朝起きて、コーヒーを淹れる。
仕事を始める前に一杯。
少し疲れてきた午後に一杯。
食後にゆっくり一杯。
いまではあまりにも日常的な光景ですが、考えてみるとコーヒーとは実に不思議な飲み物です。
黒くて、苦い。
しかも子どものころ初めてブラックコーヒーを飲んだとき、
「何がおいしいんだ、これ」
と思った人も多いのではないでしょうか。
それもそのはずです。
生物学的に見ると、人間にとって「苦味」は本来、歓迎すべき味ではありません。
自然界では、植物が身を守るためにつくるアルカロイドなどの化学物質に苦味を持つものが多くあります。
つまり苦味は、
「これ、食べて大丈夫か?」
と私たちの脳に警告するための味覚だった可能性が高いのです。
ところが人間は、その苦い植物をわざわざ焙煎し、砕き、お湯で抽出し、毎日世界中で飲んでいます。
しかも、
「これがないと仕事が始まらない」
などと言う。
さらに面白いことに、コーヒーの代表的成分であるカフェインも、もともと人間を元気にするために植物がつくった物質ではありません。
少なくとも進化生物学的には、
植物が自分を守るために使っていた化学物質を、人間が勝手に“覚醒薬”として利用している
と考えたほうが近い。
そしてこの小さな分子が、
祈り、
宗教、
社交、
議論、
文学、
金融、
保険、
産業革命期の労働、
そして現代のデスクワーク
にまで入り込んでいきました。
コーヒーの歴史をたどると、そこには単なる「飲み物の歴史」ではなく、
人間が自然界の化学物質を発見し、それを文化と文明の道具に変えてしまう物語
が見えてきます。
今回は、
「なぜコーヒーは苦いのか?」
という素朴な疑問から始めて、
コーヒーの起源、
カフェインの進化的意味、
脳への作用、
仕事や労働との関係、
睡眠、
糖尿病、
心血管疾患、
肝臓、
そして「健康に良いのか悪いのか」
まで、
歴史と医学と科学を一つにつなげて考えてみます。
1.そもそも人間は、なぜ「苦味」を感じるのか
人間の味覚には、
甘味、塩味、酸味、苦味、うま味
などがあります。
これらは単に「食事を楽しむため」に存在しているわけではありません。
進化的に考えると、それぞれに意味があります。
甘味は、糖質などエネルギー源の存在を知らせる。
塩味は、ナトリウムなど電解質の存在を知らせる。
うま味は、アミノ酸やタンパク質を示す。
酸味は、未熟な果実や腐敗などを警戒する。
そして苦味は、
有害な物質かもしれないものを警戒するセンサー
として発達したと考えられています。
人間にはTAS2Rと呼ばれる苦味受容体があり、およそ25種類の機能的受容体が知られています。
非常に多様な苦味物質を、比較的少数の受容体で検出する仕組みです。
もちろん、
「苦いもの=毒」
ではありません。
苦味を持つ安全な食品もたくさんあります。
ゴーヤ、菜の花、ピーマン、ビール、カカオ、緑茶。
しかし自然界では、毒性や強い生理作用を持つ植物成分に苦味が多いのも事実です。
だから人間の脳はもともと、
「苦い。ちょっと待て」
とブレーキをかける方向に作られている。
そう考えると、
大人になった私たちがブラックコーヒーを飲みながら、
「この苦味がいいんだよね」
と言っているのは、なかなか面白い現象です。
生物学的な警告信号を、
文化と学習によって「快」に変えてしまっているからです。
2.カフェインは、人間を働かせるために生まれた物質ではない
コーヒーの象徴的成分が、
カフェイン
です。
化学的には1,3,7-トリメチルキサンチンというメチルキサンチン系アルカロイドです。
白色の結晶性粉末で、純粋なカフェインそのものにも苦味があります。
では、コーヒーノキはなぜカフェインをつくるのでしょうか。
ここで重要なのが、
植物側にも都合がある
ということです。
植物は逃げられません。
動物に食べられても、その場から走って逃げることができない。
その代わり植物は、長い進化の中で実に多様な化学防御を獲得してきました。
タンニン。
アルカロイド。
テルペン。
配糖体。
そしてカフェイン。
1984年にScienceに掲載されたNathansonの研究では、カフェインなどのメチルキサンチンが昆虫の摂食を阻害し、植物内で存在しうる濃度でも殺虫的作用を示すことが報告されました。つまりカフェインは、植物にとって天然の防御物質として働く可能性があります。(PubMed)
人間の立場からすると、
「コーヒーを飲むと目が覚める」
ですが、
植物の立場からすると、
「食うな」
だった可能性があるわけです。
ところが人類は、その警告を無視しました。
むしろ、
「なんかこれ、目が覚めるぞ」
と利用し始めた。
ある意味、とても人間らしい話です。
3.さらに面白い。カフェインは「虫を遠ざける」だけではない
ここから、植物のしたたかさがさらに見えてきます。
カフェインは、単に昆虫を撃退するだけではありません。
コーヒーや一部の柑橘類では、花の蜜に低濃度のカフェインが含まれることがあります。
