2021/11/09

健康講座376 過活動膀胱と内臓脂肪

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 内臓脂肪が過剰に蓄積している女性は、過活動膀胱の有病率が高く、また内臓脂肪量と過活動膀胱の重症度に相関があることが報告されました。一方で、皮下脂肪量やBMI、腹囲長などの肥満関連指標は、過活動膀胱との関連が有意でないということでございます。

 過活動膀胱は頻尿や尿意切迫感の主要原因の一つです。国内の患者数は810万人と推計されていて、珍しい病気ではないですね。今回、腹部CT検査で評価した内臓脂肪・皮下脂肪の面積や量と、過活動膀胱の有病率・重症度、超音波検査での残尿量などとの関連を詳細に検討したようです。

 過活動膀胱症状スコア(OABSS)により、71人(39.0%)が過活動膀胱と判定されました。過活動膀胱群は対照群に比較して高齢で、生活習慣病(高血圧、脂質異常症、腎機能障害)の有病率が有意に高かったようです。

 OABSSの合計スコア、およびサブスケール(昼間頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、切迫性尿失禁の症状)の各スコアは、すべて過活動膀胱群の方が有意に高かったです。また客観的指標である1回排尿量と最大尿流量は、過活動膀胱群が有意に低値だったようです。

 肥満関連指標との関連では、内臓脂肪の面積・量、および、総腹部脂肪に占める内臓脂肪の割合が、過活動膀胱群の方が有意に高かったです。その一方で、前述のようにBMIは同等であり、皮下脂肪の面積・量、腹囲長などの群間差も有意でなかったのです。

 過活動膀胱の有病率との関連がは、総腹部脂肪に占める内臓脂肪の割合との相関が最も強かったようです。


 過活動膀胱との関連が有意だった因子として、年齢、メタボリックシンドローム関連疾患(高血圧、糖尿病、脂質異常症および腎機能障害)、腹部脂肪に占める内臓脂肪の割合が、過活動膀胱の独立したリスク因子であることが分かりました。

 ごちゃごちゃとややこしいことを述べてしまいましたが、要するにですよ、過活動膀胱症状のある女性は内臓脂肪量が多いこと、内臓脂肪量と過活動膀胱の重症度が相関することが明らかになったのです。なお、両者の関連のメカニズムについては、内臓脂肪過剰蓄積によるインスリン抵抗性が、交感神経の亢進や慢性的な虚血状態を惹起し、下部尿路機能を低下させるのではないかとのことです。

 BMIと過活動膀胱との関連が認められなかったことについては、日本人ではBMI低値でも内臓脂肪が過剰に蓄積している、いわゆる「隠れ肥満」が多いことの影響と思われます。

原著

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