2021/09/23

健康講座322 子供の生活習慣病と認知機能への影響

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 多くの人は中年期に差し掛かるまで、高血圧や脂質異常症などの病気や、心臓や脳の健康リスクについてなかなか気にすることはないですよね。こんなマニアックなブログを御高覧頂いている皆様に関しましては、早期から意識を高く持ってみえるかもしれませんが。。。一般論としては、より早期から健康リスクに目を向けるべきであることを数々の研究結果が示しているのは言うまでもありません。

 トゥルク大学(フィンランド)は、3,596人の子ども(3~18歳)を31年間にわたって追跡し、34~49歳に成長した2,026人に対して認知機能テストを施行しました。その研究から得られた結論は、人生の早い段階で体重、コレステロール、血圧を管理することが、成人期の認知機能低下を抑制する可能性があるというものだったのです。

 具体的には、子どもの頃に血圧とコレステロール値が高かった人は、子どもの頃にそれらが良好だった人と比較して、記憶力と学習能力が低いと判定されました。子どもの頃から中年期までずっと肥満であった人は、歳をとるにつれて情報を処理したり注意力を維持することが難しくなっていたのです。子どもの時点で、体重、コレステロール、血圧という評価された3つの心血管リスク因子を全て有していた人は、40代に達するまでに、脳の健康に関する指標の全てが低下していたのでございます。

 心臓の健康と脳の健康との関連は、多くのエビデンスにより証明されています。良好な血流を保つことで、心臓と脳、双方の臓器が適切に機能し続けるのです。反対に高血圧や高コレステロール血症などの血管にダメージを与える状態は、心臓と脳の双方を危険にさらし、心臓発作、脳卒中、認知症を引き起こす可能性があるのでございます。

 ここ数十年の間に小児肥満が増加し、また、心臓の健康状態の悪化は早くも小児期に始まるという報告が増えています。

 健康に良い生活習慣は、これまで考えられていたよりもはるかに早い年齢で身に付ける必要があると言えます。

 米国の身体活動に関するガイドラインでは、子どもたちに対して、少なくとも毎日1時間の中程度から高強度の身体活動を行うことを推奨しているようです。また、少なくとも週に3回は筋肉と骨の健康のための高強度運動を行い、座ってテレビを見たりスマートフォンを操作したりする時間(スクリーンタイム)を制限すべきであることもガイドラインに示されているのです。


 余談ですが、私もスマホの設定で、スクリーンタイムに時間制限機能をつけております。

 話は戻りますが、子どもが肥満かそうでないかにかかわりなく、定期的な身体活動は、認知機能、学業成績、そのほかの健康指標全般に好影響を与えるのです。また、肥満の子どもは後年の心血管リスクや死亡率が高くなることが研究で示されているものの、成長段階で肥満が解消されるとリスク上昇は抑制されるということでございます。


原著

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