2022/03/28

健康講座471 心血管疾患とSGLT2阻害薬

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

SGLT2阻害薬は、高リスク患者において、心血管アウトカム改善に関する一貫性のあるクラス効果を示しているようです。

10件の主要な無作為化臨床試験のメタ解析から発表がありました。

メタ解析は、広範な有効性アウトカムを評価し、さらには良好にデザインされた数件の大規模臨床試験のさまざまなサブグループにおける主要アウトカムの特性を明らかにしました。本解析は、選択された患者さんにおける(心不全による入院の)予防および全死因死亡の減少を含む、心血管疾患の罹患や死亡を改善する有効な薬剤クラスとして、SGLT2阻害薬を支持しておりました。

文献、学会発表やほかの資料を調査し、参加者がアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)またはASCVDのリスク因子、糖尿病、心不全を有していた10件のプラセボ対照無作為化試験が特定されました。高リスク患者計7万1,553例のうち、3万9,053例がSGLT2阻害薬を、3万2,500例がプラセボの投与を受けたようでございます。

心血管死または心不全による入院からなる主要アウトカムの発生率は、SGLT2阻害薬に無作為に割り付けられた群で8.10%であったのに対しプラセボ群では11.56%であり、オッズ比(OR)は0.67で有意差があったようです(p<0.001)。どうやら主要アウトカムに含まれる個別アウトカムはいずれもSGLT2阻害薬群で減少しており、治療必要数(NNT)は5.7であったようです(p<0.001)。要するにですよ、薬を使用した人の5.7例のうち一人に心臓に対し良い効果がでるということでございます。

心血管系が原因の死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中で定義された主要有害心血管イベントの発生率も、SGLT2阻害薬群において有意に低下していました。その発生率は9.82% vs.10.22%で、オッズ比は0.90であったようです(p=0.03)。

心不全による入院または緊急受診(4.37% vs.6.81%、OR:0.67、p<0.001)、心血管死(4.65% vs.5.14%、OR:0.87、p=0.009)の発生率もSGLT2阻害薬によって低下しました。心不全の減少は、ナトリウム利尿作用と間質液減少の組み合わせおよび心臓線維化の抑制によるものと考えられているようです。

一方で、5件の試験で評価された急性心筋梗塞の減少は見られなかったようです。その発生率は、SGLT2阻害薬群で4.66%、プラセボ群で4.70%、ORは0.95で有意差はなかったのです(p=0.22)。この結果はおそらく、SGLT2阻害薬が既知の狭心症に対する特性や血管拡張作用を有しておらず、心筋の酸素消費量を低下させず、心筋リモデリングを予防しないという事実によるものだろうと言われております。

それでも、全死因死亡の発生率は7.09% vs.7.86%(OR:0.87、p=0.004)と、SGLT2阻害薬によって有意に低下したのでございます。

年齢に関しては、主要アウトカムの発生率は65歳未満群が65歳以上群よりもやや低かった(6.94%[OR:0.79、p<0.001]vs.10.47%[OR:0.78、p<0.001])ものの、両群でSGLT2阻害薬によるベネフィットが得られたようでございます。


JAMA Netw Open. Published online January 5, 2021. 


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