2021/09/25

健康講座324 朝型のすゝめ

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 良い仕事の結果を出したい場合や学校の成績を上げたい場合、早寝早起きを心がけるのが良いかもしれないです。と言いますのも、夜型の人に比べて朝型の人の方が、仕事のパフォーマンスが良く、早期退職につながる健康問題に悩まされることも少ないとする研究結果が報告されたのでございます。オウル大学(フィンランド)Center for Life Course Health Researchによるこの研究で報告されました。

 朝型か夜型かなどのクロノタイプは主に遺伝子により決まるそうですが、太陽光への曝露、仕事のスケジュール、家族の生活リズムなどの環境要因の影響も受けている可能性があるということでございます。一般的に、成人の夜の睡眠時間は7時間以上が推奨されているようです。しかし、夜型の人が平日にこの睡眠時間を確保できていることは少ないとのことです。そのため、睡眠負債がたまり、休日に寝だめしてそれを解消しようと努めてしまうのです。このような社会的な時間と生物時計のずれにより生じる不調を「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ぼけ)」というらしいです。過去の研究では、長期にわたる睡眠不足は健康状態の悪化を招くとともに、認知機能にも悪影響を及ぼすことが示唆されております。

 今回、1966年にフィンランドで生まれた1万2,000人以上のうち、2012年時点で現役の労働者であるなどの条件を満たした総計5,831人(男性2,672人、女性3,159人)を抽出したようです。これらを対象に、クロノタイプと労働能力および健康問題を原因とする早期退職との関連を検討しました。対象者のクロノタイプは46歳時(2012年)に行われた調査で確認されています。また、対象者は同時期に自分の労働能力についても、検証済みの評価スケール(0~10で評価)で評価していました。

 対象者のクロノタイプは、朝型が男性46%、女性44%、中間型が男女ともに44%、夜型が男性10%、女性12%だったようです。4年間の追跡期間中に、84人が障害年金を受給するようになり、17人が死亡していたとのことです(うち3人は障害年金受給者)。解析の結果、朝型の人と比べて夜型の人では、短い睡眠時間、不眠症、高レベルのソーシャルジェットラグが見られるなど、睡眠と健康に関連する全ての因子の評価が低かっただけでなく、未婚者や失業者の割合も高かったのでございます。また、夜型の男性28%と女性24%は46歳時の調査で「低い労働能力」と評価されており、この割合は朝型や中間型の人と比べて有意に高かったです。夜型の人が「低い労働能力」と評価される確率は、睡眠時間や社会・経済的要因、労働時間などの関連因子を調整した後でも、朝型の人のほぼ2倍であったようです。

 さらに、性別にかかわりなく、低い労働能力は障害年金を受給するリスクの増加と強く関連することも判明しました。このリスクは、夜型の男性で朝型の男性よりも3倍高かったです。

 ただし、これは観察研究でありますので、クロノタイプと労働能力や障害年金受給との因果関係が証明されたわけではございません。それでも、得られた結果が過去に報告された研究結果と一致することからも、健康促進、組織レベルでの業務計画のため、仕事のパフォーマンス向上をサポートする際には、クロノタイプを考慮に入れるのはありかもしれませんね。

原著

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