2020/01/12

健康講座174~甲状腺刺激ホルモン:TSHと予後

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニック院長の小川義隆です。


 甲状腺機能低下症と診断された患者において、甲状腺刺激ホルモン(TSH)値が推奨される正常範囲内の場合は、長期的な健康アウトカム(全死因死亡、心房細動、虚血性心疾患、心不全、脳卒中/一過性脳虚血発作、骨折)で臨床的に意味のある差を示唆するエビデンスは確認されなかった。

 一方、TSH値が推奨範囲を外れる場合、とくに基準値上限を超える場合に、有害な健康アウトカムが確認されたという。英国・バーミンガム大学のRasiah Thayakaran氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。



甲状腺機能低下症約16万例で、TSH値の違いと健康アウトカムの関連を評価
 研究グループは、英国プライマリケアの大規模データベース(Health Improvement Network:THIN)を用いて、1995年1月1日~2017年12月31日に甲状腺機能低下症を発症した成人患者を特定した。

 主要評価項目は、虚血性心疾患、心不全、脳卒中/一過性脳虚血発作、心房細動、あらゆる骨折、脆弱性骨折および死亡で、診断からアウトカム発生・研究終了または追跡不能までの長期的なTSH値を収集し、時間依存性共変数とした拡張Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。

 甲状腺機能低下症患者16万2,369例、TSH測定値86万3,072件が解析に組み込まれた。


TSH値が高くても低くても死亡率増加
 TSH基準参照値(2~2.5mIU/L)との比較において、TSH高値(>10mIU/L)で、虚血性心疾患および心不全のリスクが増加した。

 TSH値が最低位および最高位の両方で、死亡率増加が確認された。

 脆弱性骨折のリスク増加は、TSH値が最高位(>10mIU/L)で確認された。


甲状腺機能低下症はなかなか見落としがちですが、放置すると寿命にかかわります。
気になる方は、甲状腺ホルモンをチェックしましょう。

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