2013年にScienceに発表された研究では、カフェインを含む糖液を与えられたミツバチは、カフェインを含まない糖液を与えられた場合より、花の香りを長く記憶することが示されました。
つまり低濃度のカフェインは、
「この花、よかったよ」
という記憶を昆虫に残し、再訪を促している可能性があるのです。
ここには非常に面白い二面性があります。
葉や種では、
「食べるな」
という防御物質。
蜜では、
「また来てね」
と記憶を強化する物質。
カフェインは、量と場所によって生物の行動に異なる影響を及ぼします。
そしてその何百万年も後、
人間もまたカフェインを摂取し、
「あの店のコーヒー、また飲みたいな」
などと思っている。
もちろん人間のコーヒー嗜好をミツバチの実験だけで説明することはできません。
ただ、
植物由来の小さな分子が、動物の行動や記憶に影響する
という点では非常に興味深い共通性があります。
4.カフェインは脳の中で何をしているのか
ここから医学・脳科学の話です。
コーヒーを飲むと、
「目が覚める」
「頭がすっきりする」
「集中できる」
と感じます。
なぜでしょう。
重要なキーワードが、
アデノシン
です。
私たちが朝起きて活動しているあいだ、脳内では睡眠圧に関係するアデノシン系のシグナルが強くなっていきます。
かなり単純化すると、
起きている時間が長くなる
↓
アデノシンの作用が強まる
↓
眠気が増える
という流れです。
アデノシンはいわば、
「そろそろ休みなさい」
という脳のシグナルの一部です。
カフェインは、そのアデノシンと化学構造がある程度似ています。
そのためアデノシン受容体に入り込み、
アデノシンが受容体に作用するのを邪魔します。
これを、
アデノシン受容体拮抗作用
といいます。
通常の摂取量におけるカフェインの中心的作用は、このアデノシン受容体遮断だと考えられています。
2016年のMcLellanらによる包括的レビューでも、カフェインは中枢・末梢のアデノシン受容体を遮断し、40~300mg程度の低~中等量で覚醒度、注意力、警戒性、反応時間などを改善することがまとめられています。(PubMed)
ただしここで、とても重要なポイントがあります。
カフェインは疲労そのものを消しているわけではありません。
睡眠不足を治療しているわけでもありません。
ものすごく乱暴にたとえるなら、
車のエンジンが疲れているのに、
警告灯を一時的に見えにくくしているようなものです。
眠気という信号を弱めて、
「まだいける」
と感じさせている。
だから覚醒度は上がる。
でも、睡眠によって行われる神経系や身体の回復そのものを代替しているわけではありません。
ここを誤解すると、
「コーヒーを飲んだから4時間睡眠でも大丈夫」
となってしまいます。
それは違います。
5.では本当に、コーヒーを飲むと仕事ができるようになるのか?
この疑問は、かなり科学的に研究されています。
結論から言えば、
ある程度はYES。
ただし、
「頭が良くなる」わけではない。
というのが正確です。
McLellanらのレビューでは、40~300mg程度のカフェインで、
覚醒度、
持続的注意、
警戒性、
注意力、
反応時間
などが改善しました。
一方で、
複雑な判断、
意思決定、
高度な実行機能、
記憶
などについては、効果が一貫していません。(PubMed)
つまり、
コーヒーを3杯飲んだからといって、
IQが上がるわけでも、
経営判断が突然鋭くなるわけでもありません。
しかし、
眠い。
単調な作業が続いている。
長時間集中している。
夜勤中。
運転中。
監視作業中。
といった場面では有用です。
ここで歴史と科学がつながってきます。
カフェインは、
「知性を増幅する魔法の薬」ではない。
むしろ、
「覚醒と注意を一定時間維持する道具」
です。
だからこそ、
祈り、
読書、
商談、
工場、
軍隊、
夜勤、
長距離運転、
オフィスワーク
と極めて相性がよかったのです。
6.コーヒーの始まり――伝説のヤギと、実際の歴史
コーヒーの起源について有名なのが、
ヤギ飼いカルディの伝説
です。
エチオピアのヤギ飼いカルディが、赤い実を食べたヤギたちが元気に跳ね回るのを見つけた。
そこで自分も実を試してみると元気になった。
それがコーヒーの始まりだ。
という話です。
とても面白い話ですが、
これは歴史的事実として確認されているわけではありません。
コーヒー史には後世に作られた伝説が多く、カルディの話もその一つと考えるべきです。
史実として比較的確度が高いのは、
アラビカコーヒーの起源がエチオピア周辺にあり、飲料文化・栽培・商業化がイエメンで発展した
という流れです。
Oxford Research Encyclopediaによる近年の整理でも、南部エチオピアとイエメンがコーヒー栽培・飲用文化の形成と拡散に重要な役割を果たしたとされています。ただし15世紀以前の文献史料は少なく、細部には不確実性があります。(OUP Academic)
つまり、
「西暦○○年、誰々が最初にコーヒーを発明した」
とは言えません。
ここは歴史的に分からない部分です。
7.コーヒーはまず「夜通し祈るため」に利用された
