2021/10/25

健康講座361 フラボノイドと腸内細菌

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 赤ワインやベリーなどの摂取量が多い人には、血圧が高い人が少ないというデータが報告されました。また、これらの食品の摂取量の多さと腸内細菌の多様性の高さとの関連も明らかになり、それが良好な血圧に関与している可能性も示されたのです。

 腸内細菌叢が、ヒトの健康にさまざまな影響を与えることは、何度も述べたように明らかになりつつあることでございます。しかし、その複雑なメカニズムの解明に向けた研究はまだまだわからないことが多いです。腸内細菌叢のどのような組成が「健康的」と言えるのかもよく分かっていないのでございます。今のところ、腸内細菌の多様性が高いほど、より健康的だと考えるのが主流なようです。

 今回の研究で有益性が示された赤ワインやベリーなどは、過去にも何度か紹介した、フラボノイドと呼ばれる植物性抗酸化物質の含有量が高いという共通点を持つようです。腸内細菌はフラボノイドを利用する上で重要な役割を果たしているようです。腸内細菌叢の組成は人によって大きく異なり、腸内細菌の多様性が高いことは、フラボノイドが豊富な食品が持つ、心臓や血管の健康上のメリットをより高めるようす。

 研究の対象は、25~82歳のドイツ人904人。詳細な食事アンケートにより食品摂取量を把握し、血圧測定値、および糞便を用いた腸内細菌叢の分析結果との関連を検討しました。その結果、フラボノイド摂取量が多い人は収縮期血圧(SBP)が低いことが分かりました。

 摂取している食品との関連では、赤ワインやベリーの摂取量が多いことが、SBPや脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差。動脈硬化の指標の一つ)の低さと関連していたのです。

 赤ワインやベリーの摂取量が多いことと、腸内細菌叢の多様性との関連も明らかになったのでございます。

 この研究からは、フラボノイドが豊富な食品の摂取量と血圧との関連の15.2%は、腸内細菌の多様性によって説明可能であることが分かったのです。

 栄養素の利用が食事内容全体の影響を受けるのと同様に、腸内細菌叢も食事の影響を受けるのです。最近の研究から、野菜や果物、魚、ナッツ類、食物繊維が豊富な穀物の摂取量が多い人は、炎症を抑制するように働く腸内細菌の割合が高く、対照的に、肉や加工食品、砂糖の摂取量が多い人は、炎症を促す腸内細菌の割合が高いことが分かっております。

 加工食品の代わりに全粒穀物を多く食べることは、腸内細菌叢に良い影響を与えるでしょう。さらにですよ、塩と砂糖などの摂取量を減らすことにもつながるでしょう。なお、本研究では赤ワインのメリットが示されたが、AHAは、飲酒にはリスクがあり、心臓へのメリットを期待して赤ワインを飲む習慣を取り入れるべきでないとしていることも添えておきますね。

参考にしてください。

原著

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