2019/12/11

健康講座164~罹病期間と無自覚低血糖

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。

 高齢の1型糖尿病患者は1日に1時間以上、気づかないうちに低血糖を経験している可能性があることが、米国際糖尿病センターのAnders Carlson氏らの検討で分かった。
 一般に、血糖値が70mg/dL以下になると低血糖症状が現れ、54mg/dLを下回ると重症低血糖とみなされる。血糖値が下がると震えや発汗、頭痛、空腹感、疲労感、目のかすみといった症状が現れ、極度に低下すると脱力感や混乱などが生じることもある。

 また、低血糖を未治療のまま放置すると発作や意識障害、最悪の場合には死に至る場合もあるという。一方、糖尿病の罹患期間が長い患者や低血糖を繰り返す患者は、低血糖の警告症状に気づきにくく、重症低血糖を来しやすいとしている。
 今回の研究は、ランダム化比較試験に参加した60歳以上の1型糖尿病患者203人を対象としたもの。対象患者には持続血糖測定器(CGM)を最大21日間装着してもらい、1日の血糖変動を測定した。
 その結果、対象患者の血糖値は平均して1日当たり72分間は70mg/dLを下回り、1日当たり24分間は54mg/dL未満まで低下していることが分かった。また、無自覚性低血糖の患者では、より長時間にわたる低血糖を経験していることも明らかになった。
 高齢の1型糖尿病患者では、気付かないうちに1日のうち相当な時間の低血糖を経験していることが分かった。低血糖は、意識消失や事故、転倒、入院、救急外来受診といった深刻な結果を招く可能性がある。

 また、高齢者は低血糖から不整脈を起こすリスクが高く、心血管系の障害につながりやすい。そのため、低血糖にはいつでも対処できるように、日ごろから備えておく必要がある。
 高齢者では若年者よりも低血糖時の拮抗ホルモンの反応(counter-regulatory responses)が小さく、糖尿病治療をそれほど強化する必要はないが、低血糖が頻繁に見られるということは治療内容を見直す必要性がある。高齢患者の治療では低血糖を最小限に抑えることが重要だ。
 糖尿病の罹病期間が長い方は無自覚低血糖に注意が必要です。不安に思われたら主治医にご相談ください。


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