コーヒー文化の初期に重要な役割を果たしたのが、
イエメンを中心とするイスラム世界です。
特にスーフィーと呼ばれるイスラム神秘主義の修行者たちが、夜の祈りや宗教儀礼の際に覚醒を保つためコーヒーを利用したと伝えられています。
これは非常に象徴的です。
人類がコーヒーを本格的に使い始めた場面の一つが、
「眠らずに意識を保つ」
ことだったからです。
現代医学の言葉に置き換えれば、
アデノシン受容体を遮断し、覚醒状態を維持する。
当時の人が分子生物学を知っていたわけではありません。
しかし身体感覚として、
「これを飲むと眠くなりにくい」
ことは分かった。
人間は薬理学を理解するよりずっと前から、薬理作用を利用していたわけです。
8.オスマン帝国で生まれた「人が集まるコーヒー」
やがてコーヒーは、メッカ、カイロ、イスタンブールなどへ広がります。
そしてコーヒーの歴史で非常に重要なものが生まれます。
コーヒーハウスです。
人々が集まり、
コーヒーを飲み、
話し、
ゲームをし、
音楽を聴き、
情報を交換する。
つまりコーヒーは、
単なる飲料から、
社会的な装置
へ変化します。
ここで重要なのは、
「カフェインがあるから人が集まった」
という単純な話ではないことです。
建築、
都市化、
商業、
宗教、
情報ネットワーク、
社交文化。
さまざまな要素が重なっています。
しかし一つ確かなのは、
酒とはかなり違う社交空間ができたことです。
酒を飲むと酩酊する。
コーヒーを飲むと覚醒する。
もちろん実社会ではそんな単純な対比ではありませんが、
「人が集まりながらも、頭は比較的はっきりしている」
というコーヒーハウスは、
議論、商談、読書、政治談議と相性がよかったのです。
9.そしてヨーロッパへ――コーヒーハウスは「17世紀のSNS」になった
17世紀になると、コーヒー文化はヨーロッパへ広がります。
ロンドンでもコーヒーハウスが次々と開かれました。
そこでは、
商人、
作家、
政治家、
科学者、
船乗り、
金融業者
などが集まりました。
店によって客層も違い、
政治に強い店、
文学に強い店、
海運に強い店、
商取引に強い店
といった特色が生まれます。
今で言えば、
SNS、
ニュースサイト、
ビジネス交流会、
図書館、
コワーキングスペース
が一つになったような場所です。
新聞を読む。
海外から来た情報を聞く。
新しい商売について話す。
政治について議論する。
つまりコーヒーハウスは、
情報を集め、交換し、加工する社会的ネットワーク
になっていきました。
コーヒーそのものより、
「コーヒーを飲む場所」
が文明を動かし始めたのです。
10.一杯のコーヒーから「ロイズ保険」が生まれた
この象徴が、
Edward Lloyd's Coffee House
です。
ロンドンの港湾都市化・海上貿易が進むなか、船主、商人、船長、保険引受人などが集まる場所になりました。
Lloyd's公式資料によれば、Edward Lloydのコーヒーハウスは1688年までにはロンドンのTower Streetで確立しており、17世紀後半に海運・貨物保険の需要が増える中で、海上保険を扱う代表的な場所になりました。1691年にはLombard Streetへ移転し、後のLloyd's of Londonへとつながっていきます。(ロイズ)
何が面白いかというと、
コーヒーが保険を作ったのではありません。
そこに、
船舶情報、
商人、
金融、
リスク情報、
人間関係
が集まった。
そしてその場で飲まれていたのがコーヒーだった。
つまり、
「覚醒を保つ飲み物」+「情報交換の空間」
という組み合わせが、極めて強かったのです。
これがコーヒー史の面白さです。
コーヒーは歴史を単独で作ったわけではない。
しかし、
歴史が動く場所に、いつもコーヒーが入り込んでいった。
11.コーヒーと労働――近代社会との相性が良すぎた
ここからが、今回の本の内容とも特に面白くつながる部分です。
人類の労働は近代化によって変化しました。
農耕社会では、もちろん過酷な労働はありました。
しかし基本的には、
太陽が昇る。
働く。
暗くなる。
休む。
という自然のリズムの影響が大きい。
ところが近代になると、
時計、
工場、
人工照明、
交代勤務、
長距離輸送、
オフィス
が登場します。
労働は、
「自然に合わせるもの」から「時計に合わせるもの」
へ変わっていきます。
午前8時から仕事。
午後5時まで仕事。
夜勤。
締切。
会議。
工場のライン。
そして現代なら、
パソコンの前で何時間も集中する。
ここでは、
「眠くなったから今日は終了」
では済みません。
社会が人間に求めるものが、
一定時間、一定レベルの覚醒を維持すること
になりました。
そこにカフェインは見事にはまります。
カフェインは、
安価。
飲みやすい。
量を調整しやすい。
効果発現が比較的速い。
アルコールのように酩酊しない。
それどころか、注意力や警戒性を高める。
近代労働社会にこれほど便利な化学物質はありません。
12.では「コーヒーが産業革命を起こした」のか?
