更新:2026年9月
皆さん、こんにちは。
FreeStyleリブレ2を使っていると、「今度レントゲンを撮るんだけど、センサーは外したほうがいいの?」と気になることがありますよね。
これまでは、X線撮影、CT、MRIの前にはセンサーを外すよう案内されていました。リブレ2のセンサーは、いったん外すと再利用できません。そのため、検査のためだけに新しいセンサーへ交換する必要があり、費用もかかりますし、測定データが途切れてしまうこともありました。
ところが、2026年7月末に、この扱いが変わりました。
先に結論:一般のレントゲンとCTは、原則そのままで大丈夫
2026年9月時点で確認できる日本向けの公式情報では、FreeStyleリブレ2は、一般的なレントゲン撮影とCT検査であれば、センサーを装着したまま受けられます。
2026年7月31日、アボットジャパンは、FreeStyleリブレ2の添付文書や取扱説明書などにあたる「表示材料」を改訂しました。以前は「X線、MRI、CT検査の前にはセンサーを外す」という注意書きでしたが、改訂後はX線とCTの記載がなくなり、MRIだけが残っています。[アボットジャパンの改訂案内(PDF)](https://www.myfreestyle.jp/hcp/news/pdf/pdf-260731-01.pdf)
日本診療放射線技師会も、この変更を受けて、リブレ2は一般のX線撮影やCTでは、原則としてセンサーを外す必要がなくなったと案内しています。MRIについては、これまでどおり取り外しが必要です。[日本診療放射線技師会のお知らせ](https://www.jart.jp/news/info/20260807)
検査ごとの扱いを簡単にまとめると、次のとおりです。
| 検査 | センサーの扱い |
|---|---|
| 一般のレントゲン、X線撮影 | 原則、装着したままで可 |
| CT検査 | 原則、装着したままで可 |
| MRI検査 | 検査前に取り外す |
| 放射線治療、長時間の透視、血管造影など | 一般のレントゲンと同じとは限らないため、事前確認が必要 |
ただし、センサーを装着したまま検査を受ける場合でも、受付や検査室で「FreeStyleリブレ2を装着しています」と必ず伝えてください。センサーが画像に写り込むことがあるためです。
センサーを外さなくてよくなったことで、検査のたびに新しいセンサーへ交換する必要がなくなり、測定期間を途切れさせずに済みます。岡山大学病院の案内でも、標準的なX線・CT検査中は測定が中断されないと説明されています。[岡山大学病院の案内](https://www.ouhp-dmcenter.jp/project/donats/x%E7%B7%9A%E3%83%BBct%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E4%B8%AD%E3%81%AEfreestyle%E3%83%AA%E3%83%96%E3%83%AC2%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC%E5%8F%96%E3%82%8A%E6%89%B1%E3%81%84%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B/)
一方で、検査中にスマートフォンやReaderを検査室の外に置く場合は、その間の画面表示やアラートを確認できないことがあります。センサーをつけたままでよいことと、検査中に端末を使えることは、別の話です。
7月に変わったのは、センサーではなく公式の案内
ここは少しややこしいところです。
今回の変更は、2026年7月にセンサーの中身が新しくなった、という意味ではありません。アボットジャパンの案内には、製品性能そのものに変更はないと記載されています。
変わったのは、利用者や医療機関が確認する添付文書、取扱説明書、個装箱、アプリの説明書などの記載です。正確には、添付文書だけでなく、複数の公式な「表示材料」が改訂されました。
「添付文書」というのは、その医療機器を何に使うのか、どう使うのか、どのような注意が必要なのかをまとめた公式文書です。「使用してはいけない条件」や、起こる可能性のある不具合についても書かれています。
アボットジャパンによると、改訂された表示材料は2026年10月以降に出荷される製品から順次使われる予定です。そのため、しばらくの間は、以前の説明書が入った製品も流通する可能性があります。
手元の説明書に「X線やCTの前には外してください」と書いてあっても、必ずしもセンサー自体が別物ということではありません。説明書の切り替えに時間差があるためです。迷ったときは、現在の公式情報と、検査を受ける医療機関の指示を確認しましょう。
FreeStyleリブレ2は、何を測っているの?
