2019/12/03

健康講座161~食品添加物と糖尿病発症の関連

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川です。

 パンや洋菓子、チーズなどの保存料として広く用いられる食品添加物のプロピオン酸を摂取すると、肥満や糖尿病の発症につながる代謝反応が引き起こされる可能性があることが、米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院教授のGokhan Hotamisligil氏らによる研究から示された。

 食品添加物であるプロピオン酸は、腸内で自然に産生される脂肪酸で、かびの増殖を抑えて加工食品の保存性を高めるとされる。今回の研究では、まず、マウスに少量のプロピオン酸を溶かした水を与えたところ、摂取直後から肝臓のグルコース産生を促す3種類のホルモンの値が上昇したことが分かった。プロピオン酸を長期にわたり与えたマウスでは体重が増加し、2型糖尿病の発症につながるインスリン抵抗性を示すようになったという。

 次に、14人の健康な成人を対象に、加工食品1食分に含まれるのと同等量のプロピオン酸またはプラセボを含む食事を摂取する群に無作為に割り付けて比較する二重盲検のランダム化比較試験を実施した。その結果、プロピオン酸を摂取した群では、プラセボを摂取した群に比べて血糖値を上昇させるホルモンの分泌が促進され、血中インスリン値も上昇したことが明らかになった。

 食品に含まれるごく少量の添加物が代謝に有害な影響を与えている可能性がある。一方で、今回の結果を受けてプロピオン酸を非難するのは時期尚早であり、「ヒトの健康への影響を明らかにするには、より長期にわたる研究を行う必要がある。

 肥満や糖尿病のリスクには、食事全体や運動を含めた数多くの要因が影響するため、現時点では「加工食品の摂取を避け、健康的で自然のままの食品を選ぶとよい」と思われます。

原著論文はこちら

0 件のコメント:

コメントを投稿

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...