ここは少し注意が必要です。
時々、
「中世までは酒を飲んでいた人類がコーヒーを飲むようになり、それが産業革命を生んだ」
という非常に魅力的なストーリーが語られます。
確かに物語としては面白い。
しかし科学的・歴史学的には、
そこまで単純には言えません。
産業革命には、
石炭、
蒸気機関、
人口増加、
農業革命、
資本蓄積、
植民地貿易、
金融制度、
教育、
交通網
など無数の要因があります。
コーヒー単独で説明することはできません。
したがって、
「カフェインが資本主義を作った」
と断定するのは飛躍です。
ただし、
近代社会が要求する長時間の覚醒・注意力維持と、カフェインの薬理作用が極めて相性が良かった
ということはかなり合理的です。
因果関係ではなく、
適応性の高い組み合わせだった
と考えるのが妥当です。
13.カフェインはどれくらいの速さで効くのか
カフェインは摂取すると比較的速く吸収されます。
レビューによると、摂取されたカフェインの大部分は45分程度までに吸収され、血中濃度のピークはおよそ15~120分の範囲に入ります。(PubMed Central (PMC))
そして健康成人における血中半減期は平均約5時間。
ただし非常に個人差があり、1.5~9.5時間ほどまで幅があります。(NCBI)
この個人差は重要です。
午後3時に200mgのカフェインを摂取したとします。
半減期が5時間なら、
午後8時でも約100mg相当、
深夜1時でも約50mg相当
が体内に残っている計算になります。
もちろんこれは単純化したモデルです。
実際の代謝速度は個人差が大きく、
遺伝、
妊娠、
喫煙、
薬剤、
経口避妊薬、
肝機能
などでも変わります。
つまり、
「私は夕食後にコーヒーを飲んでも寝られる」
という人と、
「午後2時以降は無理」
という人がいても不思議ではありません。
14.コーヒーの最大の弱点――睡眠
カフェイン最大のメリットは、
眠気を減らすこと。
しかしその裏返しとして、
最大のデメリットも、
眠気を減らすこと
です。
2013年のDrakeらのランダム化比較試験では、400mgのカフェインを、
就寝直前、
3時間前、
6時間前
に摂取した場合を比較しています。
その結果、就寝6時間前であっても総睡眠時間などに有意な悪影響が認められました。(DOI)
ただし注意すべき点があります。
400mgはかなり多い量です。
普通のコーヒー一杯で必ず6時間後まで睡眠が壊れる、という意味ではありません。
一方、EFSAは、100mg程度の単回摂取でも、特に就寝近くに飲めば一部の成人で睡眠時間や睡眠パターンへ影響する可能性があるとしています。(European Food Safety Authority)
ここで現代人が陥りやすいループがあります。
睡眠不足
↓
朝眠い
↓
コーヒー
↓
午後も眠い
↓
またコーヒー
↓
夜の睡眠が浅くなる
↓
翌朝さらに眠い
↓
またコーヒー
という循環です。
コーヒーで覚醒を買っているつもりが、
実は翌日の覚醒を前借りしている。
そういう状況になることがあります。
15.「コーヒーを飲まないと頭が働かない」は本当か
毎日カフェインを摂取している人が突然やめると、
頭痛、
眠気、
疲労感、
集中力低下、
イライラ
などが出ることがあります。
カフェイン離脱です。
つまりカフェインには身体的依存が形成されることがあります。
ここで少し興味深い問題があります。
毎朝コーヒーを飲んだ人が、
「やっぱりコーヒーを飲むと頭が冴える」
と感じる。
もちろん実際にカフェインによる覚醒作用があります。
しかし一部は、
前日のカフェインが切れて軽い離脱状態になっていたところへ再びカフェインを入れ、元に戻しただけ
という可能性があります。
イメージとしては、
本人は、
0 → +1
になったと思っている。
ところが実際には、
-1 → 0
だった。
ということです。
もちろんすべてがこれで説明されるわけではありません。
カフェインには非依存状態でも覚醒作用があります。
ただ、
「毎朝飲めば能力がどんどん上がる」
わけではない。
耐性や依存も含めて考える必要があります。
16.では、カフェインはどれくらいなら安全なのか
EFSAは健康な成人について、
1日合計400mgまで
のカフェイン摂取は通常、安全性上の懸念を生じないと評価しています。
また妊婦では、
1日200mgまで
を目安としています。(European Food Safety Authority)
米FDAも、ほとんどの健康成人では1日400mg程度までが一般に有害作用と関連しにくい量として紹介しています。(U.S. Food and Drug Administration)
ただし、
400mg=推奨量
ではありません。
「健康成人で大きな安全性問題が起こりにくい上限の目安」
です。
人によっては100mgでも、
動悸、
手の震え、
胃の不快感、
不安、
焦燥感、
不眠
が出ます。
だから、
自分の適量は人によって違う。
これが非常に重要です。
17.カフェインは多いほど仕事ができるのか?
