2020/07/29

血糖コントロールが良好ならCOVID-19重症化リスクは低い!治療中断の方がとても危険です。

ご無沙汰しております。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。


 早速ですが、糖尿病は多くの感染症の重症化リスク因子であり、血糖コントロールの良否が感染症の予後に関連するとされています。新型コロナウイルス(COVID-19)についても、血糖コントロール状態が予後を規定する因子である可能性を示す報告がでております。


 はじめに結論を申し上げますと、インスリンを用いて良好に血糖管理されている患者さん  では、非インスリン療法の患者に比べて重症化リスクが低いというデータがでております。

 

 これは、インスリンの有無に限らず、血糖コントロールが良ければ重症化リスクも下がることを示唆します。


 治療しないことが一番危険であり、何とか治療の継続はお願いします。


 以下、少し難しいので読み飛ばして頂いても大丈夫ですが、上記の結論だけは何卒頭に入れて頂ければ幸いです。

 中等症のCOVID-19患者59人を、入院時血糖値7.77mmol/L(140mg/dL)をカットオフ値として正常血糖群と高血糖群に分類し、複合エンドポイント(疾患の重症化、ICU入室、人工呼吸器の使用、および死亡)で転帰を比較したものがあります。入院中は炎症性サイトカインのインターロイキン6(IL-6)と、血液凝固能のマーカーであるD-ダイマーを毎週測定した。

 59人のうち正常血糖群は34人(57.6%)、高血糖群は25人(42.4%)だった。高血糖群のうち入院前に糖尿病と診断されていたのは18人(72.0%)で、15人(60.0%)はインスリン療法が施行されていた。高血糖群の入院時血糖値は、インスリン療法が施行されていなかった患者では10.65±0.84mmol/L(192±15.1mg/dL)、インスリン療法が施行されていた患者では7.69±1.85mmol/L(138.4±33.3mg/dL)だった。

 入院時点において、高血糖群では正常血糖群に比べ、IL-6とD-ダイマーが有意に高かった(P<0.001)。入院中、全ての患者にCOVID-19に対する標準治療が行われたが、高血糖群のIL-6とD-ダイマーは高値で推移した。

 入院前に糖尿病と診断されていた患者、および入院時に高血糖を呈していた患者は、糖尿病と診断されておらず正常血糖だった患者に比し、重症化のリスクが高かった。ただし、高血糖群においてインスリンで治療されていた患者は、インスリンが使われていなかった患者に比べ、疾患重症化のリスクが低かった。

 インスリン療法は糖尿病患者の血糖コントロールを良好にするとともに、COVID-19に罹患した糖尿病患者の転帰改善に効果的な方法である可能性があります。

 重要なのは、糖尿病であってもしっかりとした治療ができていれば、COVID-19に限らず、すべての感染症に対し重症化リスクは軽減できるということです。

 したがって、感染リスクを恐れて、受診控えてしまうのは、むしろ危険です。

感染するのは、なにも医療機関に限らず、コンビニ、スーパー、駅など人がいるとこならどこでもありえます。血糖コントロールが悪いまま、どこかで感染してしまうと重症化のしやすいです。

 そうはいっても、クリニックなどは発熱患者さんがいるかもしれず、他の場所よりは感染リスクは高く、不安も大きいと思われます。

 当院では、すべて車内で診察、会計、薬のお渡しを完結できるようにしております。受診前にお電話頂ければ、医師が車まで伺い診察し、その後スタッフより会計に参ります。最後に、薬局よりお薬を車までお届けします。

 インスリンなどの自己注射の方は、針の回収、針や自己血糖測定の針やセンサーも車内でお渡しします。

 医師やスタッフは当然マスク着用で対応します。お互いがマスク着用で、短時間の面会での感染リスクはかなり低いです。

 繰り返しになりますが、糖尿病はじめ高血圧や脂質異常症の慢性疾患の治療中断だけはしないでください。

 よろしくお願い申し上げます。



HealthDay News 2020年5月28日

Outcomes in Patients With Hyperglycemia Affected by Covid-19: Can We Do More on Glycemic Control?


Celestino Sardu, Nunzia D’Onofrio, Maria Luisa Balestrieri, Michelangela Barbieri, Maria Rosaria Rizzo, Vincenzo Messina, Paolo Maggi, Nicola Coppola, Giuseppe Paolisso, Raffaele Marfella



ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...