みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
米国の主ながん4種の治療に関するニュースや特集記事で、SNS上で最も人気があるものの3分の1には誤った情報が含まれ、尚且つ、その大部分は患者に害を与える恐れがあるとのことでございます。
最も人気の高い記事(前立腺がん、肺がん、乳がん、大腸がん各50件)200件のうち、約3分の1(32.5%、n=65)に誤った情報が含まれていたようです。
さらにですよ、誤情報を載せた記事のうち、76.9%(65件中50件)には有害な情報が含まれていたようでございます。
昨今のテクノロジーの革新により、健康に関する誤情報を得るのはインターネットからが最も多いと言われております。とくにSNSにいえることで、ファクトチェックが入る情報よりも誤情報の拡散が早く、その範囲も広いとのことで、警鐘をならす必要がございます。
SNS上のがんに関する誤情報の問題は、当然、無視することはできません。しかし、患者にその誤情報を無視してもらうことも簡単ではございません。患者さんの疑問に答え、正確な情報を提供して、最良の転帰のための最良の機会を供する環境が望ましいのは言うまでもありません。
さて、今回の研究ですけれど、研究期間は2018~19年で、SNSプラットフォームであるFacebook、Reddit、Twitter、Pinterestに投稿された記事を対象としたようです。人気度は、いいね、コメント、反応、シェアの数といった読み手のエンゲージメントを用いて測定しました。
研究対象記事には、CBS News、The New York Times、医学雑誌といったステータスが確立されているニュース媒体のものもあれば、短寿命のクラウドファンディングウェブページや立ち上げられたばかりの新たなニュースサイトのものもあったようです。
記事200件のうち、41.5%は従来から存在していないニュースメディア(デジタルのみ)、37.5%が従来からあるニュースメディア(印刷物のオンライン版および/または放送メディア)、17%が医学雑誌、3%がクラウドファンディングサイト、1%が個人ブログだったようです。
今回レビューの結果、先ほど述べて様に、記事のほぼ3分の1に誤情報が含まれていたと結論付けられました。誤情報は、誤解を招くような記述がなされたもの(本文によってタイトルの裏付けがなされていない、または統計/データが結論の立証となっていないものが28.8%)、エビデンスの強度についての記述が誤っているもの、効果が証明されていない治療法と判定されました。
特に、誤情報を掲載した記事のTwitterでのいいね!などのエンゲージメント中央値は事実を記した記事よりも高かったことは注目すべきであります(中央値2,300 vs.1,600、p=0.05)。ようするにですよ、デマの方がバズるとういことでございます。
記事200件のうち有害な情報を掲載していたものは合計で30.5%でした。これらは、有害な相互作用(治療/治癒が可能な状態であるのに診察が遅れるあるいは診察を受けないことにつながる恐れがあるものが31.0%)、経済的有害性(治療/移動に関連する自己負担の金銭的コストを要するものが27.7%)、有害な作用(薦められている検査/治療に潜在的に毒性があるものが17.0%)、有害な相互作用(治癒的療法との既知/未知の医学的相互作用があるものが16.2%)と判定されました。
こちらも、有害情報を含む記事のエンゲージメント数中央値は、正確な情報を伝える記事よりも統計学的有意性をもって多かったのです(中央値2,300 vs.1,500、p=0.007)。
これらの傾向は、癌の情報に限らず、新型コロナウイルス感染をはじめとした、あらゆる医療情報で起こっていると考えられます。
何卒、批判的吟味をした上で、事実に基づいた判断をして頂ければ幸いです。
参考
J Natl Cancer Inst. 2021;djab141.
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