2019/11/03

健康講座135~食事療法のエッセンス

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川です。

 食の欧米化や糖質制限の流行、高齢者の低栄養が問題となる昨今、日本人における食事療法の見直しが迫られている。
 高齢者糖尿病の食事療法の目的は、過剰摂取だけではなく、合併症予防やQOLの維持・向上、そして、これからは老年症候群と言われる認知症やサルコペニア、フレイルなどの予防が重要となる。
 ビタミンD低下はサルコペニア、ビタミンB2やカロチン摂取低下は認知機能低下、タンパク質摂取低下は筋肉量および下肢機能低下などのフレイルに関連する。
 タンパク質1.0g~1.5g/kg体重の摂取がサルコペニアの予防に大切である。このほか、ロイシンを考慮した食事療法も推奨される。
 後期高齢者はタンパク質摂取が低い群で死亡リスクが高くなる。さらに、緑黄色野菜の摂取量がHbA1cや中性脂肪値にも影響する。
非肥満患者にカロリー制限食を提供する現状
 
 かつて、カロリー制限や脂質制限を推奨されてきた。しかし、カロリー食によるサルコペニアリスクを考慮すると、肥満患者以外へのカロリー制限を控えたほうが望ましい。
 そもそも、欧米の糖尿病患者は太っていることが多い。一方で、日本人の糖尿病患者はBMI 24前後の患者が多く、体重管理のためのエネルギー処方は不要と考えられる。現在の治療法は、高血糖ではなく肥満の治療法である。非肥満患者に肥満治療食が提供されるのは本質的ではない。
 また、カロリー制限では脂質・タンパク質摂取によるインクレチン分泌を利用できないため、血糖管理には向かない。理論的意義も実際の有効性も安全性も担保されていない。
 現在、ハーバード大学におけるメタボリックドミノの新モデルでは、糖質の過剰摂取が最上流として着目されており、実際、日本国内外で糖質制限食のエビデンスはそろっている。日本人の糖尿病食事療法にエビデンスのある、多様な食事法の導入を目指していくべき。




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