2020/02/20

健康講座193~SGLT2阻害薬と痛風への期待

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニックです。

                                                          血糖降下薬であるSGLT2阻害薬により痛風のリスクが低下する可能性が示された。


 SGLT2阻害薬を使用している人では、他の血糖降下薬(GLP-1受容体作動薬)を使用している人と比べて、痛風を発症するリスクが36%低かった。SGLT2阻害薬は2型糖尿病患者にとって最も効果的な薬剤の1つであり、痛風のリスク低減につながる可能性もある。

 SGLT2阻害薬は、成人2型糖尿病患者に使用される血糖降下薬としては比較的新しいクラスの薬剤である。この薬は腎臓に作用し、体内の糖を尿とともに体外へ排出する。薬剤の名称(一般名)としては、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジンなどが該当する。

 2型糖尿病の人は血中の尿酸値が高いことが多い。その状態が長引き、尿酸の結晶が関節に蓄積すると痛風を引き起こす。痛風の症状はまず足の親指に現れることが多く、激しい関節痛や腫れを生じる。


 今回の研究は、SGLT2阻害薬またはGLP-1受容体作動薬を新たに処方された約30万人の2型糖尿病患者(平均年齢54歳)を対象に実施された。その結果、SGLT2阻害薬を処方された約15万2,000人のうち636人が痛風を発症した。一方、GLP-1受容体作動薬が処方された約14万4,000人のうち、痛風を発症したのは836人だった。1,000人年当たりの罹患率は、SGLT2阻害薬4.9、GLP-1受容体作動薬7.8であり、SGLT2阻害薬がハザード比0.64で有意に低かった。

 このように血糖降下以外の作用が見られたSGLT2阻害薬だが、リスクが全くないわけではない。米食品医薬品局(FDA)は一部の薬剤に、骨密度の低下や骨折リスクの増加に関する警告表示を義務付けている。また重篤な感染症や下肢切断のリスクが増加するとの報告があることも明らかにしている。

 
 診察している2型糖尿病患者さんの一人一人について、常にリスクとメリット、薬剤コストを比較検討が必要である。SGLT2阻害薬は非常に高額ではあるが、低血糖や体重増加を来すことが少ない。かつ今回の研究データから、痛風患者や痛風リスクの高い人では、SGLT2阻害薬によってそのリスクが低下する可能性が示された。



0 件のコメント:

コメントを投稿

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...