FreeStyleリブレ2は、CGMという機器です。
CGMは、Continuous Glucose Monitoringの略で、日本語では「持続グルコース測定」といいます。上腕の後ろ側に小さなセンサーを貼り、センサーの先端を皮下に置いて、体の中のグルコースを連続的に測定します。
ここで測っているのは、血液そのものではありません。センサーが見ているのは、細胞と細胞の間にある「間質液」という液体の中のグルコースです。
血液中のグルコースが間質液に反映されるまでには、少し時間差があります。そのため、食後や運動後、インスリンを使った後のようにグルコースが急に変化する場面では、指先で測る血糖値とリブレの値が一致しないことがあります。
今回、X線やCTとの関係で問題になっていたのは、X線が血糖値を変えるかどうかではありません。センサー内部の電子部品が影響を受けて、壊れたり、誤った値を表示したり、通信できなくなったりしないか、という点です。
「体への影響」と「機器の測定機能への影響」は、分けて考える必要があります。
レントゲン・CTとMRIは、同じ画像検査でも仕組みが違う
レントゲンとCTはX線を使う
一般のレントゲン撮影では、X線を体に当てます。体の組織によってX線の通り抜け方が違うため、その差が画像になります。
CTもX線を使う検査です。体の周囲からいろいろな方向にX線を当て、コンピューターで体の断面画像を作ります。単純なレントゲンとCTでは画像の作り方が違いますが、どちらも基本的にはX線を利用しています。
X線は「電離放射線」と呼ばれます。これは、物質をつくる原子から電子をはじき出すほどのエネルギーを持つ放射線、という意味です。人体だけでなく、電子機器にも、照射量や照射条件によっては影響を与える可能性があります。
以前のリブレ2では、X線やCTの影響が十分に評価されていないという理由から、安全のためにセンサーを外すよう案内されていました。今回、試験結果などを踏まえて、その注意書きが見直されたと考えられます。
MRIは磁石と電波を使う
MRIは、X線を使いません。強い磁場と、磁場を変化させる仕組み、高周波の電波を使って体の内部を画像にします。
「放射線を使わないなら、MRIのほうが機器にも安全なのでは」と思うかもしれません。しかし、医療機器にとっては、X線とは別の危険があります。
MRIの強い磁場によって、金属を含む部品が引っ張られたり、向きが変わったりする可能性があります。また、高周波によって部品が熱くなったり、電子回路が誤作動したりすることもあります。
日本向けFreeStyleリブレ2の添付文書には、センサーに金属が含まれているため、MRI検査では、装置への吸着、故障、破損、火傷などのおそれがあると記載されています。MRIの前には、必ずセンサーを外してください。[PMDA掲載のFreeStyleリブレ2センサー添付文書](https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiDetail/ResultDataSetPDF/100159_30300BZX00119000_B_01_02)
今回の変更は、「X線とCTは装着したままでよくなったが、MRIまで大丈夫になった」という意味ではありません。X線・CTとMRIは、はっきり分けて考える必要があります。
なぜ「レントゲンとCTは大丈夫」と判断されたのか
今回の変更には、公式文書の見直しだけでなく、リブレのセンサーを実際に放射線環境に置いて機能を調べた試験も関係しています。
アボットの公式FAQ
アボットの日本向けFAQでは、MRIの場合は検査前にセンサーを取り外す必要がある一方、X線とCTについては、試験によってセンサーが影響を受けないことが示されたため、装着したまま使用できると説明されています。
同じFAQには、センサーをつけたままX線やCTを受けると、撮影する場所や条件によっては、センサーが画像に写り込む可能性もあると書かれています。[アボット公式FAQ](https://www.freestyle.abbott/ja-jp/support/faq-54.html)
