小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。
紙巻きタバコが体に悪いことは昔からよく知られています。もちろんタバコは本人にとって有害であるだけでなく、身辺にいる家族を含め、被害を被る人たちが多数おります。
2018年8月16日号のNEJM誌に掲載された、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のYang Hu氏らが、米国の3つのコホート研究(NHS、NHS II、HPFS)のデータを利用・解析し、禁煙に伴う体重増加が心血管死や全病因死亡への禁煙のメリットを損なわず、ただ2型糖尿病の短期リスクを増やすことに関係していると報告された。
研究の要約
米国の3コホート研究参加者の中で禁煙を自己申告した男女参加者を同定し、喫煙状況、体重変化を前向きに評価した。禁煙を自己申告した参加者中、禁煙後の体重増加の程度に基づいて、2型糖尿病リスク、心血管病死、全病因死亡を評価した。2型糖尿病リスクは、最近禁煙者(禁煙後2〜6年)では現在喫煙者よりも高かった(HR:1.22、95%CI:1.12~1.32)。糖尿病リスクのピークは禁煙後5~7年にあり、その後次第に低下した。糖尿病リスクの一時的増加は体重の増加に比例して増加したが、体重増加のない禁煙者ではリスク増加は認めなかった(相互作用のp<0.001)。
逆に、禁煙後の体重増加と無関係に、禁煙者死亡率の増加はみられなかった。現在喫煙者と比較して、体重増加のない禁煙者では心血管病死に対するHRは0.69(95%CI:0.54~0.88)、0.1~5.0kg体重増加した禁煙者ではHRは0.47(95%CI:0.35~0.63)、5.1~10.0kg体重増加した禁煙者ではHRは0.25(95%CI:0.15~0.42)、体重増加が10kg以上の禁煙者ではHR 0.33(95%CI:0.18~0.60)、長期禁煙者(6年超え禁煙者)ではHR 0.50(95%CI:0.46~0.55)であった。同様の結果が全病因死亡についても観察された。
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