2021/11/19

健康講座386 オメガ3脂肪酸と心房細動の発症

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 魚介類由来のオメガ3脂肪酸のサプリメント(以下、サプリ)の摂取は、心房細動の発症リスクと関連することが、論文で明らかにされたようでございます。このリスクは特に、1日当たりの摂取量が1gを超える場合に大きかったという。

 心房細動は不整脈の一種で、心房内を流れる電気信号の乱れにより心房が不規則に収縮している状態を指します。心房細動がただちに命の危険をもたらすことはないが、放置しておくと心不全や脳卒中などを引き起こす可能性があるのです。

 米シダーズ・サイナイ医療センターは、2種類の論文データベースを用いてシステマティックレビューを実施。2012年1月1日から2020年12月31日までの間に発表され、500人以上の対象者を中央値で1年以上追跡して、オメガ3脂肪酸サプリの摂取と心血管疾患との関連を検討し、転帰として心房細動について報告した7件のランダム化比較試験を抽出した。その上で、これらのデータを統合して、オメガ3脂肪酸摂取と心房細動の発症リスクとの関連をメタ解析した。

 解析対象者は総計8万1,210人で、このうち5万8,939人(72.6%)は1日当たりのオメガ3脂肪酸の摂取量が1g以下、2万2,271人(27.4%)は1g超だったようです。メタ解析からは、魚介類由来のオメガ3脂肪酸の摂取が心房細動の発症リスクと関連することが明らかになったのです。オメガ3脂肪酸の1日当たりの摂取量が1g超か、1g以下で分けてサブ解析を行ったところ、1g超の群では心房細動の発症リスクが49%上昇したのに対して、1g以下の群でのリスク上昇は12%にとどまっていた。

 現在、オメガ3脂肪酸を処方されているのなら、自己判断で服用をやめるべきではもちろんないです。担当医と心房細動発症のリスクについて話し合うべきでございます。オメガ3脂肪酸は、トリグリセライド(中性脂肪)の血中濃度が非常に高い人に処方されることが多いです。オメガ3脂肪酸は、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクの上昇に関連するトリグリセライドの血中濃度低減に効果があるとされてます。オメガ3脂肪酸を服用中の人は、心房細動を発症する可能性のあることを念頭に置き、突然の動悸やめまいなどの心房細動の潜在的な症状に関する知識を身につけておいた方が良いかもしれません。

 市販のサプリに関しは、“栄養補助食品”として販売されているからといって無害だとは言い切れない。心臓へのベネフィットに関するエビデンスも不足しているため、使用に関して担当医に相談すべきだと考えられます。

 なお、米国心臓協会(AHA)は、サプリではなく魚からのオメガ3脂肪酸摂取を推奨しているのです。魚は、オメガ3脂肪酸、タンパク質、その他の多くの重要な栄養素の優れた供給源で、サーモンやマス、ビンナガマグロなどの脂肪分の多い魚を週に2回摂取することを推奨しています。


参考にしてもろうて。

原著


0 件のコメント:

コメントを投稿

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...