2020/01/03

健康講座171~バセドウ病ガイドライン2019

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。



バセドウ病は1,000~2,000人に1人に発症する疾患であり、日常診療において遭遇率の高い疾患の1つである。なかでも、若い女性では約300人に1人が罹患しているとされ、妊娠中の検査で判明することも少なくない。

 

2019年5月、日本甲状腺学会によるバセドウ病治療ガイドラインが8年ぶりに改訂されました。



 推奨度を「強く推奨する」「弱く推奨する」「推奨なし」の3段階で、推奨決定のためのエビデンス総体の質(確信性)のグレードは、「強」「中」「弱」「とても弱い」の4段階で示されている。


妊娠前~妊娠中の管理方法が重要
 妊娠兆候がある人は、産婦人科による甲状腺疾患の有無を確認する血液検査が必須である。
 さらに、バセドウ病の治療は妊娠の有無にかかわらず、 すべての患者に薬物治療が必要になることから、日本甲状腺学会は妊娠前~妊娠中の薬物治療への対応に注意を払っている。

 たとえば、今回のガイドラインでは妊娠中のバセドウ病の治療方針と管理方法について、「器官形成期である妊娠4週から妊娠15週、とくに妊娠5週から妊娠9週はMMI(チアマゾール)の使用は避ける。妊娠16週以降はMMIを第一選択薬とする」と変更されている。

 エビデンスを検索するかぎり、MMIの影響については妊娠10週までしか報告されていない。しかし、一般的な薬物の影響を考慮して、今回のガイドラインでは妊娠5~15週でのMMIの使用回避を記載した。
<ガイドライン2019の主な変更点>
FCQ1:妊娠初期における薬物治療は、第一選択薬として何が推奨されるか?
(変更前)推奨なし・MMIは妊娠4~7週は使用しないほうが無難
(変更後)抗甲状腺薬が必要な場合はPTU(プロピルチオウラシル)を使用、MMIは妊娠5週0日から9週6日まで避けるべき
FCQ2:無顆粒球症にG-CSFは推奨されるか?
(変更前)推奨なし
(変更後)無症候性で顆粒球数100/μL以上では低用量のG-CSFを外来で試験投与可能、顆粒球数100/μL未満は入院のうえ高用量のG-CSF投与が推奨
FCQ3:抗甲状腺薬服薬中および治療後にヨウ素制限を行うか?
(変更前)食事性ヨード摂取の制限を勧める必要はない
(変更後)行わない
FCQ4:18歳以下のバセドウ病患者に131I内用療法は推奨されるか?
(変更前)慎重投与[他の治療法が選択できないとき]
(変更後)6~18歳以下でほかの治療法が困難である場合のみ容認、5歳以下は禁忌
FCQ5:授乳中のバセドウ病患者にMMI、PTU、無機ヨウ素は推奨されるか?
(変更前)PTU300mg/日以下、MMI10mg/日以下であれば授乳を制限する必要はない
(変更後)PTU、MMIは変更なし、治療量の無機ヨウ素薬は可能な限り避ける
FCQ6:131I内用療法後、挙児計画はいつから許可するか?(男性の場合)
(変更前)推奨なし、6ヵ月以上期間を置く
(変更後)4ヵ月過ぎてからの挙児計画推奨[強い]、6ヵ月過ぎてからの挙児計画推奨[弱い]


専門的な内容になってしまいましたが、自分自身の備忘録として掲載させて頂きました。

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