小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。
魚をほとんど食べない人は、大動脈解離や大動脈瘤などの大動脈疾患による死亡リスクが高い可能性があることが、国立がんセンターや筑波大学らの共同研究グループの検討で明らかになった。
魚の摂取頻度と大動脈疾患による死亡との関連を疫学的に検討した研究は世界初。魚を月に1~2回程度摂取していれば大動脈疾患で死亡するリスクは上昇しない可能性も示されたという。詳細は「Clinical Nutrition」8月16日オンライン版に掲載された。
日本では高齢化の進展に伴い、近年では大動脈疾患による死亡率が増加している。大動脈疾患の予後はきわめて悪く予防が重要となる。
そこで、研究グループは今回、日本人の8つの大規模コホート研究に参加し、心血管疾患またはがんの既往がない成人男女36万人6,048人を統合したプール解析から、魚の摂取頻度と大動脈疾患による死亡の関連について検討を行った。
その結果、魚を週に1~2回摂取する群に比べて、ほとんど摂取しない群では大動脈解離で死亡するリスクは2.5倍、大動脈瘤で死亡するリスクは2.0倍で、これらを合わせた大動脈疾患で死亡するリスクは1.93倍であることが分かった。
一方、魚を月に1~2回摂取する群では、週に1~2回摂取する群に比べて大動脈解離による死亡リスクには上昇はみられなかったが、大動脈瘤による死亡リスクには1.9倍とやや上昇傾向がみられた。魚を週に3~4回摂取する群とほとんど毎日食べる群では、いずれの疾患による死亡リスクに上昇はみられなかった。
以上の結果から、魚をほとんど摂取しない場合には大動脈疾患による死亡リスクが上昇した一方で、月に1~2回摂取するとこうしたリスクは高くならない可能性が示された。
既に魚の摂取量が多いと心筋梗塞の発症リスクが低減することが報告されており、より多くの魚を摂取することが循環器疾患予防に重要だと思われる。
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