2025/06/28

健康講座866 「経口セマグルチド(リベルサス)」の心血管イベント抑制効果を検証した大規模介入試験、SOUL試験

 

皆さんこんにちは!

今回は、飲み薬タイプの糖尿病治療薬「リベルサス(成分名:セマグルチド)」が心臓の病気を予防する効果があるかどうかを調べた「SOUL試験」という研究について、とってもわかりやすく解説していきます!





🧑‍⚕️ 1. どんな研究だったの?

「糖尿病の人は、心臓病になりやすい」ってご存じですか?

糖尿病が長く続くと、血管が傷ついて心筋梗塞や脳卒中といった重大な病気を引き起こすリスクが高くなります。そんな中で、「飲み薬でこれらを予防できたらすごいことだよね」という思いで始まったのが、今回の研究です。

この研究は、

  • 糖尿病があって、さらに心臓や腎臓の病気を持っている人たち

  • 合計9,650人

  • 平均年齢66歳、BMIは31(ちょっと肥満)

  • ほとんどが欧米人

を対象に、約4年間にわたって行われました。


💊 2. どんな薬が使われたの?

使われたのは、リベルサスという薬です。これは「セマグルチド」という成分を含んだ、飲み薬の糖尿病治療薬です。

もともと「オゼンピック」という注射薬で有名な成分なんですが、それを飲み薬にしたのがリベルサスです。今回の研究では、このリベルサスを飲んだグループと、何の薬も入っていないプラセボ(偽薬)を飲んだグループを比べました。


📊 3. 結果はどうだったの?

4年間飲み続けた結果、次のようなことがわかりました:

結果 リベルサスを飲んだ人 飲まなかった人 リスクの差
心臓や脳の重大な病気(心筋梗塞・脳卒中・心臓死)を起こした人 12.0% 13.8% 14% 減少

この「14%減少」というのは、54人にこの薬を4年間飲んでもらえれば、1人の重大な心血管病を防げるという意味です。これを「NNT(治療必要数)」と言います。

特に効果がはっきり出たのは?

  • 心筋梗塞(心臓の血管が詰まって起こる病気)27%減少

  • 脳卒中や心臓死:少し減ったけど、有意差(明らかな差)は出ませんでした


💡 4. 副作用は大丈夫?

重い副作用はプラセボ(偽薬)と同じくらいで、特に大きな問題はありませんでした。

ただし…

  • 胃のむかつき、吐き気などの消化器症状はやや多く出ました(5.0% vs 4.4%)

でも、命に関わるような副作用は増えなかったので、比較的安全な薬といえそうです。


🌟 5. この研究のポイントまとめ

  • 💊 リベルサス(経口セマグルチド)は、糖尿病患者の心筋梗塞などのリスクを確実に減らすことがわかった!

  • 💉 注射じゃなくても、飲み薬でも心臓を守れるってことが初めて大規模に証明された。

  • 👨‍⚕️ 注射が苦手な人や、通院の手間を減らしたい人にも、これからは飲み薬の選択肢が広がる

  • 🤝 安全性も確認され、特に問題となる副作用はなかった。


🏥 6. 医療の現場ではどう使われる?

この薬は今後、

  • 心臓や腎臓に不安がある糖尿病患者さんに

  • 「注射がイヤだけど心臓を守りたい!」という方に

選ばれる可能性が高くなります。

日本ではすでにリベルサスは保険適用で使えますが、心血管予防の目的で積極的に使うという意味で、これからの運用が注目されています。


📘 7. 最後にひとこと

今までは「心臓を守るなら注射薬」というのが定説でしたが、これからは**「飲み薬でもOK」**という新しい選択肢が広がってきました。

糖尿病治療は一生付き合うものだからこそ、「続けやすい」ことがとっても大切。その意味で、リベルサスは多くの患者さんにとってやさしくて頼れる味方になるかもしれません。


今後もこうした医学研究の話題を、できるだけやさしく、わかりやすくお届けしていきます!

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