2022/02/02

健康講座448 母乳と新型コロナウイルス

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 出産時に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患していた母親が母乳育児をすることで、乳児の新型コロナウイルスに対する免疫応答が高まる可能性のあることが明らかになったようです。


 乳児は母親から、胎盤と母乳を介して抗体を受け取ります。母親から与えられたこの受動免疫のおかげで、乳児が生後6カ月頃までは感染症にかかりにくいことはよく知られていことでございます。母乳がもたらすこのような保護効果は新型コロナウイルスに対しても例外ではなく、COVID-19の罹患歴がある母親やCOVID-19のワクチンを接種した母親の母乳には、新型コロナウイルスに対する抗体が含まれていることが、過去の研究で明らかにされているようです。

 出産時にCOVID-19に罹患していた母親とその子ども28組を対象に、出産から48時間後と生後2カ月時の全身免疫と粘膜免疫を評価し、それらの特徴を明らかにすることを試みたようです。全身免疫については、母親と胎児の血清中の新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に特異的なIgG抗体とIgA抗体、スパイクタンパク質の受容体結合ドメインに特異的なIgM抗体の有無により評価しました。また粘膜免疫については、母乳中と乳児の唾液中のIgG抗体とIgA抗体、母乳中のスパイクタンパク質とIgA抗体が結合した抗原抗体複合体の有無により評価しました。

 28組中21組の母子が、出産から2カ月後の追跡調査を完了しました。誕生直後に新型コロナウイルス陽性が判明し、垂直感染が疑われた乳児は1人だけだったようです。生後2カ月での唾液中の抗体レベルを、母乳で育てられていた乳児と粉ミルクで育てられていた乳児とで比較したところ、前者で、スパイクタンパク質に特異的なIgA抗体のレベルが有意に高いことが明らかになったようでございます(0.99AU対0.16AU)。また、母乳中の抗原抗体複合体のレベルを、COVID-19の急性期に当たる出産の48時間後と出産の2カ月後で比較したところ、前者の方が有意に高かったようです(0.53AU対0.09AU)。

 この研究により、母乳を介して抗原抗体複合体が乳児に移行し、それが乳児での免疫応答を誘導している可能性のあることが示されたようです。ただし、乳児の唾液中に検出された抗体が、新型コロナウルスに曝露した際に乳児を発症から守る特別な効果を持つことが示されたわけではないようです。

 乳児の唾液中の抗体が、目や鼻から侵入したウイルスから身を守るのに役立つ可能性があります。新型コロナウイルスから身を守るための抗体を母親からその子どもへ移行させる最良の方法は、妊娠中に母親がワクチンを接種することになりそうです。ワクチン接種により作られた抗体は、胎盤を介して胎児の血液に入り込むとも言われております。

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