2019/10/10

健康講座120~高齢者糖尿病と筋肉量

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。

 日本人の高齢糖尿病患者は、肥満度(BMI)が低過ぎたり、体脂肪率が高過ぎたりすると、加齢に伴って骨格筋量と骨格筋力が低下するサルコペニアになりやすい可能性のあることが、秋田大学大学院内分泌・代謝・老年内科学の福岡勇樹氏らの研究グループの検討で分かった。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」8月11日オンライン版に掲載された。

 糖尿病患者は、健康な人に比べてサルコペニアになるリスクが約3倍に上ることが報告されている。特に高齢の患者では、日常生活動作(ADL)を保持するためにはサルコペニアの適切な管理が重要になるが、高齢患者を対象にサルコペニアについて検討した研究は限られていた。

 日本人の高齢糖尿病患者を対象に、サルコペニアの有病率と関連する因子のほか、サルコペニアの指標となりうる身体評価項目について検討する横断研究を実施した。

 その結果、対象患者におけるサルコペニアの有病率は18.7%(267人中50人)であり、加齢に伴い有意に上昇していた。BMIを四分位に分けてサルコペニアの有病率を比較したところ、男女ともにBMIが低いグループほど有病率は有意に高かった。

 一方で、体脂肪率を四分位に分けて比較したところ、男女ともに体脂肪率が2番目に高いグループ(男性では25.3~30.2%、女性では33.1~38.7%)でサルコペニアの有病率は最も低く、体脂肪率が最も高いグループでは有病率は上昇していた。また、BMIと骨格筋量指数との間には有意な正の関連が認められた。

 65歳を超える日本人の糖尿病患者は、BMIが低過ぎたり、体脂肪率が高過ぎたりするとサルコペニアになるリスクが高まる可能性がある。そのため、高齢の糖尿病患者のサルコペニアを予防するためには、BMIだけでなく、骨格筋量指数と体脂肪率のバランスの評価を含めた身体管理が重要になるだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...