2022/01/28

健康講座444 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の小児重症化リスク

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクは、成人よりも小児の方が低いことが知られています。その理由の一部として、成人と比べて小児では、免疫の働きが強く、血管の状態も良いことを指摘した世界各国の研究データのレビュー論文がございます。

 COVID-19の小児患者の大半は無症状、または軽症であるそうです。また、症状が現れても、たいていは発熱や咳、喉の痛み、味覚や嗅覚の変化程度ですむことが多いです。免疫抑制剤の使用など、通常は重症感染症のリスク因子となる因子を持っていても、COVID-19の重症化リスクがそこまで上昇するわけではないともいわれております。

 心臓や血管、リンパ管の壁を覆う内皮細胞は、加齢とともにダメージが増えて老化することが知られています。また、内皮細胞の傷ついた状態がCOVID-19の重症化に関連することも報告されています。傷ついた血管が、血管内での血栓形成を促して脳卒中や心筋梗塞を起こす可能性が指摘されてます。また、新型コロナウイルスが内皮細胞に感染して、血管に炎症をもたらすこともあるようです。しかし、小児では、成人に比べて内皮細胞のダメージが大幅に少ないため、異常な血栓が形成されにくいのだそうです。

 糖尿病や肥満などの慢性炎症に関連する加齢性疾患もまた、COVID-19の重症化に関与していると考えられています。それに加えて、小児では、免疫系の強化につながる生ワクチン(麻疹、風疹、ムンプスの混合ワクチンなど)接種後の経過期間が短いことも、COVID-19重症化リスクの抑制に寄与している可能性があるということでございます。

 小児と成人では免疫系に大きな違いがあり、小児はより強力な自然免疫反応を示すようです。これは、新型コロナウイルスに対する最も重要な防御になる可能性があります。

 また、免疫記憶も新型コロナウイルスに対する防御として重要な要因の一つとみられています。COVID-19の小児患者では、他のウイルスへの感染も多いことも指摘されております。何度もウイルスに感染することで自然免疫記憶が向上し、小児の新型コロナウイルス排除能が高まる可能性もあるかもしれません。

 さらに、喉や鼻、肺、胃などの常在細菌も、新型コロナウイルスへの感受性に影響するといわれております。細菌叢は、免疫の調節や炎症、疾患に対する防御において重要な役割を果たしてます。小児は、とりわけ鼻にウイルスや細菌を保有することが多く、これらの細菌が新型コロナウイルスの増殖を抑えている可能性があるともいわれております。

 このほか、小児では成人と比べて抗炎症作用のあるビタミンDのレベルが高い傾向にあることも論文で指摘されています。COVID-19の重症化とビタミンD欠乏はともに、肥満や慢性腎臓病、黒人またはアジア系の人種であることなどをリスク因子とします。このことを考慮すると、COVID-19の予防あるいは治療にビタミンD補充が有用である可能性もあります。

原著

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