2022/02/28

健康講座459 食生活と地球温暖化

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 食生活を変えることによって、地球温暖化を抑制できるかもしれないです――。その可能性を示す、英リーズ大学の研究結果が発表されました。肉類や菓子などの食べ物や、コーヒー、アルコールなどの飲み物の摂取を抑制することが、温室効果ガス排出量削減につながるということでございます。


 私たちが食生活を変えることは地球の環境を守るためにできることの一つであり、自分の体にも良いことです。つまり、地球に良い食品は一般的に、われわれの健康増進にも役立ちそうです。

 食料生産によって排出される温室効果ガスは、排出量全体の30%を占めているとされているようです。特に、エネルギー密度が高い割に栄養価の低い超加工食品の生産工程では、多くの温室効果ガスが発生するのです。研究は、3,287種類のさまざまな食品について、文献検索で得られた情報を基に、それぞれの食品の生産工程で発生する温室効果ガスの排出量を推定。加えて、成人212人の24時間の食事摂取状況を3回にわたってモニタリングし、平均的な温室効果ガスの排出量を推算したようです。

 検討の結果、調査した食品の98%に当たる3,233種類の食品は、温室効果ガスの発生源であることが明らかになったのです。特に肉類が、食品関連温室効果ガス排出量の32%を占めていました。

 肉類の生産や消費に関連する温室効果ガスの排出量が多い理由は、飼料や肥料の栽培に農薬や化石燃料が使用されるからであり、さらに家畜が発するガスや糞尿も無視できないということでございます。牛や羊などの家畜は、非常に強力な温室効果ガスであるメタンを大量に排出します。仮に全米国人がハンバーガーの摂取を1日に1個減らしたとしたら、それに伴う家畜の減少による温室効果ガス削減効果は、車を1千万台減らすのに匹敵するようです。

 ただし、肉類だけを問題にするわけにはいかないです。アルコールやコーヒーなどの飲み物も、食品関連温室効果ガス排出量の15%を占め、乳製品は14%、ケーキやクッキーなどの菓子類も9%を占めているそうです。

 さらに、全体的な傾向として、菜食主義者の食事に比べて非菜食主義者(雑食者)の食事は、温室効果ガスを59%多く排出することが分かったのです。また、性別で比較すると、男性は女性よりも41%多く温室効果ガスを排出していた。これには、男性が女性よりも肉類を好む傾向があることが関係しているとのことです。また、飽和脂肪酸や炭水化物、ナトリウムの摂取量を推奨量以下に抑え、健康的な食習慣を送っている人の温室効果ガス排出量は、摂取量が推奨量を上回る非健康的な食習慣の人よりも、有意に少ないことも明らかになりました。

 私たちが肉類の摂取を減らすことは、将来の気候に大きな違いを生む可能性があるようです。また、菓子類の摂取を減らすなどの小さな変更であっても、大きな変化につながるかもしれません。

 コーヒーやチョコレートなどの生産は森林破壊とリンクしており、それによって地球の二酸化炭素処理能力を低下させていると、別の問題も指摘されています。農作物の一部には栽培に大量の水を必要とするものがあり、土壌を劣化させる。また、種類によっては冷蔵が必要であり、それもまた環境負荷となるとのことです。食品の生産工程で発生する温室効果ガスだけでなく、流通面なども含めてトータルで環境問題を考える必要があるようです。

原著

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