2022/01/31

健康講座446 思い込みかも?新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種後の頭痛や疲労

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 偽薬(プラセボ)は体調を良くすることもありますが、逆に、損ねて有害事象を招くこともあることをご存じでしょうか?プラセボで体を壊して有害事象が生じることはノセボ(nocebo)効果として知られています。

これまでの12のプラセボ対照無作為化試験報告をメタ解析したところ1)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン1回目接種後の頭痛や疲労などの注射部位以外に及ぶ全身性有害事象の実に8割方はそのノセボ効果に起因していてワクチンが原因ではないと示唆されました2)

全身性有害事象はワクチン1回目投与後の人の46%、プラセボ投与後の人の35%に生じていたのです。その結果に基づくとワクチン1回目接種後の全身性有害事象の76%はワクチンとは無関係のノセボ効果に起因します。

理由は定かではありませんがワクチン2回目接種後の全身性有害事象のノセボ効果は1回目接種後より低めでした。2回目投与後の全身性有害事象の発生率はプラセボ群では少し下がって32%、ワクチン投与群では逆に増えて61%であり、それらの数値に基づくとワクチン2回目接種後の全身性有害事象のうちおよそ半分(52%)がワクチンとは無関係のノセボ効果に端を発すると推定されました。

一方、注射部位の有害事象は全身性有害事象とは対照的にワクチンを原因とするものが大半を占めるようです。1回目投与後の注射部位有害事象の発生率はワクチン群では67%、プラセボ群では16%であり、ワクチン1回目投与後の注射部位有害事象の24%がノセボ効果に起因すると示唆されました。ワクチン2回目投与後の注射部位有害事象のうちノセボ効果の割合は全身性有害事象と同様に1回目投与後より低く、16%ほどでした。

頭痛や疲労などの漠然とした症状がCOVID-19ワクチン接種後の一般的な有害事象として説明書の多くに掲載されており、ノセボ効果でも生じうるそういった症状があたかもワクチン接種後に特有の有害事象であるという思い込みを増やしているかもしれませんね。

現在出回るそのような説明書や報道はノセボ効果をおそらく誘発または助長していますが、その効果の存在を説明することでCOVID-19ワクチン接種に関する不安を減らして接種をより受け入れやすくなれば幸いです。

実際、ノセボ効果の理解を促すことにより、いつもの同意手順の有害事象の説明に“この手段を調べた無作為化試験のプラセボ群の被験者にも似た有害事象が認められており、それらはどうやら不安や心配に端を発する”といったノセボ効果の簡潔にして正確な情報を含めることが服薬に伴う有害事象を減らしうると示されています4)

参考までに。


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