2019/09/27

健康講座112~ 炭水化物と寿命

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長小川義隆です。

 炭水化物は減らしすぎても増やしすぎても、健康にはよくないようだ。「The Lancet Public Health」8月16日オンライン版に掲載された新しい研究で、炭水化物を適度に食べることが長生きにつながる可能性のあることが示された。
 この研究は、45~65歳の米国成人1万5,428人を対象に25年間追跡し、食物摂取頻度調査票により評価した炭水化物の摂取状況と死亡率との関連を調べた。
 その結果、炭水化物からのエネルギー摂取比率と死亡率との間にはU字型の関連がみられ、総摂取エネルギーに占める炭水化物の割合が50~55%だった場合に最も死亡リスクが低いことが分かった。

 また、炭水化物の摂取比率は寿命にも関係しており、炭水化物を適度(摂取比率が50~55%)に摂取する人の50歳時点の余命は33年で、炭水化物の摂取比率を30%未満に制限する人よりも4年長く、摂取比率が65%を超える人よりも1年長かった。
 炭水化物を適度に摂取するのに比べて、炭水化物の摂取比率が40%未満もしくは70%以上の場合には死亡リスクが有意に上昇し、寿命が短縮することが明らかになった。
 
 また、炭水化物の摂取を制限する場合には、牛や羊、豚の肉やチーズなどの動物性のたんぱく質と脂肪の摂取量を増やすと早期死亡リスクは高まるが、野菜や豆類、ナッツなど植物性のたんぱく質と脂肪の摂取量を増やすと早期死亡リスクは低下することも示された。
 
 種々の糖質制限食による健康への影響を、この研究結果から、炭水化物に置き換えて、動物性ではなく植物性のたんぱく質や脂肪の比率を増やすと心血管疾患などの重大な疾患の予防に有用な可能性が示された。
 
 ただし、今回の研究は観察研究であり、因果関係を明らかにしたものではない。参加者の食生活についても自己申告に基づくもので、その調査も研究開始時と6年後の2回しか実施されていなかった。そのため、25年の追跡期間中に参加者の食習慣は変化したかもしれず、これが結果に影響した可能性もある。
 
 炭水化物をたんぱく質や脂質に置き換える糖質制限食は、健康の維持や減量に有効とされ、一般に人気が高まっている。欧米では、炭水化物を動物性の食品に置き換える方法が流行しているが、こうした食べ方は早期死亡リスクを高める可能性があり、すぐにやめるべきだ。また、炭水化物を制限する場合には、炭水化物を植物性の脂肪やたんぱく質に置き換えれば健康に長生きできるかもしれない。

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