含む食事処方箋が手渡された。また栄養士が定期的にカウンセリングを行うほか、被験者の理解を確実なものとするため視覚教材も用いられた。さらに被験者はWhatsApp(メッセージアプリケーション)を通じて食事の写真を送り、週に3回の頻度で電話により食事摂取に関する指導を受けた。

 

 このような介入により高繊維食を6カ月間続けたことで、心血管疾患リスク因子の検査指標は介入前に比べると、空腹時血糖が28%、収縮期血圧が15%、コレステロールが9%、中性脂肪が23%低下するという著明な改善が見られた。

以上から以下のことが言えそうです


 ・高繊維食は糖尿病や高血圧の患者にとって将来の心血管疾患を防ぐ上で重要である

 ・医学的な食事療法と定期的なカウンセリングが
  糖尿病と高血圧の治療と予防に重要である

 ・高繊維食による食事療法を医学的治療に組み込むことで、血清脂質値、脈波伝播速度
 (動脈硬化の指標)、ウエスト/ヒップ比、高血圧を改善可能である

2020/01/23

健康講座179~家族性高コレステロール血症の小児スタチン治療

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。


 小児期にスタチン治療を開始した家族性高コレステロール血症患者は、成人期の頸動脈内膜中膜肥厚の進行が抑制され、心血管疾患のリスクが低減することが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのIlse K. Luirink氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌に掲載された。家族性高コレステロール血症は、LDLコレステロール値の著しい増加と心血管疾患の早期発症を特徴とする。小児へのスタチン治療の短期的効果は確立されているが、心血管疾患リスクの変動を評価した長期的な追跡研究は少ない。

20年後に、患児を非罹患同胞および罹患親と比較
 研究グループは、家族性高コレステロール血症小児患者へのスタチン治療に関する20年間の追跡調査の結果を報告した。
 

 過去に、プラバスタチンの2年投与の有効性と安全性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(1997~99年、単施設)に参加した家族性高コレステロール血症患者214例(98%は遺伝学的に確認)に対し、同症に罹患していない同胞95例とともに、追跡調査への参加を依頼した。


 参加者は、質問票に回答し、血液検体を提供し、頸動脈内膜中膜肥厚の測定を受けた。家族性高コレステロール血症患者の心血管疾患の発生率を、同症に罹患している親156例と比較した。


39歳時の心血管イベント:患者1% vs.罹患親26%、心血管死:0% vs.7%
 当初の試験に参加した家族性高コレステロール血症患者214例(平均年齢13.0±2.9歳、男性47%)のうち、試験開始から20年の時点で追跡調査に応じたのは184例(86%)(31.7±3.2歳、48%)で、非罹患同胞は95例(12.9±2.9歳、53%)のうち77例(81%)(31.6±3.0歳、56%)が調査に参加した。
 

 214例の患者のうち、203例(95%)で心血管イベントのデータが、214例(100%)で心血管系の原因による死亡のデータが得られた。追跡調査時に、184例のうち146例(79%)がスタチンを使用していた。


 患者の平均LDLコレステロール値は、237.3mg/dLから160.7mg/dL(6.13mmol/Lから4.16mmol/L)に低下し、ベースラインからの低下率は32%であった。治療目標(LDLコレステロール値<100mg/dL[2.59mmol/L])は37例(20%)で達成され、このうち8例は<70mg/dLに低下していた。一方、非罹患同胞の平均LDLコレステロール値は、98.5mg/dLから121.9mg/dL(2.55mmol/Lから3.15mmol/L)に増加し、増加率は24%だった。


 全追跡期間における頸動脈内膜中膜肥厚の進行の平均値は、家族性高コレステロール血症患者が0.0056mm/年、同胞は0.0057mm/年であった。
 

 39歳時の心血管イベント累積発生率は、家族性高コレステロール血症患者が、罹患している親よりも低かった(1% vs.26%)。また、39歳時の心血管系の原因による死亡の累積発生率も、家族性高コレステロール血症患者のほうが罹患親よりも低かった(0% vs.7%)。


 LDLコレステロールは、アテローム硬化性心血管疾患をもたらす経路における主要な因子と考えられ、LDLコレステロール値を低下させる治療は、アテローム硬化性心血管疾患の進行の予防あるいは緩徐化において重要である。

