こんにちは。
小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。
糖尿病と認知症が併存すると、糖尿病だけの場合に比べて重症低血糖に関連する死亡リスクが大幅に高い可能性があることが、英ノルウィッチ医科大学のKatharina Mattishent氏らによる研究で明らかになった。研究の詳細は、欧州糖尿病学会(EASD 2018、10月1~5日、ドイツ・ベルリン)で発表された。
英国における65歳以上の計1万9,995人の1型糖尿病または2型糖尿病患者を対象に、糖尿病と認知症が併存し低血糖を起こさなかった患者群(6,134人)と、これらが併存し低血糖を起こした患者群(1,679人)、糖尿病だけで認知症は併存せず低血糖を起こした患者群(1万2,182人)の3つの群に分けた上で、低血糖エピソードの初発から最長5年間追跡した。
追跡期間中に1万1,716人の死亡が確認された。解析の結果、糖尿病と認知症が併存し低血糖を起こした患者群では、両者が併存し低血糖を起こさなかった患者群に比べて全死亡リスクが66%高いことが分かった(ハザード比1.66、95%信頼区間1.51~1.81)。さらに、糖尿病と認知症が併存した患者群では、糖尿病だけの患者群に比べて重症低血糖後に死亡するリスクが67%高いことも明らかになった(同1.67、1.54~1.8)。
糖尿病と認知症が併存する高齢患者の死亡のリスク因子として、低血糖の重要性は十分に認識されていない。高齢患者においては、血糖コントロールの目標値を厳格に設定する必要はなく、低血糖の発生を観察するべきである。
また、認知症治療の画期的な新薬が登場していない状況では、リスクの最小化とケアの質の向上が鍵となる。糖尿病があると認知症の発症リスクが上昇することが知られており、両者の関係について理解を深めることは喫緊の課題である。
さらに、糖尿病患者にとって重症低血糖が危険であることは明らかだが、この研究から認知症患者ではその影響はより強まることが示唆された。今回の研究は因果関係を証明するものではないが、重症低血糖の危険性を考慮すると、認知症を併存する糖尿病患者では血糖値を慎重に管理し、低血糖予防に努める必要があるだろう。
2019/10/03
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