ここも答えはNOです。
カフェインは典型的な、
用量依存性のある刺激物
です。
少量なら、
眠気が減る。
集中しやすい。
反応速度が上がる。
しかし増やしすぎると、
焦る。
ソワソワする。
心拍数が上がる。
手が震える。
集中できない。
不安が強くなる。
となります。
つまり、
覚醒度が低すぎても仕事にならない。
高すぎても仕事にならない。
自分にとっての適切なゾーンがあります。
その意味ではコーヒーは、
「ガソリンを入れれば入れるほど速く走る」
というものではありません。
むしろ、
出力調整用のつまみ
に近い。
18.ここからがさらに重要。「コーヒー」と「カフェイン」は同じではない
コーヒーについて語るとき、よく混同されるものがあります。
それが、
コーヒーそのもの
と、
カフェイン
です。
コーヒーにはカフェイン以外にも、
クロロゲン酸類、
トリゴネリン、
カフェストール、
カーウェオール、
メラノイジン、
多種多様な芳香成分
などが含まれます。
したがって、
「カフェインが脳にどう作用するか」
と、
「コーヒーを長期間飲む人の病気のリスク」
は別の問題です。
この区別をすると、医学研究が非常に面白くなります。
19.コーヒーと2型糖尿病
コーヒー研究で比較的一貫した関連の一つが、
2型糖尿病発症リスクの低下
です。
2014年、DingらがDiabetes Careに発表したメタ解析では、28の前向き研究、約111万人が解析されました。
結果は、コーヒー摂取量が多いほど2型糖尿病の発症リスクが低いという用量反応関係でした。
さらに面白いのが、
カフェイン入りだけでなく、
デカフェコーヒーでも同様の逆相関が認められた
ことです。(糖尿病ジャーナル)
これは重要です。
もし糖尿病リスク低下がすべてカフェインの作用なら、
デカフェでは効果が弱くなってもよさそうです。
しかしそうではなかった。
つまり、
クロロゲン酸などのポリフェノール、
その他の成分、
複数成分の相互作用
などが関係している可能性があります。
ただし、
観察研究である
という限界は忘れてはいけません。
コーヒーを飲む人と飲まない人では、
食事、
喫煙、
運動、
社会経済状況、
生活習慣
などが違う可能性があります。
統計的に調整しても完全には消せません。
したがって、
「コーヒーを飲めば糖尿病を予防できる」
と断定することはできません。
科学的には、
コーヒー摂取量が多い人ほど2型糖尿病の発症率が低いという、かなり一貫した疫学的関連がある
と表現するのが適切です。
20.健康全般ではどうなのか?
2017年、BMJに非常に有名なアンブレラレビューが掲載されました。
Pooleらは、
201件の観察研究メタ解析、
17件の介入研究メタ解析
をまとめ、コーヒー摂取と幅広い健康アウトカムとの関係を調べました。(BMJ)
その結果、
一般的な摂取量では、
害よりも有益な関連が認められるアウトカムのほうが多く、
特に1日3~4杯程度の摂取で、
全死亡、
心血管死亡、
心血管疾患
などが低い傾向がみられました。
ただしこれも、
「3~4杯飲めば寿命が延びる」
という意味ではありません。
多くのデータが観察研究です。
因果関係の確立には限界があります。
それでも、
昔のような、
「コーヒーは身体に悪い」
「心臓に悪い」
という単純なイメージは、現在の研究全体とは合いません。
2024年の包括的レビューでも、適度なコーヒー摂取と心血管・代謝系の良好なアウトカムとの観察的関連が整理されています。一方で、長期的な疾患予防効果をRCTで証明したわけではないという限界も強調されています。(DOI)
つまり、
健康食品のように神格化する必要もない。
しかし、
毒物のように恐れる必要もない。
この真ん中が現在の科学に近いところです。
21.コーヒーと肝臓
コーヒー研究の中でも、長年比較的良好な関連が観察されているのが、
肝臓
です。
コーヒー摂取量が多い人では、
慢性肝疾患、
肝硬変、
肝細胞癌
などの発症率が低いという報告が複数あります。
BMJのアンブレラレビューでも肝疾患との逆相関は目立つアウトカムの一つでした。(BMJ)
しかし、
これも治療薬として確立したという意味ではありません。
たとえば、
肝臓が悪くなった人が体調のためコーヒーをやめた
という逆因果の可能性もあります。
観察研究では完全には排除できません。
したがって、
「コーヒーは肝臓の薬です」
ではなく、
コーヒー摂取と肝疾患リスク低下には一貫した疫学的関連があり、今後も研究価値が高い
という理解がよいでしょう。
22.コーヒーは心臓に悪いのか?
