夜勤をしている方から、よくこういう相談を受けます。
「気をつけているのに血糖が安定しません」
「日勤のときより明らかに悪いです」
これは決して珍しいことではありません。
そして結論から言うと、
👉 夜勤は血糖コントロールにとって“不利な環境”です
ただし重要なのはここです。
👉 不利=コントロール不能ではない
現実を理解したうえで、「崩れ方を小さくする」ことが非常に重要になります。
■ 夜勤で実際に起きていること
イギリスのKing's College Londonの研究では、糖尿病を持つ医療従事者を対象に、
・連続血糖測定
・食事記録
・睡眠記録
を行い、夜勤・日勤・休日を比較しています。
その結果、次のような特徴が明らかになりました。
① 血糖の「ブレ」が大きくなる
夜勤では、血糖値が安定しにくくなります。
ここで重要な専門用語です。
▶ 血糖変動(グルコースバリアビリティ)
血糖値の上下の振れ幅のことです。
安定している状態が理想で、上下の変動が大きいほど体への負担が増えます。
▶ MAG(Mean Absolute Glucose Change)
血糖の変動の大きさを数値で表した指標です。
この研究では、夜勤の日にこの数値が上昇していました。
つまり
👉 夜勤では血糖が乱高下しやすい
ということです。
② 食事内容が崩れる
夜勤では食事の特徴も大きく変わります。
・食事回数が増える
・カロリーが増える
・甘いものの割合が増える
特に問題なのは、
👉 糖質中心の食事になりやすい
という点です。
理由はシンプルです。
・夜中に選べる食事が限られている
・時間がない
・疲れている
つまり
👉 環境がそうさせている
③ 覚醒時間が長くなる
夜勤の日は、
・日勤:約17時間
・夜勤:約22時間
と、圧倒的に長時間起きている状態になります。
ここで重要な専門用語です。
▶ サーカディアンリズム(概日リズム)
人間の体内時計のことです。
約24時間周期で、ホルモン分泌や代謝をコントロールしています。
夜勤ではこれが崩れます。
■ なぜ血糖が上がりやすくなるのか
夜勤による血糖悪化には、いくつかの生理的な理由があります。
① インスリン抵抗性の増加
インスリンとは、血糖を下げるホルモンです。
夜間や睡眠不足では、
👉 インスリンが効きにくくなる
これを
▶ インスリン抵抗性
と呼びます。
結果として、
👉 同じ食事でも血糖が上がりやすくなります。
② 食欲ホルモンの変化
睡眠不足になると、
・グレリン(食欲を増やす)↑
・レプチン(満腹感)↓
となります。
つまり
👉 食べたくなる+満腹を感じにくい
③ ストレスホルモンの影響
夜勤ではストレスも増えます。
ここで出てくるのが
▶ コルチゾール
ストレス時に分泌されるホルモンです。
コルチゾールは
👉 血糖を上げる作用があります
■ ここが現実
ここまで読むと
「じゃあ夜勤はダメなのか?」
と思うかもしれませんが、
👉 それは現実的ではありません
医療・介護・インフラなど
👉 夜勤は社会に必要な仕事です
だからこそ重要なのは
👉 無理に完璧を目指さないこと
■ 現実的にできる対策
ここからが一番大事です。
■ ① 食事は「引き算」で考える
完璧な食事は不要です。
まずは
👉 悪いものを少し減らす
例えば
・菓子パン → 減らす
・甘い飲み物 → 減らす
これだけでも効果があります。
■ ② 食べる順番を意識する
おすすめは
① 野菜
② タンパク質
③ 炭水化物
これにより
👉 血糖の急上昇を抑えられます
■ ③ ダラダラ食べを避ける
夜勤では
・ちょこちょこ食べる
・常に何か口にしている
という状態になりがちです。
しかしこれは
👉 血糖が常に高い状態
を作ります。
👉 できる範囲で
「食べる時間を区切る」
■ ④ 深夜の食事は軽めに
特に注意する時間帯
👉 深夜2〜4時
この時間は
👉 最も血糖が上がりやすい
なので
・軽食
・糖質控えめ
が基本です。
■ ⑤ 仮眠をとる
短時間でも構いません。
👉 20〜30分の仮眠
これだけで
・ホルモンバランス
・集中力
が改善します。
■ ⑥ CGMの活用
▶ CGM(持続血糖測定)
皮下にセンサーを入れて、血糖を24時間測定する機器です。
これにより
・どの時間に上がるか
・何で上がるか
が分かります。
👉 夜勤との相性は非常に良い
■ よくある誤解
❌ 夜勤だから仕方ない
→ 半分正しい
✔ 正しくは
👉 不利だが、調整はできる
■ まとめ
👉 夜勤では
・血糖変動が増える
・食事が崩れる
・睡眠が不足する
➡️ 血糖コントロールが難しくなる
しかし
👉 完全に防げないわけではない
重要なのは
✔ 完璧を目指さない
✔ 少しずつ改善する
✔ 崩れ方を小さくする
■ 最後に
夜勤をしている方は、
👉 すでに負荷の高い環境で働いています
その中で
「完璧な管理」を求めるのは現実的ではありません。
だからこそ
👉 60点を安定して取る
これが最も現実的で、
結果的に長期予後を良くする考え方です。
焦らず、無理せず、
できることから調整していきましょう。
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