2021/12/02

健康講座399 また来た。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株,今度はオミクロン(Omicron)株

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 南アフリカから24日に世界保健機関(WHO)に初めて報告された心配な新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株B.1.1.529が,今度はオミクロン(Omicron)株と命名されました1)

南アフリカでのこれまでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の波は3回あり、直近の第3波は主にデルタ株が担いました。オミクロン株が認められた検体の最初の採取日は26日時点で知られている限り11月上旬の9日で、同国ではその検出と時を同じくしてここ数週間SARS-CoV-2感染が急増しています。

オミクロン株はやたらに多くの変異を有し、これまでの変異株に比べて再感染しやすいようです1)。渡航制限にもかかわらず世界にすでに広がっており、南アフリカに加えてオーストリア、ベルギー、ボツワナ、英国、デンマーク、ドイツ、香港、イスラエル、イタリア、オランダで検出されています2)

オミクロン株が憂慮されるのはなぜかというと、スパイクタンパク質のこれまでに知られている抗原部分のどうやらすべてに変異を有しているからです3)

ワクチンに応じて作られる抗体はSARS-CoV-2スパイクタンパク質の随所の抗原領域に取り付き、ウイルスの細胞侵入を阻止して感染や発病を防ぎます。ウイルスが抗体を回避する変異1つを獲得したとしても、他の抗体の働きで依然として感染を防ぐことができます。抗体は変異に対応しうる余力をそのように常に残しています。

しかしオミクロン株のスパイクタンパク質の抗原領域はどこもかしこもすべて変異しているらしく、抗体のかなりがオミクロン株スパイクタンパク質の認識には苦労しそうなのです。ゆえに、現在普及しているワクチンはオミクロン株に手こずるかもしれないです。ただし、まったく効かないのか、凌駕できる相手なのかはまだわかりません。

オミクロン株のスパイクタンパク質のフリン切断領域の変異は感染をより広まりやすくすることと関連し、デルタ株もその領域に非常に手強い変異を有しています。また、細胞のACE2受容体にスパイクタンパク質を結合しやすくする変異もオミクロン株は有します。その変異はアルファ株の広まりやすさに貢献したことで知られるようです。

WHOも把握している通り南アフリカでオミクロン株はデルタ株を急速に凌駕して感染者数を増やしていることが伺え、現在のワクチンや先立つ感染経験で確立した免疫の少なくとも幾らかは回避できるようです。


免疫を回避して生じたオミクロン株感染がより重病を招くかどうかは不明ですが、幸いにも南アフリカの感染者はいまのところ軽症で済んでいるようです。


デルタ株感染とは違ってオミクロン株感染者は匂いや味の消失を被っておらず、酸素レベルの大幅な低下も認められていないとのことでございます。

最も目立つ症状は1日か2日の極度の疲労感で、頭痛やその他の痛みを伴います。

今後の情報を待ちたいところですね。




0 件のコメント:

コメントを投稿

ロゴ決定

ロゴ決定 小川糖尿病内科クリニック

皆さま、こんにちは。 当院のロゴが決定いたしました。 可愛らしいうさぎをモチーフとして、小さなお花をあしらいました。 また、周りは院長の名字である「小川」の「O(オー)」で囲っております。 同時に、世界糖尿病デーのシンボルであるブルーサークルを 意識したロゴとなって...