2021/09/20

健康講座319 禁煙後の効果は、その後の体重増加のデメリットを上回る!!

みなさんどうもこんにちは。


いつもご覧頂き誠にありがとうございます。

小川糖尿病内科クリニックでございます。


 さて、なかなか困難な禁煙に成功された方がみえたらそれは素晴らしいことですね。禁煙に成功すると、食べ物がおいしくなって、つい食べ過ぎて、ふっとてしまう方もみえますよね。そんな方たちに、ちょっとした朗報がございます。

 禁煙後に体重が増えたとしてもその増加幅が5kg以内なら、喫煙を続けた人よりも循環器疾患の発症リスクが有意に低下することが報告されたのです。国立がん研究センターなどによるもので、なるべく若いうちに禁煙した方が、より大きなメリットを得られることを示すデータも得られたようでございます。

 禁煙が循環器疾患の予防にとって重要であることは、多くの研究から明らかになっていますよね。一方で、禁煙によって体重が増えてしまうことがあるあるでございます。体重の増加は循環器疾患のリスク因子の一つであり、せっかくの禁煙の効果を相殺してしまうことも考えられるでしょう。しかし、禁煙後の体重増加が、実際に禁煙のメリットを弱めるのかどうかは、よく分かっていなかったのです。

 今回発表された研究の対象は、1990年と1993年に、岩手県二戸、長野県佐久、茨城県水戸、高知県中央東、沖縄県宮古などの9保健所管内に居住していて、研究開始時と開始5年後の調査時にがんや循環器疾患の既往がなかった45~74歳の男女6万9,910人。中央値14.8年追跡し、喫煙状況と、体重増加、循環器疾患発症との関連を検討したのです。

 研究開始時と5年後のアンケートの回答結果から、対象者全体を喫煙状況により下記の4群に分類しました。研究開始時と5年後ともに喫煙している「喫煙者」、過去に喫煙していたが研究開始時と5年後ともに喫煙していない「長期禁煙者」、過去から研究開始5年後にかけて喫煙したことがない「非喫煙者」、研究開始時に喫煙していて5年後には禁煙していた「新規禁煙者」。また、新規禁煙者についてはさらに、禁煙後の体重増加なし、0.1~5.0kg増加、5.1kg以上増加の3群に分類したのです。

 追跡期間中に、4,023人が循環器疾患(虚血性心疾患889人、脳卒中3,217人)を発症しました。循環器疾患発症リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、BMI、飲酒・身体活動習慣、糖尿病既往、血糖降下薬・降圧薬・コレステロール低下薬の服用、摂取エネルギー量、大豆・野菜・果物・魚・肉類・乳製品の摂取量、ビタミンサプリメントの摂取、循環器疾患の家族歴、居住地域)を統計学的に調整し、それらの影響をできるだけ取り除いた上で、喫煙者を基準としてその他の群の循環器疾患発症リスクを解析したものです。

 その結果、長期禁煙者の循環器疾患発症ハザード比(HR)は0.56、非喫煙者はHR0.60で、いずれも喫煙者よりリスクが有意に低かったのです。また新規禁煙者でも、禁煙後に体重が増加していない群はHR0.66、体重増加幅が0.1~5.0kgの群はHR0.71と、喫煙者よりリスクが有意に低かったです。体重増加幅が5.1kg以上の群は喫煙者のリスクと有意差がなかったが、研究グループは、この条件の該当者数が少ないために統計学的有意差に至らなかったと説明しています。

 このほかに年齢層別の解析からは、60歳未満の新規禁煙者は60歳以上の新規禁煙者よりも、循環器疾患のリスクがより低いことが分かったのです。

 ごちゃごちゃとややこしいことを述べましたが、要するにですよ、喫煙を続けた場合に比べて禁煙することは、その後の循環器疾患発症リスクが低いことと関連していたことがわかったのでございます。また、より若い時期での禁煙によるリスク軽減効果が大きく、多少の体重増加は相殺できるくらいの効果があるとのことでございます。

参考にしてもろうて。

原著

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