2021/09/18

健康講座317 子供のマインドフルネスと睡眠

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 子どもの睡眠時間は、思春期が近づくにつれて少なくなりがちでございます。しかし、学校がマインドフルネスを学ぶカリキュラムを組んで、深呼吸やヨガなどを教えると、睡眠時間が増え、睡眠の質も高まる可能性があるとする研究結果が、米スタンフォード大学医学部より報告されたました。

 この研究は、米サンフランシスコ・ベイエリアの2つのコミュニティに住む子ども115人(8〜11歳、女児49人)を対象にしたものです。コミュニティの治安は悪く、住んでいる人たちは食料不安や過密で不安定な住環境によるストレスを抱えている方々が対象です。こうした住環境の条件は、睡眠に悪影響を及ぼすものです。

 1つ目のコミュニティの子ども(58人)は、マインドフルネスのカリキュラムで週に2回、2年にわたって授業を受けた(介入群)。このカリキュラムでは、今この瞬間に注意を向けるマインドフルネスのトレーニングや、ゆっくりとした深呼吸やヨガをベースにした動きの練習、ストレスに関する教育などが行われました。もう一つのコミュニティの子ども(57人)は、マインドフルネスのカリキュラムの代わりに通常の体育の授業を受ける対照群としました。全ての子どもに対して、試験開始時(カリキュラム開始前)とカリキュラム開始から1年後と2年後に、睡眠ポリグラフ検査により夜間の睡眠状態を調べるとともに、対象者自身が感じているストレスレベルについても評価したのです。

 研究開始時点では、理由は不明ですが、介入群よりも対照群の方が1晩当たりの睡眠時間が平均54分(対照群7.5時間、介入群6.6時間)、REM睡眠の時間が平均15分長かったです。ところが、2年間の研究期間の間に、両群の睡眠パターンは変化していき、睡眠時間が、対照群では平均64分短くなったのに対して、介入群では平均74分も長くなっていたのです。また、REM睡眠についても、対照群では試験開始時から変化が見られなかったのに対して、介入群では24分増えていました。

 子どもたちの睡眠の改善は、ストレスが軽減したためだと考えられていました。しかし、対象者の中で睡眠時間が最も伸びた子どもでは、同時にストレスも増えていたことが判明したのです。この点については、授業を通じてストレスについての理解が深まったことが関係しているのではないかと推測されています。

 子どもの成長にとって睡眠は欠かせず、睡眠がこれほど重要になる年代は他にはないでございます。ニューロンの再生や、日中に経験した活動やストレッサーからの体の回復などは睡眠中になされるのです。子どもにとっての睡眠の重要性は極めて高いです。その上で、何らかのスキルにより自分の内面に集中できるようになると、自分が元来持っている力で眠りにつくことができるようになるかもしれません。


原著

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