2025/09/12

健康講座915 「糖尿病の新分類:5つのタイプへの洞察と個別化された治療戦略」

 

こんにちは、小川糖尿病内科クリニックです。今回は、糖尿病の新しい分類法についての興味深い更新情報をお届けします。スウェーデンとフィンランドの研究チームが、「ランセット糖尿病・内分泌学」誌にて、糖尿病を5つの異なるタイプに分類する提案を発表しました。これにより、個々の患者に合わせたより効果的な治療法の開発が期待されます。

糖尿病のこれまでの分類は、「1型糖尿病」と「2型糖尿病」が主でしたが、この新たなアプローチにより、糖尿病の多様性と複雑さがより明らかになります。リーフ グループ教授によれば、糖尿病は単一の病気ではなく、患者ごとの病態に応じた治療が必要であるとのことです。

具体的な分類としては、重度の自己免疫性疾患(SAID)、重度のインスリン欠乏(SIDD)、重度のインスリン抵抗性(SIRD)、軽度の肥満関連(MOD)、軽度の加齢関連(MARD)という5つのタイプに分けられます。これにより、それぞれのタイプに特有の治療法が開発されることで、糖尿病の合併症を未然に防ぐ助けとなるでしょう。

  1. 重度の自己免疫性糖尿病(SAID): このタイプは1型糖尿病とLADAに該当し、自己免疫反応が膵臓のβ細胞を攻撃することによって発症します。
  2. 重度のインスリン欠乏糖尿病(SIDD): こちらはインスリン分泌障害と中程度のインスリン抵抗性を持つ患者に見られ、肥満はあまり関連しません。
  3. 重度のインスリン抵抗性糖尿病(SIRD): このグループは肥満と高度のインスリン抵抗性が特徴で、体がインスリンに反応しなくなっています。
  4. 軽症の肥満関連糖尿病(MOD): このタイプでは肥満が見られるものの、インスリン抵抗性は軽度で、糖尿病の症状も軽いです。
  5. 軽症の加齢関連糖尿病(MARD): 高齢者に多く、加齢により血糖値が上がりますが、症状は比較的軽度です。

このような糖尿病の新たな分類法により、未来の医療現場ではより精密な診断と治療が可能になると期待されています。また、この研究は将来的に、さまざまな背景を持つ患者に適用可能かどうかをさらに評価するためのもので、世界中の多様な病態に対応するためにも重要なステップとなります。

2025/09/04

健康講座 「遅らせた朝食と2型糖尿病:研究の課題と実臨床への応用障壁」



🥣 朝ごはんを遅らせると血糖値は良くなるの?

― 2型糖尿病で知っておきたいシンプルなポイント ―


1. 研究でわかったこと

最近の研究で、「朝ごはんを少し遅らせると、食後の血糖値が下がるかもしれない」という結果が出ています。

  • 朝7時に食べるより、朝9時ごろに食べた方が血糖が上がりにくいかもしれない

  • 体内時計(サーカディアンリズム)が血糖コントロールに関係している可能性がある

ただし、研究はまだ始まったばかりで、はっきりした結論は出ていません。


2. でも「ただ遅らせればOK」ではない

研究をよく読むと、「朝ごはんを遅らせるといい人」と「そうでない人」がいることがわかります。

① 生活リズムが大事

  • 寝る時間・起きる時間で血糖の動きは変わります

  • 夜更かししている人と、早寝早起きの人では結果が違うかもしれません

② 薬と運動のタイミング

  • 血糖を下げる薬を飲んでいる場合、薬の効き方と朝ごはんの時間がズレると逆効果になることも

  • 朝食前後の運動量でも血糖値は大きく変わります

③ 個人差がある

  • インスリンを使っている人

  • 夜間低血糖を起こしやすい人

  • 朝方に血糖が高くなる「ソモジー効果」や「暁現象(あかつきげんしょう)」がある人
    → このような人は、朝食のタイミングを変えることで逆に血糖が不安定になることもあります。


3. 国や生活環境によっても違う

論文では、インドなどの国では「朝ごはんを遅らせる」のは難しいと指摘されています。

  • 朝から仕事に行く人は時間をずらせない

  • 家族の食事や学校の時間に合わせる必要がある

  • 文化的に朝食のタイミングが決まっている地域もある

つまり、現実的に続けられる方法を考える必要があるということです。


4. 結論:どうすればいいのか?

結論としては、「朝ごはんを遅らせると血糖値が改善する可能性はあるが、人によって合う・合わないがある」です。

✅ おすすめの行動

  • 主治医と相談することが一番大事

  • 血糖測定器やCGM(持続血糖測定器)がある人は、朝食時間を少しずつずらして試し、自分の血糖がどう変わるか確認する

  • 無理に遅らせず、まずは**朝食の内容(糖質・たんぱく質・野菜のバランス)**を見直す方が効果的なことも多い


5. まとめ

  • 朝ごはんを1〜2時間遅らせると血糖が下がる人もいる

  • ただし、薬・運動・睡眠・体質によっては逆効果になることもある

  • 一律に「遅らせるのが正解」とは言えない

  • 最終的には、主治医と相談しながら、自分の血糖変動を見て決めるのがベスト



ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...