ここでいう「影響を受けない」とは、通常の検査でセンサーの測定機能が壊れたり、検査によって測定値が系統的に変化したりすることが確認されなかった、という意味です。どんな放射線を受けても絶対に故障しない、という意味ではありません。
FreeStyleリブレ2を対象にした試験
2023年に発表された研究では、FreeStyleリブレ、FreeStyleリブレ2、FreeStyleリブレ3のセンサーについて、X線、CT、MRIの影響が調べられました。
X線とCTの試験では、センサーに模擬的なグルコースデータを読み込ませたうえで、放射線を当てました。センサーに直接当てる条件、周囲から影響を受ける条件、散乱線を受ける条件などを設定し、その後もセンサーが機能するか、データが保たれるか、設定したグルコース濃度に対する反応が変わらないかを確認しています。
FreeStyleリブレ2では、X線を試験全体で20回、CTを10回照射する評価が行われました。通常の一回の診断検査で想定される条件を上回る、比較的厳しい条件も含まれています。
結果として、X線・CTの後もセンサーの機能とデータは保たれ、測定値のずれも試験の許容範囲内でした。研究報告の表では、FreeStyleリブレ2の誤差は、許容基準の10mg/dL以下に対して1mg/dL未満でした。[Matievichらの原著論文](https://doi.org/10.1177/19322968221106206)
この結果は、リブレ2そのものを対象にした技術的な根拠として重要です。ただし、読み方には注意が必要です。
この研究は、実際の患者さんを病院で長期間追跡した臨床研究ではなく、センサーを使った実験室内の機能評価です。使われたセンサーの数も多くありません。また、研究費はアボットが負担し、著者はアボットの社員でした。
そのため、この研究だけから「どんな条件でも絶対に壊れない」と言うことはできません。一方で、リブレ2を対象に、X線やCTを直接・間接・散乱の条件で当てて機能を確認し、問題がなかったという点は、今回の公式案内を理解するうえで有力な材料です。
別モデルを使った日本の研究
2019年には、日本の研究者らがFreeStyleリブレProのセンサー50個を使い、胸部X線、CT、放射線治療、MRIの影響を調べています。
各条件に10個ずつのセンサーを割り当て、検査前後の記録データを比較したところ、データを読み取れない、エラーが出るといった問題はなく、検査前後で記録に変化は認められませんでした。[藤田医科大学の研究紹介](https://pure.fujita-hu.ac.jp/en/publications/are-the-recorded-data-of-flash-glucose-monitoring-systems-influen/)
ただし、この研究の対象はFreeStyleリブレProであり、現在のリブレ2と完全に同じ製品ではありません。そのため、これは補助的な根拠として見るのが適切です。特にMRIについては、日本向けのリブレ2の現行添付文書が取り外しを求めています。過去の研究結果だけを理由に、MRIへ装着したまま入ることはできません。
「センサーが画像に写る」ことと「センサーが壊れる」ことは別
「センサーが画像に写り込む」と聞くと、検査中にセンサーが壊れるのではないかと思うかもしれません。しかし、この二つは別の話です。
画像の中に、体の構造ではない機器や金属が写ると、白い影や黒い影、線状の乱れが出ることがあります。こうした画像上の乱れを「アーチファクト」と呼びます。
アーチファクトによって、画像を読みにくくなったり、センサーの近くにある小さな病変が見えにくくなったりすることがあります。画像を確認する医師は「読影医」と呼ばれますが、読影医が画像を読むとき、センサーの存在を知っていれば、その影響を考慮できます。
そのため、レントゲンやCTではセンサーを外さなくてもよい一方で、検査担当者には必ず装着を伝える必要があります。
センサーは直径約35mm、厚さ約5mmの小さな機器です。先ほど紹介した試験では、X線やCTの画像上でセンサーを確認できるものの、画像への影響は小さいと報告されています。ただし、実際の影響は、センサーの位置、撮影する部位、装置、撮影条件によって変わります。
検査当日はどうすればいい?