ここも昔からよく聞く話です。
カフェインを飲むと、
一時的に血圧が上がることがあります。
動悸を感じる人もいます。
だから、
「コーヒー=心臓に悪い」
と思われがちです。
しかし長期的な観察研究では、適量のコーヒー摂取が心血管疾患リスクの増加と一貫して関連しているわけではありません。
むしろ中等量の摂取では心血管イベントが少ないという研究が多くあります。(DOI)
ただし、
ここでも、
短期作用と長期疫学を分ける必要があります。
短期的には、
カフェインで血圧や心拍が上がる人がいる。
一方、長期疫学では適量摂取群の心血管リスクは必ずしも高くない。
この二つは矛盾しません。
身体はカフェインにある程度耐性を形成しますし、コーヒーにはカフェイン以外の成分も含まれています。
23.ただし「コーヒーなら全部同じ」ではない
ここは医学的にかなり大事です。
コーヒー豆には、
カフェストール
や
カーウェオール
と呼ばれるジテルペン類が存在します。
これらは抽出方法によって含有量が大きく変わります。
特に、
煮出しコーヒー、
フレンチプレス、
トルコ式コーヒー
など、
ペーパーフィルターを通さないコーヒーでは比較的多く残ります。
ランダム化比較試験のメタ解析では、コーヒー摂取によって総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリドが上昇し、特に無濾過コーヒーで影響が大きいことが報告されています。(PubMed)
2020年までのRCTをまとめた別のメタ解析でも、総コレステロールとLDL-Cの上昇が認められました。(PubMed)
したがって、
LDLコレステロールが高い人が大量に飲むのであれば、
ペーパーフィルターを使ったコーヒーのほうが無難
という考え方ができます。
コーヒーは健康にいいか?
という問いよりも、
どのコーヒーを、どう淹れ、どれくらい飲むのか?
のほうが本当は重要なのです。
24.そして砂糖を入れると、話が少し変わる
コーヒー自体のカロリーは非常に少ない。
しかし、
砂糖、
シロップ、
ホイップクリーム、
チョコレート、
キャラメル
を加えれば、話は別です。
ブラックコーヒーと、
甘いフラペチーノ系飲料を、
「どちらもコーヒーだから健康効果は同じ」
とは考えられません。
コーヒーの観察研究で見えている健康上の関連を、
高糖質・高カロリーなコーヒー飲料にそのまま当てはめるのは不適切です。
ここは非常に単純ですが大切です。
コーヒー研究と、コーヒー味のデザート研究は別物です。
25.日本人は最初からコーヒーを「おいしい」と思ったわけではない
コーヒーは日本にも入ってきます。
江戸時代、長崎の出島を通じてオランダ人から伝わったと考えられています。
しかし当時の日本人からすれば、
慣れない黒い飲み物です。
香ばしいというより焦げ臭い。
苦い。
薬のよう。
現代人のように、
「深煎りの苦味がいい」
「酸味が華やか」
などという文化的コードを持っていません。
これは味覚の面から見ても自然です。
私たちが「おいしい」と感じるものは、
生まれつき決まっているわけではありません。
学習の影響が非常に大きい。
ビール。
ワイン。
わさび。
唐辛子。
納豆。
ブルーチーズ。
ブラックコーヒー。
多くは最初から子どもが大喜びする味ではありません。
しかし、
大人が飲んでいる。
飲むと気持ちが切り替わる。
この香りを嗅ぐと落ち着く。
仕事が始まる。
休憩時間になる。
家族で飲んだ。
旅行先で飲んだ。
こうした記憶が積み重なる。
すると脳は、
苦味を「危険」ではなく「快」と結びつけて学習する
ようになります。
だからコーヒーのおいしさは、
舌だけでは決まりません。
嗅覚、
記憶、
環境、
社会、
薬理作用
まで含めた体験です。
26.明治から昭和、日本独自のコーヒー文化へ
明治になると海外との交流が増え、コーヒーも徐々に日本社会へ入ってきます。
1888年には東京・下谷に「可否茶館」が開業し、日本の近代的喫茶店文化の象徴的な存在となりました。
やがて喫茶店は、
文学、
芸術、
思想、
ジャズ、
学生文化、
仕事
と結びついていきます。
ここでもヨーロッパのコーヒーハウスと似た構造が見えます。
人はコーヒーそのものを飲みに行くだけではありません。
その場所に行く。
考える。
本を読む。
誰かと話す。
一人になる。
何かを書く。
現代のカフェ文化まで、この機能は続いています。
27.そして「缶コーヒー」が日本の労働社会にぴたりとはまった
さらに日本らしい進化があります。
缶コーヒーです。
20世紀後半、缶コーヒーと自動販売機の普及によって、
コーヒーは、
「喫茶店に座って飲むもの」
から、
「いつでもどこでも覚醒を買えるもの」
へ変わりました。
駅。
会社。
工場。
高速道路。
サービスエリア。
建設現場。
深夜勤務。
自動販売機で100円玉を入れれば、
温かいコーヒーが出てくる。
これは日本の高度経済成長期以降の労働文化と非常に相性がよかったのでしょう。
ここでコーヒーは完全に、
休息の飲み物であると同時に、仕事を継続するための飲み物
になりました。
28.植物の「毒」が、いつの間にか文明の燃料になった
ここまでを一度並べてみましょう。
コーヒーノキがカフェインをつくる。
↓
昆虫などへの防御に役立つ。
↓
人間が見つける。
↓
飲むと目が覚めると気づく。