診断を受けた方は早めの治療を推奨します。


2020/01/20

健康講座178~炭酸飲料のリスク

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。



砂糖や人工甘味料で甘くした炭酸飲料を1日当たりコップ2杯(約500mL)以上摂取する人は、1カ月に1杯未満しか摂取しない人と比べて死亡リスクが高くなることが、国際がん研究機関(フランス)のNeil Murphy氏らが実施した大規模研究で示された。


 欧州10カ国の男女45万1,000人超を対象に集団ベースのコホート研究を実施。炭酸飲料の摂取と全死亡リスクおよび死因別死亡リスクとの関連を調べた。対象者の平均年齢は51歳で、追跡期間は平均16年だった。

 その結果、1日コップ2杯以上の炭酸飲料の摂取で全死亡リスクが上昇することに加え、炭酸飲料の摂取量が多いと、さまざまな疾患による死亡リスクが増大することが示された。

 例えば、いずれも各炭酸飲料の摂取症が1カ月にコップ1杯未満の人と比較して、砂糖または人工甘味料が添加された炭酸飲料の摂取量が1日に1杯以上の人では大腸がんやパーキンソン病による死亡リスクが高く、砂糖入り炭酸飲料の摂取量が1日に1杯以上の人では消化器疾患による死亡リスクが高く、人工甘味料入りの炭酸飲料の摂取量が1日に1杯以上の人では心疾患などの循環器疾患による死亡リスクが高かった。こうした炭酸飲料の摂取量の多さと死亡リスク上昇の関連は、BMIや喫煙の有無などの因子を考慮して分析しても認められた。

 なぜ炭酸飲料の摂取により死亡リスクが高まるのだろうか。炭酸飲料は体重増加や肥満を招くだけでなく、ホルモンの一つであるインスリンの働きにも影響を及ぼし、炎症を引き起こす可能性があると指摘し、こうしたこと全てがさまざまな疾患の原因となり、寿命の短縮につながるのではないかとの考えを示している。人工的に甘くした炭酸飲料がいかにして死亡リスクを上昇させるのかを突き止めるには、さらなる研究が必要だ。



 炭酸飲料などの砂糖や人工甘味料が添加された飲料は、体重増加や血糖コントロール不良をもたらし、糖尿病などの既存疾患を悪化させる。炭酸飲料の代わりに水や炭酸水、茶を飲むことを勧めします。






2020/01/17

健康講座177~肥満と動脈硬化の関連

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。


肥満が動脈壁に直接ダメージを与え、心疾患の発症につながるメカニズムの一端を、英オックスフォード大学心臓血管内科教授のCharalambos Antoniades氏らが明らかにした。肥満の心疾患患者では、動脈周囲の脂肪組織で「WNT5A」と呼ばれるタンパク質が多く産生され、血管内に有害な影響を与えている可能性があることが分かったという。同氏らは、新たな治療法につながる知見だと期待を示している。


 この研究結果はまだ初期段階のものだが、心疾患の治療や予防戦略でWNT5Aは新たな標的になり得る。脂肪細胞におけるWNT5Aの産生を抑制したり、WNT5Aが血管壁に与える有害な影響を阻害したりする治療法を開発できれば、肥満を抑え、心筋梗塞や脳卒中を予防できるかもしれない。

 これまで数多くの研究で、肥満の人は、やせた人と比べて心疾患リスクが高いことが明らかにされてきた。米国心臓病学会(ACC)によると、肥満は心疾患の原因となる2型糖尿病や高血圧、睡眠時無呼吸などのリスクを高めるため、間接的に心疾患リスクを上昇させると考えられてきた。それに対し、今回の研究は、肥満が血管に直接ダメージを与えている仕組みの一端を明らかにした。

 心臓手術を受けた1,004人の心疾患患者から採取した血液と組織サンプルを分析した。その結果、肥満患者では血中のWNT5Aレベルが著しく高いことが分かった。、WNT5Aは特に動脈周囲にある脂肪組織から大量に放出されていることを突き止めた。さらに、WNT5Aレベルが高い患者では、その後3~5年の間に、動脈内にプラークがより速く蓄積することも明らかになった。

 血管細胞をWNT5Aに曝露させたところ、より有毒な物質が産生され、プラークの蓄積を促進する状態に変化した。

 