通常の胸部レントゲン、骨のレントゲン、腹部のレントゲンなどを受ける場合は、現在の公式情報上、センサーを自分で外す必要はありません。CTも同じです。
受付や検査室で、「FreeStyleリブレ2を上腕に装着しています」と一言伝えれば大丈夫です。もし医療機関側から個別の指示があった場合は、その施設の指示を優先してください。
スマートフォンやReaderを検査室へ持ち込めるかどうかは、センサーの扱いとは別に、病院のルールに従います。端末を検査室の外に置く場合は、検査中に画面を確認したり、アラートを受け取ったりできない可能性があります。
MRIを受ける場合は、検査室に入る前に必ずセンサーを取り外します。いったん外したセンサーは再利用できないため、検査後は新しいセンサーが必要です。MRIの予約が決まったら、センサーの交換時期や予備のセンサーについて、主治医や医療機関に早めに相談しておくと安心です。
検査後に、センサーの表示がおかしい、体調と数値が合わない、低血糖や高血糖のような症状がある、といった場合は、指先で測る血糖測定器で確認してください。測定値と自覚症状が一致しない場合に血糖測定器で確認することは、リブレ2の添付文書でも案内されています。
すべての放射線検査に、そのまま当てはまるわけではない
今回の変更は、日本向けのFreeStyleリブレ2センサーについてのものです。
初代FreeStyleリブレ、FreeStyleリブレPro、Dexcomなど他社のCGM、インスリンポンプに、同じ扱いが自動的に当てはまるわけではありません。医療機器は、製品ごとに内部構造や試験結果、公式の注意事項が異なるためです。
また、「X線」と呼ばれる検査でも、一般の胸部レントゲンや通常のCTと、放射線治療、長時間の透視、血管造影、CT透視などでは、照射量や照射時間、放射線の当たり方が大きく異なる場合があります。
今回の改訂を、特殊な高線量検査や放射線治療にまで広げて考えることはできません。米国食品医薬品局(FDA)も、X線、CT、透視、血管造影などでは、装着している機器の種類や照射範囲を確認するよう説明しています。特に高エネルギーの放射線治療は、一般の画像検査とは分けて考える必要があります。[FDA:糖尿病用ウェアラブル機器と画像検査・放射線治療](https://www.fda.gov/radiation-emitting-products/electronic-medical-devices-x-ray-imaging-and-radiation-therapy-what-know-and-how-prevent-damage/preventing-damage-wearable-diabetes-devices-during-imaging-and-radiation-procedures)
空港のボディスキャナーや手荷物検査のX線装置も、医療機関の一般的なレントゲンと同じ扱いとは限りません。今回の変更を、別の機器や別の検査にそのまま広げないようにしましょう。
よくある疑問
古い説明書に「X線・CTでは外す」と書いてあります
アボットジャパンは、改訂版の表示材料を2026年10月以降の出荷品から順次使う予定としています。当面は、改訂前の説明書が入った製品も流通します。
古い説明書が手元にあること自体は、不自然ではありません。現在の公式FAQではX線・CTは装着したままで使用できると説明されていますが、実際の検査では、受検する医療機関の最新の運用も確認してください。
レントゲンを受けると、血糖値が変わりますか
今回問題になっているのは、X線が血糖値を上げたり下げたりすることではありません。センサーの電子部品や測定機能に影響が出る可能性があるかどうかです。
レントゲンやCTの後に表示値と体調が合わない場合は、X線のせいだと決めつけず、指先の血糖測定で確認してください。
センサーが写って、レントゲン画像が読めなくなることはありますか
センサーが画像に写り込む可能性はありますが、必ず画像が読めなくなるという意味ではありません。撮影部位とセンサーの位置によって影響は変わります。
あらかじめ装着を伝えておけば、検査担当者や画像を読む医師が、その影響を考慮できます。
まとめ
FreeStyleリブレ2を使っている方にとって、今回の変更はかなり実用的なものです。
2026年7月末のアボットジャパンによる表示材料の改訂により、日本向けのFreeStyleリブレ2は、一般のレントゲン撮影とCT検査では、原則としてセンサーを装着したまま受けられるようになりました。検査のたびにセンサーを外して交換する必要がなくなり、測定期間を途切れさせずに済みます。
この変更は、アボットの公式資料だけでなく、日本診療放射線技師会の案内でも確認できます。また、リブレ2を含むセンサーを使った放射線照射試験でも、X線・CT後の機能維持が確認されています。
ただし、「どんな放射線検査でも絶対に大丈夫」という意味ではありません。センサーが画像に写る可能性はあるため、検査担当者には必ず装着を伝えます。放射線治療、長時間の透視、血管造影などは、個別に確認しましょう。
そして、MRIは今も別扱いです。MRIを受けるときは、これまでどおり検査前にセンサーを取り外してください。
覚えておくことは、これだけです。
一般のレントゲンとCTは、リブレ2を装着したまま。MRIは、これまでどおり外す。どの検査でも、まず医療スタッフに伝える。






