こんにちは。
小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。
たった一晩の睡眠不足でも血糖やインスリンの制御に関わる肝臓の機能が変化し、2型糖尿病の発症リスクが上昇する可能性があることを、東邦大学糖尿病・代謝・内分泌学准教授の熊代尚記氏らの研究グループがマウスを用いた実験で突き止めた。詳細は「American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」7月10日オンライン版に掲載された。
睡眠不足は過食や運動量の低下から体重増加を引き起こし、インスリン抵抗性や2型糖尿病リスクを高めると考えられている。睡眠不足に伴う生活習慣(食事や運動)の乱れの影響を排除し、睡眠不足そのものが生活習慣の乱れを介さずに耐糖能異常を引き起こす新たなメカニズムを探索するため、マウスを用いた実験を行った。
6時間の睡眠障害の直後にマウスの血糖値と肝臓の脂肪量を測定したところ、自由に睡眠を取った対照群に比べて、睡眠時間を制限した群では血糖値が有意に高く、肝臓中の中性脂肪含有量が有意に増加していることが分かった。また、睡眠時間を制限した群ではピルビン酸負荷後に有意な血糖値の上昇が認められ、脂肪肝によるインスリン抵抗性が引き起こされていることが示唆された。
さらに、メタボローム解析を用いて肝臓内の代謝物を網羅的に調べた結果、睡眠時間を制限した群では対照群に比べてアシルカルニチンやアセチルCoA、ケトン体などが増加しており、肝臓での脂肪燃焼は亢進していることが明らかになった。一方、マイクロアレイを用いて肝臓の遺伝子発現を網羅的に調べた結果、肝臓での脂肪合成を促進する遺伝子の発現が増加しており、睡眠障害により過食や体重増加を伴わずに肝臓の脂肪蓄積が増加するメカニズムとして、睡眠不足による肝臓での脂肪合成の促進が示唆された。
これらの結果を踏まえ、たった1日睡眠不足になるだけで、肝臓で脂肪合成が亢進して脂肪蓄積が増加する。そして、脂肪肝が肝臓のインスリン抵抗性を引き起こして耐糖能を悪化させる可能性がある。
2019/09/06
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