小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。
肥満の心房細動患者では、減量により心房細動の進行が抑制されるだけでなく、改善される可能性もあることが、アデレード大学(オーストラリア)のMelissa Middeldorp氏らの研究で示された。こうした患者に対してリスク因子の管理とともに減量プログラムを実施した結果、10%以上の減量に成功した患者のほとんどで心房細動が改善あるいは消失したことが分かった。詳細は「Europace」6月14日オンライン版に掲載された。
その結果、対象者のうち135人がベースライン時から4年後には10%以上の減量に成功し、こうした患者の88%は心房細動が持続性から発作性へと改善するか消失した。なお、発作性心房細動は1週間以内に自然に消失するが、持続性心房細動は心房細動が1週間以上続き、薬物治療や電気的除細動を行う必要があるという。
一方、ベースライン時から4年後の体重減少率が3%未満と、ほとんど減量できなかった患者も116人いた。こうした患者では41%が発作性心房細動から持続性心房細動に進行していた。
この結果を踏まえ、心房細動の進行は減量の程度と直接的に関連し、肥満患者では、減量しなければ心房細動は持続性のタイプに進行してしまうことが分かった。
肥満は、心房細動の発症に関与する高血圧や糖尿病、睡眠時無呼吸などの原因となるため、肥満の心房細動患者にとって減量は極めて重要だ。一方で、一時的に流行しているダイエット法を試みるのは危険な場合があるため、食事の量や砂糖の摂取量を減らしたり、野菜や脂肪分の少ないたんぱく質の摂取量を増やすことから始めるのがよいだろう。
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