2020/01/17

健康講座177~肥満と動脈硬化の関連

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。


肥満が動脈壁に直接ダメージを与え、心疾患の発症につながるメカニズムの一端を、英オックスフォード大学心臓血管内科教授のCharalambos Antoniades氏らが明らかにした。肥満の心疾患患者では、動脈周囲の脂肪組織で「WNT5A」と呼ばれるタンパク質が多く産生され、血管内に有害な影響を与えている可能性があることが分かったという。同氏らは、新たな治療法につながる知見だと期待を示している。


 この研究結果はまだ初期段階のものだが、心疾患の治療や予防戦略でWNT5Aは新たな標的になり得る。脂肪細胞におけるWNT5Aの産生を抑制したり、WNT5Aが血管壁に与える有害な影響を阻害したりする治療法を開発できれば、肥満を抑え、心筋梗塞や脳卒中を予防できるかもしれない。

 これまで数多くの研究で、肥満の人は、やせた人と比べて心疾患リスクが高いことが明らかにされてきた。米国心臓病学会(ACC)によると、肥満は心疾患の原因となる2型糖尿病や高血圧、睡眠時無呼吸などのリスクを高めるため、間接的に心疾患リスクを上昇させると考えられてきた。それに対し、今回の研究は、肥満が血管に直接ダメージを与えている仕組みの一端を明らかにした。

 心臓手術を受けた1,004人の心疾患患者から採取した血液と組織サンプルを分析した。その結果、肥満患者では血中のWNT5Aレベルが著しく高いことが分かった。、WNT5Aは特に動脈周囲にある脂肪組織から大量に放出されていることを突き止めた。さらに、WNT5Aレベルが高い患者では、その後3~5年の間に、動脈内にプラークがより速く蓄積することも明らかになった。

 血管細胞をWNT5Aに曝露させたところ、より有毒な物質が産生され、プラークの蓄積を促進する状態に変化した。

 

 肥満は一部のがんを含む他の疾患のリスク上昇にも関連するため、体重管理は重要だ。ただ、どれだけ減量できたかにかかわらず、定期的な運動を含めた健康的な生活習慣を心掛ければ身体的および精神的な健康が増進され、肥満で運動不足の生活よりも、肥満でも活動的な生活を送っている方が良いでしょう。



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