こんにちは。
小川糖尿病内科クリニックです。
日本人の血中コレステロール上昇の原因は“食生活の欧米化”で片付けられがちである。しかし、食事による血中コレステロール濃度の変動に影響する因子には以下のものがあります。
1:飽和脂肪酸の過剰摂取
2:トランス脂肪酸の摂取
3:不飽和脂肪酸の摂取不足
4:コレステロールの摂取量と吸収効率
5:植物ステロールや食物繊維などによる影響
これまでの指導は卵など単独食品の摂取制限を強調するものだった。食事による種々の因子があるなかで、血中コレステロール値の変動をさまざまな角度で見ることが大切です。LDL-CやHDL-Cなどのコレステロールにだけ着目するのは不十分です。
コレステロール含有量は低いが飽和脂肪酸含有量が高い食品としてチーズやバラ肉など、コレステロール含有量も飽和脂肪酸含有量も低いものとして赤肉や牛乳などが記されている。しかし、問題なのは、日本の加工食品には脂肪酸の含有量が明記されていないこと、コレステロール含有量の低い食品を摂取しても、トランス脂肪酸摂取によりコレステロールが上昇してしまうことである。
海外では脂肪酸の表記は当たり前となっており、国全体で摂取を避ける取り組みが行われている。近年、日本人においても超悪玉脂肪酸の心血管疾患へのリスクが報告されている。そして、つい先日発表された日本の久山町研究でも、認知症リスクへ超悪玉脂肪酸の影響が示され、海外メディアに取り上げられ脚光を浴びた。この研究では、超悪玉脂肪酸の血中濃度が高い人ではアルツハイマー病リスクが75%も上昇することが明らかとなった。
実際に、マーガリン、コーヒークリーム、アイスクリーム、せんべい類などのように超悪玉脂肪酸を多く含む食品を摂取している人では、超悪玉脂肪酸の血中濃度が高くなる傾向があった。
一方で、飽和脂肪酸自体はエネルギー源としても重要であり、適度に摂取することに問題はない。食事摂取量が少なくなる高齢者はフレイルリスクも高いため、若者と同じような脂肪の摂取制限だけを行ってはいけない。
一方で、飽和脂肪酸自体はエネルギー源としても重要であり、適度に摂取することに問題はない。食事摂取量が少なくなる高齢者はフレイルリスクも高いため、若者と同じような脂肪の摂取制限だけを行ってはいけない。
以上よりまとめ
・飽和脂肪酸は、血中コレステロールを増やすため、動物性脂肪の食べ過ぎに注意する。
・トランス脂肪酸(超悪玉脂肪酸)は、飽和脂肪酸よりさらにコレステロール増加作用が強い。
・不飽和脂肪酸のなかでもオリーブ油、サフラワー油、高オレイン酸紅花油は血清脂質の改善作用が報告されている。
・青魚に含まれるEPAやDHAは最も身体に良い。
・2型糖尿病患者、腎不全/透析患者、スタチン長期服用患者、高コレステロール血症患者、冠動脈疾患患者などではコレステロール吸収が亢進しており、血中コレステロールが上がりやすい。
・高齢者のように脂肪の摂取量が極めて少ない方もいる。
これらを踏まえて
脂質異常治療のは、欧米化する食生活の中で摂取量を適正化することと、個々の脂質値を改善することの2つ視点を分けて考え、リスクに応じた対応が必要です。
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