2022/02/14

健康講座453 妊娠中や授乳中の、新型コロナウイルスワクチン接種後における免疫応答

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に妊娠している女性や母乳育児をしている女性にとって、心強い研究結果が報告されました。妊娠中や授乳中の女性は、新型コロナウイルスワクチン接種後に強い免疫応答を示し、その免疫は子にも移行する可能性のあることが、米マサチューセッツ総合病院(MGH)の研究で明らかになったようです。

 この研究は、ファイザー社製またはモデルナ社製の新型コロナウイルスmRNAワクチンを接種した、妊娠と出産が可能な年齢の女性131人を対象としたものです。対象者のうち、84人が妊娠中(妊娠群)、31人が母乳育児中(母乳育児群)、16人がそのどちらでもなかった(非妊娠群)。新型コロナウイルスのスパイクタンパク質やその受容体結合ドメイン(RBD)に対するIgG、IgA、IgM抗体価を、試験開始時と2回目のワクチン接種時、2回目のワクチン接種後2〜6週間後、出産時に、血清(131人)と母乳(31人)で測定しました。また、出産時に臍帯血(10人)でも測定し、妊娠中に新型コロナウイルスに感染した女性(感染群)37人の感染後4〜12週間目の抗体価と比較しました。

 その結果、抗体価には、妊娠群(中央値で5.59)、母乳育児群(同5.74)、非妊娠群(5.62)の間で有意差は見られなかったようです(P=0.24)。また、これらの抗体価は、感染群の抗体価よりも有意に高かったです(P<0.0001)。さらに、ワクチン接種によって作られた抗体は、被験者から採取した臍帯血や母乳中にも検出され、抗体が母親から乳児に移行することが示されたのでございます。

 この研究により、新型コロナウイルスワクチンの接種により、乳児を保護する免疫を誘導できるという明確なエビデンスが得られたのです。そして、この研究がきっかけとなって、ワクチン開発者が妊娠中や母乳育児中の人も臨床試験の対象に含めることの重要性を認識し、対象を拡大した研究を実施するようになることを期待できそうです。

 この研究ではさらに、ファイザー社製ワクチンに比べて、モデルナ社製ワクチンでは、2回接種後には、主に粘膜で病原体への感染を防ぐIgA抗体価が高いことが判明したようです。新型コロナウイルスは鼻、口、目などの粘膜面を通して感染するため、この知見はあらゆる人にとって重要であります。とりわけ妊娠中および授乳中の女性にとっては、IgA抗体は母乳中に含まれる主要な抗体であるため特に重要でございます。

原著

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