 肥満は一部のがんを含む他の疾患のリスク上昇にも関連するため、体重管理は重要だ。ただ、どれだけ減量できたかにかかわらず、定期的な運動を含めた健康的な生活習慣を心掛ければ身体的および精神的な健康が増進され、肥満で運動不足の生活よりも、肥満でも活動的な生活を送っている方が良いでしょう。



2020/01/14

健康講座176~糖尿病と心不全

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。


 2型糖尿病と心不全を併発している患者は心臓の構造が変化しており、入院や死亡のリスクが高いことが、アジア人を対象とした国際研究から報告された。


 糖尿病は世界的に増加傾向にあり、糖尿病と心不全を併発することも少なくない。この両者の関連について欧米の患者を対象とした研究は広く行われてきているが、アジア人を対象とした研究報告はこれまでのところ多くはない。

 今回の研究では、ASIAN-HF〔Asian Sudden Cardiac Death in Heart Failure(アジア心不全突然死)〕レジストリに登録されている心不全患者約6,200人のデータを国際チームが解析した。

 
 その結果、2型糖尿病と心不全の併存は、心臓の構造異常、生活の質(QOL)の低下、入院や死亡のリスク上昇と関連することが判明した。具体的には、糖尿病患者では非糖尿病患者に比べて、左室拡張末期容積が小さく、心不全患者のQOL評価指標であるカンザスシティー心筋症スコアが低く、心不全による再入院および全ての原因による死亡・再入院のリスクが高く、それぞれ群間に有意差があった。

 

 なお、心不全は心臓の収縮力(左室駆出率)が低下したタイプ(HFrEF)と収縮力が保たれているタイプ(HFpEF)に分けられるが、今回の研究ではHFrEFが5,028人でそのうち2型糖尿病は40.2%、HFpEFは1,139人でそのうち2型糖尿病は45.0%であり、HFpEFにおける糖尿病の有病率が有意に高いことがわかった。また国・地域別ではシンガポールと香港で、糖尿病を併発している心不全患者の割合が高かった。


 糖尿病と心不全という対をなす両疾患の悪影響を取り除くには、一次予防戦略が必要であり、そして患者ごとに個別化した医療が重要です。糖尿病が併存する心不全患者について、注意深く疾患管理を最適化していけるとよいですね。

2020/01/13

健康講座175~70歳からの運動

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。


 高齢になってから運動を始めても、それまで運動経験がなくても健康に大きなベネフィットをもたらすようだ。運動をしていない70~80歳代の高齢男性でも、運動を始めると、運動経験が豊富な熟練アスリートと同程度に筋肉量を増やせることが、英バーミンガム大学運動生理学・代謝学のLeigh Breen氏らの研究で明らかになった。



 年齢をマッチさせた運動経験のない高齢者8人と熟練アスリート7人を対象に、エクササイズマシンを使ったレジスタンス運動を1回行ってもらい、運動前48時間の安静時と運動後に筋生検サンプルを採取。筋肉のタンパク質を構成する「筋原線維タンパク質」の合成率を調べた。また、アイソトープトレーサーを用いた検査を行い、筋肉内でタンパクがどのように合成されているのか、その過程を追跡した。なお、対象者の平均年齢は、運動経験のない高齢者は73.5歳、アスリートは68.9歳だった。
 運動経験のない高齢男性よりも熟練アスリートの方が、運動後には筋肉量がより増えるものと予想していた。しかし、結果は予想に反して、いずれの群においても、筋原線維タンパク質の合成率は、運動前に比べて運動後には同程度に増加したことが分かった。
 今回の研究結果から、生涯を通して運動を続けてきたかどうかに関係なく、何歳になっても運動を始めれば健康に有益である可能性が示された。もちろん、長く全身の健康を保つためには健康的な生活と運動を長期にわたり続けることが最善の方法だである。「高齢になってから運動を始めても、加齢に伴う心身の衰え(フレイル)や筋力の低下を遅らせるのに役立つだろう。
 ジムなどに通わなくても、日常生活の活動を通して筋力を増やす方法について、具体的な指針を策定する必要がある。例えば、ガーデニングや階段の上り下り、買い物袋を持ち上げるといった動作を定期的な運動レジメンの一環として行えば、いずれも健康の維持に役立つでしょう。

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...