↓
夜の祈りに使う。
↓
コーヒーハウスで人が集まる。
↓
商談する。
↓
議論する。
↓
新聞を読む。
↓
金融取引をする。
↓
海上保険市場ができる。
↓
工場やオフィスで飲む。
↓
世界中の朝の習慣になる。
考えてみればすごい話です。
植物からすれば、
「そこまで使う?」
でしょう。
しかも人間は、
コーヒーを気に入った結果、
コーヒーノキを世界中に植えました。
植物の視点から考えると、
「人間に利用された」
だけではありません。
人間にとって利用価値があったからこそ、
コーヒーノキは原産地を超え、地球規模に広がることができた。
小麦。
米。
トウモロコシ。
茶。
カカオ。
コーヒー。
人間が好んだ植物は、結果として世界中に繁殖しています。
つまり見方を変えれば、
人間が植物を栽培しているのか、植物が人間を利用して世界へ広がったのか分からない。
そんな不思議な共生関係です。
29.コーヒーは「資本主義の薬」なのか
ここまで読むと、
「結局、コーヒーは人間を働かせるための薬だったんじゃないか」
と思うかもしれません。
たしかに、
工場、
会社、
軍隊、
病院、
夜勤、
運輸
とカフェインの相性は極めて良い。
しかし、
コーヒー=資本主義の薬
と決めてしまうと、それも単純化しすぎです。
コーヒーは、
祈りにも使われた。
友人との会話にも使われた。
小説を書くときにも飲まれた。
恋人と話すときにも飲まれた。
一人でぼーっとするときにも飲まれる。
つまりコーヒーには、
労働を加速する側面
と、
労働から一度離れる側面
の両方があります。
「コーヒーブレイク」という言葉が象徴的です。
働くために飲む。
でも、
休むためにも飲む。
この二面性が面白い。
30.では現代人は、どうコーヒーと付き合えばいいのか
科学的に考えると、極端な結論は必要ありません。
コーヒーは万能薬ではない。
しかし毒でもない。
適量なら、
覚醒、
集中、
反応速度
を改善し、
長期的な観察研究では複数の疾患リスク低下とも関連しています。
一方、
睡眠障害、
動悸、
不安、
離脱、
無濾過コーヒーによるLDL上昇
などには注意が必要です。
実用的には、次のように整理できます。
朝~午前中に楽しむ。
これは睡眠への影響を最小化しやすい。
仕事に使うなら少量から。
40~300mg程度でも覚醒効果はあります。(PubMed)
夕方以降は必要ならデカフェへ。
カフェイン半減期には大きな個人差があります。(NCBI)
一日400mgを「目標」にしない。
400mgは健康成人で安全性上問題が起きにくい上限の目安であって、飲むべき量ではありません。(European Food Safety Authority)
睡眠不足の治療に使わない。
カフェインは眠気をマスクしますが、睡眠の回復作用は持っていません。
LDLが気になるならペーパーフィルター。
特に無濾過コーヒーでは血中脂質上昇が観察されています。(PubMed)
砂糖入りは別物と考える。
コーヒーの健康研究を、甘い高カロリー飲料へそのまま当てはめない。
そして何より、
自分が気持ちよく飲める量でいい。
これに尽きます。
31.結局、人間はなぜ「苦いコーヒー」を好きになったのか
最初の問いへ戻りましょう。
苦味は本来、
警戒すべき刺激でした。
カフェインも植物が人間のために作ったものではありません。
それでも人間は、
その苦味を克服し、
むしろ好きになった。
なぜでしょう。
一つの理由では説明できません。
カフェインの覚醒作用。
焙煎による香り。
口に残る苦味。
砂糖やミルクとの組み合わせ。
朝の習慣。
休憩時間。
家族との時間。
喫茶店の記憶。
旅先で飲んだ一杯。
仕事を始める儀式。
本を読むときの相棒。
こうしたものが全部重なって、
「コーヒー」という体験になります。
つまり、
コーヒーのおいしさとは、
味覚だけではありません。
薬理作用 × 嗅覚 × 学習 × 記憶 × 文化 × 習慣
です。
だから、
子どものころにはただ苦かった飲み物が、
大人になると、
「落ち着く味」
になる。
これは味覚の変化というより、
人生経験によって意味が変わったのかもしれません。
32.コーヒーは、「人間らしさ」が詰まった飲み物なのかもしれない
コーヒーの歴史を追っていくと、
最後は少し壮大な話になります。
もともとは植物です。
その植物が、
昆虫などから身を守るために利用していた可能性のある化学物質を、
人間が見つけた。
飲んだ。
眠くならないことに気づいた。
焙煎した。
粉にした。
お湯で抽出した。
砂糖を入れた。
店を作った。
夜通し祈った。
議論した。
政治を語った。
保険を売った。
船の情報を交換した。
本を書いた。
研究した。
工場で働いた。
夜勤した。
そして現代では、
朝起きて、
スマートフォンを見ながら、
何となくコーヒーを淹れる。
その一杯の後ろに、
何百年もの文化と、
何百万年もの植物進化がある。
植物学から見れば、
カフェインを含む種子。
化学から見れば、
メチルキサンチン。
神経科学から見れば、
アデノシン受容体拮抗薬。
医学から見れば、
世界で最も広く使われている精神刺激物質の一つ。
歴史から見れば、
宗教・社交・情報・商業・労働と結びついた飲み物。
そして私たちにとっては、
ただの、
朝の一杯。
この落差が、コーヒーという飲み物の一番面白いところなのだと思います。
