2022/06/08

健康講座502 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の知見

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 飲酒が肝臓に良くないことは、広く知られていると思います。しかし、世界中の成人の4人に1人は、飲酒と関係のない肝臓病を患っているということでございます。そして、そのような肝臓病を持つ人は、心臓病のハイリスク状態でもあるのです。


 飲酒とは関係のない肝臓病とは、「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれるものであります。NAFLDは、肝臓に脂肪が大量に沈着することで発症し、肝臓の繊維化や炎症を引き起こすことがあります。ただし、大半のNAFLDは診断されずにいるのです。

 NAFLDは患者数の多いよく見られる疾患であり、かつ、慢性肝障害や心血管疾患のリスク因子であるため、病状を把握して早期に治療することが重要でございます。それにもかかわらず、日常診療ではしばしば見逃されたり、診断されても治療されないことがあるのが現状でございます。

 NAFLD患者の主要な死因の一つが心臓病であり、NAFLDと心臓病は多くのリスク因子を共有しています。例えば、肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病または前糖尿病状態などです。また、同程度の心臓病リスク因子を持っているNAFLD患者とNAFLDでない人を比較すると、NAFLD患者の方が、実際に心臓病を発症してしまうリスクが高いとのことでございます。

 NAFLDは、健康的な体重を維持し、習慣的な運動を続け、心臓に良い食事を取り、2型糖尿病や高トリグリセライド(中性脂肪)血症などをコントロールすることで、その多くを予防できます。健康的な生活は多くの人のNAFLDの回避に役立つが、最善の努力にもかかわらずNAFLDを発症する人もいます。反対に、肥満や2型糖尿病、メタボリックシンドローム、不健康な食生活、運動不足であるにもかかわらず、NAFLDの発症を抑えられる遺伝的背景を持っている人もいるのも事実でございます。

 NAFLD患者の大半は症状がなく、一般的な血液検査では異常が発見されない可能性があります。健診における肝機能検査として行われているASTやALTは、感度と特異度が十分でなく、NAFLDのスクリーニングには十分ではないです。そのため、診断されていないケースが少なくないです。それに対して、超音波検査などで肝臓への脂肪蓄積、弾力性・硬さ(線維化の進行程度)を非侵襲的に評価する検査によりNAFLDを検出することが可能です。ただし、そのような検査が十分に活用されていないのは現状です。また、NAFLDの診断において最も信頼性の高い検査は肝生検ですが、侵襲を伴うことや医療コストの面からも、一般的に行うにはハードルが高いです。

 NAFLDを早期に診断できれば、生活習慣の改善などによって肝臓のダメージを修復することができるのです。2型糖尿病の治療、血清脂質の低下、減量のために薬物治療が必要なことがあり、また一部の患者には減量手術が適用されます。体重を5~10%減少させることによって多くの場合、病態の進行が抑制され、場合によっては寛解に至るといわれてます。ただし、この減量目標を達成することは容易ではないです。

 薬物治療の一例としては、グルカゴン様ペプチド1受容体アゴニスト(GLP-1RA)の使用は、血糖の改善、体重減少、および主要心血管イベントのリスク低下に関連しており、NAFLDを改善する可能性もあるとも言われいます。

原著

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