小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。
要求度が高いのに裁量権が低い仕事やシフト勤務といった職場のストレスを抱える労働者は、そうでない労働者に比べてメタボリック症候群になりやすい可能性のあることが、北里大学公衆衛生学教授の堤明純氏と東京大学らの共同研究グループの検討で分かった。
これらの関連を前向きに検討した観察研究をメタ解析し、職場のストレス要因がメタボリック症候群リスクと関連することを示したのは世界で初めて。研究グループは「労働者のメタボリック症候群を予防するには、職場環境の改善が重要な可能性がある」と話している。詳細は「Obesity Reviews」7月25日オンライン版に掲載された。
研究グループは、職場のストレス要因とメタボリック症候群の発症リスクとの関連を前向きに検討した観察研究の論文を系統的に検索。抽出した4,664件のうち条件を満たした8件の論文を対象にメタ解析を実施し、これらの関連を検討した。
解析の結果、職場でストレス要因を抱える労働者では、そうでない労働者に比べてメタボリック症候群の相対リスクは1.47倍であり、質の高い論文に限定して解析してもこのリスクは1.4倍であることが分かった。
また、対象とした研究では、ストレス要因の中でも、仕事の要求度が高いにもかかわらず裁量権が低い「仕事のストレイン」と「シフト勤務」を検討した研究が多くみられ、これらはメタボリック症候群リスクとの関連も強いことが明らかになった。
今回の結果は、働き盛りの世代でメタボリック症候群の有病率が高く、心血管疾患や2型糖尿病の発症につながりやすいことの説明になるのではないかと考えられる。今後、こうした世代において生活習慣病の発症に職場の心理社会的要因がどのように関与するのか、その機序の解明が進むことに期待を示している。
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