2021/11/22

健康講座389 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのクロス接種の期待

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン接種では、2回ともウイルスベクターワクチンである英アストラゼネカ社製のワクチンを接種するよりも、1回目にアストラゼネカ社製、2回目にはmRNAワクチンである米ファイザー社製、または米モデルナ社製のワクチンを接種する方が効果的であるとする研究結果が報告されたようです。

 欧州医薬品庁が、アストラゼネカ社製のワクチンと、非常にまれながらも重篤で致死的になることもある血栓症発症とを関連付けて以来、ヨーロッパの多くの国では、同ワクチンの一部、あるいは全国民への接種を停止する動きが広まったようです。その結果、いくつかの国では、1回目と2回目で異なるワクチンを接種する「異種混合接種」が推奨されているとのことです。直近の研究では、アストラゼネカ社製ワクチンの接種後にmRNAワクチンを接種した人では、アストラゼネカ社製ワクチンを2回接種するよりも、強力な免疫反応が得られることが報告されています。しかし、異種混合接種の安全性や、COVID-19発症に対する有効性はどうなのでしょう?。

 そこで、スウェーデンで2021年7月5日までに2回のCOVID-19ワクチンの接種を終えた人(344万5,061人)の中から、1回目にアストラゼネカ社製、2回目にファイザー社製のワクチンを接種した9万4,569人、1回目にアストラゼネカ社製、2回目にモデルナ社製のワクチンを接種した1万6,402人、2回ともアストラゼネカ社製ワクチンを接種した43万100人を抽出。さらに対照として、上記の人々がワクチン接種を終えた時点で未接種だった18万716人も選び出し、COVID-19の発症について比較したようです。なお、この研究が実施されたのは、スウェーデンでデルタ株が猛威を奮っていた時期だとのことです。

 2回目接種から平均76日(範囲1〜183日)の追跡期間中にCOVID-19を発症したのは、異種混合接種群で187人、未接種群で306人であり、罹患率は、前者で10万人年当たり2.0人、後者で10万人年当たり7.1人だった。異種混合接種群を、2回目に接種したワクチンの種類で分けて解析すると、ワクチンの有効性は、アストラゼネカ社製/ファイザー社製で67%、アストラゼネカ社製/モデルナ社製で79%だったのです。また、異種混合接種をまとめて解析した場合でのワクチン有効性は68%であり、2回ともアストラゼネカ社製のワクチンを接種した場合(50%)に比べて、有意に大きな効果が見込めることが明らかになったようでございます。

 COVID-19ワクチンは、接種しないよりは接種した方が良いし、1回接種よりも2回接種する方が良いのは当然です。しかし今回の研究から、2回ともウイルスベクターワクチンを接種するよりも、初回にウイルスベクターワクチン、2回目にmRNAワクチンを接種する方が、COVID-19の発症リスクが大幅に低減することが示唆されたのでございます。

 なお、この研究では、ワクチン接種後の血栓発生率は低かったようです。

 原著 

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