2021/11/28

健康講座395 寿命が延びる5つの習慣

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 ある5つの生活習慣を実践すると、それをまったく行わないときよりも10年以上余命が延びる、と言われたら興味がでますでしょうか。今回は、健康的な生活が余命に大きな影響を及ぼすことがわかった2つの論文の結果をを紹介します。

二つの論文とは、女性看護師を対象に慢性疾患のリスクファクターを検証しているNurses’ Health Study(1980~2014年、n=7万8,865)と、栄養的要素が男性医療者の健康に与える影響を検討したHealth Professionals Follow-up Study(1986~2014年、n=4万4,354)です。両研究におけるアンケート調査はなんと現在も進行しています。

今回紹介する論文は、この2つの研究の合計約12万3,000例の30~75歳を分析しています。両研究は組み入れ対象者の面で相互補完的な関係にあり、それらをまとめて分析した本研究も貴重な結論を導き出しています。

解析項目は、健康上低リスク生活習慣者と高リスク生活習慣者でどれだけ死亡率に差が出るかです。組み入れ対象が医療専門職であることと、そのうちの多くは白人であることから、外的妥当性の評価には注意が必要です。

本研究では、健康リスクを低減させる要素として、下記の5つを定義しました。

1.健康的な食事をしている

「健康的な食事」の定義付けとして、AHEI(Alternate Healthy Eating Index)を用いた評価がなされています。これは野菜、果物、ナッツ、全粒穀物、多価不飽和脂肪酸および長鎖オメガ3系脂肪酸の摂取が多く赤身肉、加工肉、甘味料入り飲料、トランス脂肪酸、精製粉の摂取が少ないとスコアが良くなる指標です。研究では、AHEIスコアが各研究の上位40%に入った参加者は、健康的な食事を取っていると定義されました。

2.喫煙しない

3.少なくとも1日当たり30分の中等度または活発な運動を行っている

4.適度な量のアルコール摂取(女性で5~15g/日、男性で5~30g/日)

5.BMIが18.5~24.9kg/m2、すなわち低体重または肥満ではない

各項目に当てはまれば1点、当てはまらなければ0点とし、5項目の合計点によって、対象者は5段階にスコア分けされました。

研究期間中に、4万2,167例の参加者が死亡しています。そのうち、がん患者数は1万3,953例、心血管疾患患者数は1万689例でした。5つの習慣のいずれもが、単独で全死因死亡またはがんないし心血管死亡のリスクを低減させる傾向がありました。

最も不健康なスコア0の参加者と比較して、最も健康的なスコア5の参加者を多変量調整した結果は、全死因死亡が74%減少、がんによる死亡が65%減少、心血管疾患死亡が82%減少でした。

また、スコア5以外の参加者と比較して、スコア5の参加者では、全死因死亡が60.7%、がんによる死亡が51.7%、心血管疾患による死亡が71.7%減少しています。

一般的な米国人口がこれら5つの習慣を取り入れた場合の50歳時点での平均余命は、女性で43.1年、男性で37.6年でした。これは、そのいずれも取り入れない場合と比較して、女性で14.0年、男性で12.2年余命が延びている計算になります。

現実的に健康リスクを低減させる要素の5つすべてを一度に取り入れることが難しいのであれば、それぞれの習慣がリスク低減に寄与しているため、どれか1つの習慣だけを提案するアプローチもよいでしょう。大きな結果がもたらされることがわかっていれば、小さな習慣から徐々に取り入れて維持していくモチベーションも湧くのではないでしょうか。



Li Y, et al. Circulation. 2018 Apr 30. 

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