2021/12/01

健康講座398 十数秒で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染の有無を判定!?

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 飲酒検知器のように呼気を利用して、わずか十数秒で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染の有無を判定できる検査機器の開発が進められているようでございます。米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターによる、この検査機器の有用性に関する論文が掲載されたようです。鼻腔スワブで検体を採取するよりも侵襲性が低く、かつ短時間で結果を得られるため、PCR検査の代替手段になる可能性もあるのではないでしょうか。

 COVID-19感染によって体内の酸素、一酸化窒素、およびアンモニアの相互作用が生じ、呼気中にその変化が現れるようです。新たに開発した検査機器はその変化を検出するもので、重症COVID-19患者の約9割でCOVID-19感染を判定でき、判定に要する時間は15秒以内とのことです。開発チームは米食品医薬品局(FDA)に、この検査機器の緊急使用許可を申請したとのことです。

 論文で発表された研究の対象は、機械的人工呼吸を必要とする急性呼吸不全により集中治療室(ICU)に収容された患者46人。全患者がICU収容時に、鼻腔スワブにより採取した検体を用いてPCR検査が実施され、その結果、対象のちょうど半数(23人)がCOVID-19に感染していると判定されました。

 入院の当日と、3日目、7日目、および10日目に全患者の呼気を収集し、収集から4時間以内に、開発中の呼気検査機器による判定を行いました。解析の結果、COVID-19診断の感度は88%、特異度83%であり、陽性的中率78%、陰性的中率90%、正診率85%と計算されました。また、COVID-19の臨床症状改善に伴い検査値が低下する傾向が認められたようです。

 COVID-19診断の現在のゴールドスタンダードは、検体採取に不快な鼻腔スワブによる操作を要し、さらに結果が出るまでに時間のかかるPCR検査であります。それに対して新たな検査機器は、飲酒検知器のように簡便に検体を採取でき、ナノセンサーを使用して呼気中の特定のバイオマーカーを識別して、そのレベルを測定可能できそうです。

 PCR検査はCOVID-19感染の初期にはそれを見逃すことがあり、またCOVID-19の感染性が消失した後にも陽性になることがあります。この非侵襲的呼気検査技術によって、呼吸不全の発症から72時間以内に早期のCOVID-19感染を検出できるかもしれません。また、迅速なスクリーニングが可能であり、機械的人工呼吸を要する患者からCOVID-19としての管理が必要でない患者を除外できる可能性も期待できます。


 参考までに。


原著

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