まとめ
コーヒーが苦いのは偶然ではありません。
植物は長い進化の中でさまざまな化学物質を生み出し、カフェインも防御物質として働いてきた可能性があります。
人間は本来、苦味を警戒するよう進化してきました。
しかし人類は、
この苦い植物を、
「危険だから避ける」のではなく、
「使えるから利用する」
方向へ進みました。
カフェインは脳のアデノシン受容体を遮断し、
眠気を減らし、
覚醒、
注意、
反応速度
を改善します。(PubMed)
そしてその性質が、
夜の祈り、
都市の議論、
商人の情報交換、
近代労働
と結びつきました。
一方、現代医学では、
コーヒー摂取と、
2型糖尿病、
心血管疾患、
全死亡、
肝疾患
などのリスク低下との関連が数多く報告されています。(BMJ)
ただし、その多くは観察研究です。
したがって、
「コーヒーを飲めば健康になる」
と因果関係まで断定することはできません。
またカフェインには、
不眠、
不安、
動悸、
離脱症状
などもあります。
大量に飲めば良いわけではありません。
だから結論は、
コーヒーは健康食品だから飲もう
でも、
カフェインは薬だからやめよう
でもないでしょう。
自分の睡眠、
体質、
生活リズム
に合わせ、
必要以上に依存せず、気持ちよく使う。
それで十分です。
人間は、
植物がつくった苦い化学物質を、
文化に変えました。
祈りに使い、
議論に使い、
仕事に使い、
休憩にも使った。
そう考えてから飲むと、
明日の朝の一杯が、
少しだけ違って見えるかもしれません。
コーヒーとは、単なる苦い飲み物ではない。
人間が「苦味」を文化と文明へ変換した、小さな一杯なのです。
参考文献
McLellan TM, Caldwell JA, Lieberman HR. A review of caffeine’s effects on cognitive, physical and occupational performance. Neuroscience & Biobehavioral Reviews. 2016. カフェイン40~300mg程度で覚醒、注意、警戒性、反応時間などの改善が示されています。(PubMed)
Drake C, Roehrs T, Shambroom J, Roth T. Caffeine Effects on Sleep Taken 0, 3, or 6 Hours before Going to Bed. Journal of Clinical Sleep Medicine. 2013. 400mgのカフェインでは就寝6時間前でも睡眠への影響が確認されました。(DOI)
Poole R, et al. Coffee consumption and health: umbrella review of meta-analyses of multiple health outcomes. BMJ. 2017. コーヒー摂取と幅広い健康アウトカムを検討した代表的アンブレラレビューです。(BMJ)
Ding M, et al. Caffeinated and Decaffeinated Coffee Consumption and Risk of Type 2 Diabetes. Diabetes Care. 2014. 28研究・約111万人をまとめ、カフェイン入り・デカフェ双方で2型糖尿病リスク低下との関連を報告しています。(糖尿病ジャーナル)
Nathanson JA. Caffeine and related methylxanthines: possible naturally occurring pesticides. Science. 1984. カフェインなどが植物の天然防御物質として働く可能性を示した古典的研究です。(PubMed)
EFSA. Scientific Opinion on the Safety of Caffeine. 健康成人では1日400mg、妊婦では1日200mgまでが一般的な安全性目安とされています。(European Food Safety Authority)
Cai L, et al. The effect of coffee consumption on serum lipids: a meta-analysis of randomized controlled trials. European Journal of Clinical Nutrition. 2012. 特に無濾過コーヒーで総コレステロール・LDL-C上昇が大きいことが示されています。(PubMed)
Oxford Research Encyclopedia of Food Studies. The Ethiopian and Yemeni Roots of Coffee. コーヒーの起源とエチオピア・イエメンにおける栽培・飲用文化形成の歴史を整理しています。(OUP Academic)
Lloyd’s. Lloyd’s Buildings / Lloyd’s Coffee House. Edward Lloydのコーヒーハウスが17世紀の海上保険市場の拠点となった歴史が記録されています。(ロイズ)
※医学研究、とくにコーヒーと疾患発症の関係には観察研究が多く含まれます。本記事では「関連」と「因果関係」を区別して記載しています。