2022/08/15

健康講座532 大腸劣化と腸内細菌

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

『大腸劣化』を防ぐ短鎖脂肪酸とうものがあります。

 大腸劣化とは、『大腸に多く存在する腸内フローラが、偏った食生活やストレス・睡眠不足などによって老廃物や有害物質が作られることで正常な機能が保てなくなり、最終的には大腸がんなどの大腸疾患のみならず全身の健康リスクにまで発展すること』を意味するそうです。

 腸内フローラには数千種類以上、数百兆個以上の種々の菌が存在し、善玉菌優位のバランス(善玉菌、悪玉菌、日和見菌それぞれの比率が2:1:7の状態)保持が必要とされるそうです。しかし、無理なダイエットによる炭水化物制限による食物繊維不足、過度な動物性タンパク質摂取や食の欧米化進展という近年の日本人の偏った食文化が、悪玉菌へ餌を供給するとともに悪玉菌優位の環境をもたらし、最終的には腸内劣化により大腸がんなどの発症を招いてしまうのです。

 回避する方法として、善玉菌の餌となる短鎖脂肪酸を増やすコツとそのメカニズムがあります。短鎖脂肪酸とは、ビフィズス菌や酪酸菌が水溶性食物繊維などを食べた際に産生される物質で、酢酸や酪酸などを示し、腸内環境を弱酸性にして善玉菌が発育しやすい環境へ整えるものです。ビフィズス菌から産生される酢酸には整腸作用、免疫力向上、血中コレステロール低下などの作用が期待でき、酪酸菌から産生される酪酸には、大腸のバリア機能強化や、大腸を動かすエネルギーの産生作用があります。善玉菌の餌となるオリゴ糖、イヌリン、大麦や海藻類を積極的に取ることが重要であり、穀物摂取量低下による食物繊維不足は注意です。

 短鎖脂肪酸の増加には食物繊維の摂取が有用であることについて、臨床試験(水溶性食物繊維を多く含むスーパー大麦グラノーラを1ヵ月間、毎日摂取する試験)があり、「排便量や便の性状だけではなく、肌の状態や睡眠状態の改善もみられたようです。腸内環境の整備が整腸作用だけに留まらず、全身の健康に貢献することを示唆する結果でした。

 日本人の腸内フローラについて、キット検査結果を集計したところ、40代以降の4人に1人は大腸劣化の疑いがあることが明らかとなったようです。ただし、腸内フローラの多様性については、20代で低かったらしく、加齢だけが大腸劣化の原因ではないことを明らかにされました。

 腸内細菌叢と体臭の関係につい、人間が放出するガスには皮膚ガスと呼ばれるものがあり、判明しているだけでも300種を超えるのです。皮膚ガスの放散経路には、「表面反応由来」「皮膚腺由来」「血液由来」の3経路があり、表面反応由来の加齢臭は皮脂の酸化が原因のため、洗って落とすことができます。しかし、血液由来のダイエット臭(アセトン)や疲労臭(アンモニア)は洗っても落とすことができないようです。

 では、どのように血液由来の臭いを減らせば良いのだろうか? 疲労臭の主成分アンモニアの血中濃度は、腸内細菌の改善によって減らせることが明らかになっているのです。そこで、ラクチュロース(牛乳に含まれる乳糖を原料として作られる二糖類。大腸に到達後、ビフィズス菌の餌になる)の摂取試験を行い、ビフィズス菌数の増加に伴う皮膚からのアンモニア放散量の減少を示唆したという報告も出ています。

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